第1話「始まり」
4月の桜が舞う朝。
アイは慌てて家を飛び出した。
「やばい! 遅刻する!」
彼女の短い髪が風になびき、スポーツバッグが軽快に揺れる。
アイの目標は、バスケットボール部でレギュラーを勝ち取ること。
そのために、新学期の初日から遅れるわけにはいかない。
学校の正門に着くと、落とし物に気づいた。
小さなメガネケースだ。
「誰のだろう?」
アイはそのまま教室へ向かった。
教室に入ると、すでに何人かの生徒が席についている。
その中で、ひときわ目立つ存在がいた。
知的な雰囲気を漂わせる少女、ミキだ。
アイはメガネケースを彼女に手渡した。
「これ、君のじゃない?」
ミキは驚いたようにアイを見つめ、礼儀正しくお辞儀をした。
「ありがとう、私のです。助かったわ。」
その様子を見ていたユカは、暖かい笑顔を浮かべていた。
ユカはおっとりとした性格で、どこかのんびりとした雰囲気がある。
後ろの席では、カラフルな髪とおしゃれな服装で目を引くサラが、新しい友達を作ろうと話しかけていた。
休み時間、アイは外の新鮮な空気を吸いに校庭へ出た。
そこでユカとサラが一緒にお弁当を広げているのを見つける。
「お弁当、いいね。私も一緒に食べてもいい?」
アイが声をかけると、ユカは優しい笑顔でうなずいた。
「もちろん、一緒に食べようよ。」
サラも笑顔で迎えてくれた。
「アイ、よく見ると面白い髪型してるね。スポーツやってるの?」
アイは自慢げに笑った。
「バスケットボールが大好きなんだ! サラはファッションに詳しそうだね。」
そんな会話が続く中、ミキも誘われて一緒にお弁当を食べることになった。
午後の部活見学時間。
アイは体育館でバスケットボール部を見学していた。
ダンクシュートを決める姿を見て、胸が高鳴る。
ユカは家庭科室でケーキ作りを楽しんでいる。
他の部員たちと笑顔でレシピを交換していた。
ミキは図書館で本を手に取り、知識を深めることに夢中になっている。
サラは美術室でカラフルな絵の具を使い、キャンバスに自分の世界を描いていた。
放課後、4人は学校の屋上に集まった。アイが笑顔で話し始める。
「みんな、それぞれの部活を見学してどうだった?」
ミキは眼鏡の位置を直しながら答える。
「とても楽しかったわ。図書館は私にとって最高の場所。」
ユカはお菓子の話をしながら微笑む。
「新しいレシピをたくさん教えてもらったよ。これからもっとおいしいお菓子を作りたい。」
サラは自分の絵に満足そうにうなずいた。
「私も新しいインスピレーションをたくさん得たわ。みんなで一緒に頑張ろう。」
アイは力強く頷き、手を差し出した。
「これから一緒に頑張ろう!」
4人は手を重ね、新しい友達としての絆を確かめ合った。
その夜、アイは自宅で今日の出来事を日記に綴った。
「今日は最高の一日だった。新しい友達ができて、これからの学校生活が楽しみだ。」
アイの心は、新しい学期に向けての希望と期待で満たされていた。