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14. ***横田家の夜***

「やだー! ねなーい!」


笑い声を上げてさくらは脱衣所から飛び出る。今日はパジャマを着てくれただけ待てたから良い方だ。


「さくらー、寝なくてもとりあえずママにおやすみしなさーい」


さくらは扉の前で立ち止まり、こちらをチラリと振り向くとニヤッと笑って素早く隣室へ滑り込む。

大きな音を立てて閉まる扉に「やさしくしめなさーい」と言いながら晴馬も向かう。

扉を開けると、さくらはママの前に座っていた。父親である晴馬が自分を見ていることを確認すると、さくらはママに向かって挨拶をする。


「おやすみなさい」


晴馬はさくらの頭を撫でる。


「挨拶上手くなったね」

「でもねなーい!」


晴馬の掌から飛び出し、さくらは元いた部屋に戻っていく。毎日のことながら晴馬はため息をつく。今日も寝かしつけ2時間コースだろうか。


「おやすみなさい」


手を合わせ、挨拶をする。

そうして仏壇の前から立ち上がると、晴馬はさくらを布団に寝かせるべく部屋を出た。

パチリという音と共に部屋の明かりが落ちる。

暗くなった部屋で、さくらのママが写真立ての中から微笑んでいた。


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