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11. みんなもちゃんと寝ような。約束だぜ。

「嘘!?」


思わず大きくなってしまった声に、永瀬さんはハッと口元に手をやり辺りを見回した。

夜のファミレス。

もちろんここも聖地の一つ。

あの後、極力人目につかないよう挙動不審になった私をかばうように「私が前に出ますね!」と永瀬さんは言ってくれた。その言葉通り移動時は私から一般人の盾になるように歩き、撮影も人通りの多い場所では私がカメラマンになれるよう率先して写ってくれた。

お陰で道行く人は七色のドレッドヘアばかりを見、ほんの少しの人がついでのように私を見るだけだった。それもほとんどが若い世代ばかりで、私と同年代の人はほぼゼロ。うんうん恋敵戦争の知名度はまだまだ若年層だよね、アニメ化でこれから広がっていくのだよ、うん。

「ウミさんのウィッグ完成度高いから見てる人ほとんどこの頭見てましたよー」なんて笑ってくれる永瀬さんの姿には後光が見えた。


更衣室が混む前にと撮影可能時間より少し早めに切り上げ素顔に戻った私達は、アフターとしてこのファミレスにやってきた。

そこで横田に話しかけられた本当のこと、やつが私の同級生だったことを打ち明けたのだ。


「ウミさんがあのオジサマの同級生?」


永瀬さんの言葉に頷く。


「えっと、あの、ウミさん……すみませんが、ご年齢を伺っても?」


指を四本立てた。


「24?」


永瀬さんあなたは世俗の穢れに染まらない天使か?


「そんな一回り以上サバ読まないです……」

「34?!」


永瀬さんが小声で驚く声。それを聞いて苦々しく息と一緒に吐き出す。


「よんじゅうです……」


永瀬さんの時が止まった。


「……え?! は?! 嘘でしょ、いや、嘘ですよね?!?! せいぜい二十代後半くらいかなってずっと思ってましたよ?!」

「お世辞でも嬉しい……ありがとう……」

「いや盛ってませんて! 下手したら年下かなって、でも落ち着きがあってすごいなって、え、年上? 十個も!?!?!」


そうか永瀬さんは30かー! いやあなたも十分お若く見えるが? やりとりから二十代後半かもしれないなーとは思ってたけど初めて会った時は二十代前半かと思ってたよこっちは!


「ええ……よんじゅう……あのオジサマの見た目だとウミさんのお母さんは結構お若いんだなって……」

「子供がいたとしても24の子は流石にいないよ〜……」


いや十六で産んだらギリギリいるか。私もそんな年齢になったのか。自分で自分の思考に歳を取った気がした。

いかんいかん。


「でも、だとするとウミさんの同級生は逆になんというか……その、なんか苦労されてきたんですかね? もう少し年上に見えましたけど」

「永瀬さん言い方優しい〜ダイレクトに老けてるとか他人に言わない人よどうか幸あれ」

「拝まないでくださいよ……私が逆に拝みたいですしその見た目のご利益欲しいです」


と、ちょうど猫の顔をした配膳ロボットがやってきたのでお互い料理を取る。久しぶりにここの小籠包食べるなあ。


「私も小籠包頼も……」

「後で私も卵焼き頼みますよ? あと今日はイベントだったんでしっかり食べます」

「じゃあ私もしっかり食べちゃお!」


うーん永瀬さんのこの笑顔、可愛い〜! 撮影会終わりに永瀬さんのこの笑顔を見るためアフターやってると言っても過言ではない。コスプレしてるときのキャラの顔も良いけど、素の表情もとっても素敵なのだ。気が合うってだけじゃなく、永瀬さんのこういう所も一緒に撮影会したいなと思わせてくれる。


「ウミさん、どうやったらそんな美と若さを保てるんですか、秘訣は?」

「運動と栄養と風呂と睡眠」

「すいませんっした」


机に着きそうな勢いで永瀬さんは頭を下げた。


「謝らないで……永瀬さんも多分そろそろ自分の身体が無理できないことに気付きつつあるお年頃だと思うから……」

「ううっここ数年怪我の治りが遅くなったしクマも取れにくくなってきてるって実感あります」

「とりあえず睡眠は死守した方が良いですよガチで」


マジで。


「肝に銘じます」


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