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5. オリジナル衣装のパロじゃないです公式です。身長以外は。

そうして永瀬さんを説得し、我々は衣装を交換した。


まず永瀬さんには掛川先生になってもらう。

そして私は一旦ドラッグストアに駆け込み、更衣室へ舞い戻るとワックスでオールバックを作ってワンデイヘアカラーを髪に振りかけた(※比喩です。更衣室でパウダー系の物を撒き散らしてはいけません)。


そう、ウィッグを使わない地毛コス! 二十代の頃にちょっとだけやったことあるけどものすごーく久しぶりにやった! うっかり人生初とか思いかけた! ちょうど昨日出発する前に髪切ってて良かったー!


そうして私は勝利くんの仲間、「けいくん(勝利くんが唯一ひらがなで呼ぶのこのけいくんなの天才の所業すぎんか?)」コスへと予定を変更した。

髪をカットする時にボブと見せかけたソフトツーブロックにしたのだが、カットされながら実は「ちょっとけいくんぽくて良き」と思っていたのを思い出したのだ。ちなみにオールバックの下は長めの髪が飛び出さないようヘアピンの山ができている。

私服のズボンが黒だったのもあり、学ラン上着とイヤーカフを永瀬さんに借りることでどうにかなった力技である。ついでにポーチにカラコン入れっぱなしにしていたのも助かった。

ちなみにここは推しポイントなんだが勝利くんの仲間は全員左耳にお揃いのピアスを着けて学ランの前ボタンを留めている。ピアスの数は勝利くんが一番多い。キャラデザの発想が天才すぎんか?

なお靴は着替え終わってから真っ先に二人で商店街の靴屋で買い直した。聖地の経済にも貢献している。地元だけど。

ウィッグではないため自分の顔の形を変えるテーピングが出来ないのが残念だが、隣を歩く永瀬さんの身長157センチ掛川先生は原作のスラっとしたイメージから一転、子犬のような愛らしさが産まれていて最高なので問題ない。

いやまじで永瀬さん掛川先生合うな? 子供の頃の掛川先生みある〜! 原作に出てきたことないけど絶対にこんな感じだわ。このカシオミニをかけても良い。


「ウミさんのけいくん成長したらこうなる感すごいですね……かっこよ……」


永瀬さんも似たようなことを考えていた。

私は身長169センチある。けいくんは勝利くんより背が低いのでお互いに身長逆転コスだ。

 

「あっここです永瀬さん、この電柱!」


商店街横道へ入ってすぐのなんてことない電柱そばでしゃがみ顔だけ永瀬さんに向けて出す。


「ああー! ほ、本当だここー! 原作ー!」


スマホで恋戦第一話カラー画像を開きながら二人小声で興奮する。なんてことない一コマ、主人公がジト目で電柱から顔をのぞかせるシーンである。後ろに見える黄色い看板のバーガー屋・コッテリアが特徴だ。

第一話で恋戦がドツボすぎた私は、地元の友人、つまりこの聖地が遊び場であるオタ友に「一話だけで良いから読んでくれまだ一話しかないけどお!」と連絡した。

すると数日後に突然「ここじゃんwww」と写真と共に連絡が来たのだ。

あの日は興奮と感動でネットの海に何を口走ったか覚えてない。ただ、その興奮とテンションのおかげで永瀬さんと出会うことができた。

この電柱は恋戦の始まりでもあり、私達の始まりでもあるのだ。

なんかいい感じに言ってるけど作中の一コマでここまで人生の出会いと行動に突っ走れる我々は一般的に見て狂気の域に達していると自覚している。極力人様にご迷惑をかけないよう作品を楽しむ暴走特急Fanatic! おかげさまで電柱一本だけで我々とっても幸せです!

電柱の後ろに見えるコッテリアは作中何度も登場しているだけあって、ガラス越しに何人ものレイヤーさんが入店しているのが見えた。

あそこは多分今日は混むだろうと当たりをつけていたので明日ゆっくり観光しつつ回る予定である。有給万歳。


「待ってくださいウミさん! ここから見るとコッテリアの二階窓が見えますよ」

「えっあっあれカヤちゃんレイヤーさん……! 原作再現……!」


街イベはこんな突然の知らないレイヤーさんの何気ない素晴らしい姿が拝めるからたまんねえなあ! そんな気持ちで感慨にふけっていた。


「あの」


突然の声に私達は振り向いた。


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