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アリスは中学生~ダメ兵士のやり直し中学生ライフ~  作者: セフィ
アリスは中学1年生
9/28

1年生12月 歳末緊急出動!? 石焼き芋事件簿

「芋ですっ!」


 朝のホームルーム。

 1年1組に入って来た担任が、とても朝の教室らしからぬにおいを嗅ぎつけ、すぐにアリスのもとにやってきた。

 これはなんだ、と聞かれて、アリスは即答する。


「芋だと……。

 どう考えても、これは芋というか……、ジャガイモだろ!」


「何が悪いんですか?

 石焼き芋って、別にさつまいもに限ったことじゃないですよ」


「そんな話をしてるんじゃない!」



 アリスの持っている芋は、どう考えてもじゃがバター。

 よって、ジャガイモと言うよりもバターの匂いが黒板やら窓やら、下手をすると教室の外にまで漂っている。



「先生もどうですか。

 石焼きジャガイモ」


「食うかっ!

 てか、その石焼きジャガイモ、どこでもらってきたんだ!」


「もらってきたんじゃありません!

 ちょっと早く登校して、後者の後ろで落ち葉を集めて火を付けてもらって」


「ちょっと待った」


 もはや石焼きになっていない件。

 それはともかく、当然、学校の敷地内でやってはいけないことだ。


「もらった、というと、他に協力者がいるんじゃないのか」



 いつになっても始まらないホームルームに、1年1組全体がざわめき出す。

 ところどころから「バーニングカイザーじゃね」とか声が上がるほどだ。


 勿論、バーニングカイザーとなる生徒がそんな非常識な行為をするわけがないのだが。



「協力者は3年の先輩です。

 3年2組の沙羅先輩。

 少しだけサラマンダーに変身してもらって、落ち葉に火を付けて、二人で一緒に食べました!」


「はぁ……。

 って、人を巻き込んで、こんな朝から迷惑なことをするんじゃない!

 分かりましたね!」


「はい……」



 アリスのじゃがバターは、1時間目が始まる前に全部食べることになったのだった。

 アリスと沙羅の食べる量が全く違うので、沙羅のほうは朝ごはんのパンにバターを塗り過ぎたレベルで済んだわけだが……。


 これで終わりではなかった。

 その30分後。



――ジリリリリリリン!


――ウーウーウーウー!


――火災です!

  火災が発生しました!



 東領家中学校全体が騒然となる。

 1年の教室が一番上なので、そこまでにおいは充満しないものの、下に行くほど煙に反応したのだった。


「なんか、嫌な予感がする!」


 アリスは廊下に飛び出し、窓を開ける。

 窓から強烈な煙が入ってくるが、その煙を辿ると、案の定アリスが石焼きジャガイモをやった場所だ。

 空気が乾燥し始めたことで、消えたと思っていた火が消えていなかったのだ。


「私が悪いんです!

 あ、でも、放火じゃないです!

 ちゃんと、平和的な火の利用をしてます!」



 アリスは、女子トイレの掃除用具入れの中からバケツを取り出し、蛇口をひねっていっぱいにすると、窓からバケツの水をひっくり返す。

 当然だが、それで火が消えるはずがない。


「あぁ~ん!

 どうしよう~!

 私、やり直し中学生なのに、停学になる~!」



 その時だった。



水明(すいめい)の刀!」


 輝くような巨大なマントを携え、精霊が宙に浮く。

 その手が真っ直ぐ火に伸びると、その火を囲むように巨大な水柱が上がった。


「すごいすごいすごいすごい!

 この学校、炎使いばっかりじゃないんだ!」


 現れた精霊は、メルシーウンディーネ。

 3年2組の砂田羽海(うみ)が変身した姿だ。


「なんか、どんどん消えてく……。

 この世界でも、異能力使える人がたくさんいて助かる……」



 その時、アリスは大人の強そうな腕に掴まれた。


「なにが助かる、だ!

 火は消えたから、授業再開だ!

 何と言っても、アリス、お前が原因なんだからな!」


「はぁい……」


 教科担任に腕を掴まれて教室に戻るアリスは、上がってくることのない煙の臭いを待っていた。

 おいしいじゃがバターの香ばしさを思い出すように。

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