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DUNGEONERS:VAGRANT  作者: 澁谷晴
第4章
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第49話 不死業

 不死業とはその名の通り、不死でなければできない仕事のことだとアスフォデルは言う。

「例えば試し斬りとか、致死迷宮の探索などだ、前者は今日日あまりないが。そうでなくとも単純に頑丈さを活かして無茶な試練に挑むこともできる」


 致死迷宮とは、立ち入っただけで死亡する、あるいはそういった力を持つ魔物が生息する迷宮で、不死者であることが前提とされる。不死兵団は歴史的にこの探索に多く従事してきた。


「有名なものだとバカンの〈落日回廊〉やギョールの〈死竜の巣〉だな、そうでなくとも各地にそういった迷宮はある、だが、今の時点の君では、死なないといっても強敵を打破する力もないはずだから、難易度を考慮する必要はあるが。ここに来る前に迷宮で見せたという、巨大な魔物に変身する力とやらは、自由に使えるわけではないのだろう?」


 確かに、ここに来るまでの砂漠で何度も窮地に陥ったが、あの魔物になることはできなかった。


「なら、北へ進みながら、低難易度の致死迷宮に挑むべきだな、つまり、立ち入ったら死ぬという点以外は、並みの迷宮と同じようなもの、という場所だ」


 グンルは街を出て、再び砂漠を突き進む。帝国の野外はだいたいが迷宮も同然で、ここでも魔物によって何度も落命を余儀なくされたが、アスフォデルがいるのでその頻度は多少なり減った。彼は監視者という名目で来ているものの、グンルの進みが牛歩に過ぎるので、業を煮やして手を貸してくれた。


 彼の持つ黒い魔剣は兵団において、死そのものを無効化するか、即座に復活するタイプの不死者に与えられる兵装だった。少し斬りつけただけで双方の命を奪うそれは、本来は使用者が、差し違える覚悟で必ず相手を屠るために用いるものだ。


 アスフォデルが倒した魔物の肉は、食用に適しているのであれば彼が解体し、そうでないなら影の魔手でつかみ、まともな食事と交換した。


 砂から突き出た、鋼の巨人の手の下で野営することにした。この巨人はどの勢力が用いたものなのか、掘り起こして運用したりはできないのか、と尋ねると、


「さあ、こいつの敵と相対していた、どこかの勢力だろうな。こんなにデカいと色々と大変なので、もう誰も使わないんじゃないのか。現実的に運用するとなれば、グリモの騎士どもが乗る魔導鎧機くらいのサイズがせいぜいだろう。わたしはこれが使われているのを見たことがないし、あるいは、最初から残骸だったのかも知れないな」


 致死迷宮を目指して砂の吹き上げる中を進む途中、誰かがあることを言った。それはアスフォデルの声のようだったが、アーロンのようでもあった。


「座長が何を望んでいるか分かった。いずれ世界中が既知になる、それをマルゴルはあまりよく思っておらず、対策を取ろうとしているわけだ。グンル、君が見る幻たちもまた、それぞれが幻を見る。違う幾多の世界を観測する。それが狙いなのだ。この砕かれ、繋がれた世界をさらにいくつも分岐・拡散させ、それらを時に共鳴させ、交わらせる。まだ多くの座員を集める必要がある。あなたが大地を進むとき、その後ろに続く列がこの砂漠を横切るほどに」

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