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DUNGEONERS:VAGRANT  作者: 澁谷晴
第1章
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第13話 屍術特区

 屍術特区といっても別段、他の場所と変わりはなかった。トウモロコシ畑と化した通りと、うろつく豚や迷宮守り、半分崩れた建物などがあり、露天でやる気なさげに商人がガラクタや料理を売っている。ただ、屍術師らしき人物は確かに何人か見かけた――喪服と、目の周りに塗った黒い霊薬が目印だ、その霊薬は霊視の力を強めるものだ。堂々と、動く骸骨の従者を連れている。


「新しい場所に来た記念に、どうです、一杯やるというのは」

 レームが言った。この黒騎士は、本当に修行が目的で旅をしているのだろうか。まず一仕事して、今日のぶんの宿泊費と食費くらいは稼いでから飲むことをグンルは提案した。


 地面に亜麻布を敷いて、その上で獣の骨を磨いている屍術師がいた。吸血鬼の男性で、昼間の屋外で平気なのかとグンルがレームに尋ねると、彼らはかなり個人差があり、日中活動可能な〈ディウォーカー〉の中でも軽めな人は、わずかな頭痛程度で済むという。もっとも彼が我慢強いたち(・・)で、強烈な苦痛を涼しい顔で耐えているのかも知れなかった。


 屍術師は二つの種類に大別できる――素材にとにかく手を加えて理想の作品を作るタイプと、素材をなるべくそのまま生かすことをよしとするタイプ。この術者は前者らしかった。後者の場合、複数の個体を組み合わせるなどはもってのほかだが、セワードと名乗ったこの人物は様々な生物の骨を蒐集し、厳選するのを好んでいるようだ。


「何? アンデッド狩りに向いた場所? ああ、その妙な魔法剣で――屍術を阻害? わたしの作品にその物騒な代物を近づけないでくれよ。そっちの角を曲がったところに地下墓地がある、パン屋の店内に入り口があるんだ、おかしな話だがずっと昔からそうだっていう話さ。わたしは夜までここにいるから、そうだな、仙骨と左の大腿骨が手に入ったら持ってきてくれ。いい素材なら買い取ろう。あと赤ドロの缶がよく出るから、それもだ」


 言われた通りの方角へ向かうと、確かにパン屋があり、店内に地下への階段が開いている。そこから入るなら何か一つ買えという注意書きがあったので、ドーナツを買った。

「グンル殿も両刀使い(デュアルウィルダー)なのですね」とレームが呟いた。グンルは、自分は〈墓荒らしのケペシュ〉一振りしか剣を持っていないと言うと、彼女は甘いものを好む酒飲みをそう呼ぶのだと補足した。


 パン屋の店主は、この地区には不似合いな戦士のような雰囲気の老爺だった。引退した吸血鬼狩りか何かではないかとグンルは憶測した。彼は、地下墓地には大して強力なアンデッドは湧かないが、もし傷を負ったらきちんと浄化しろと忠告した。

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