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アリスは中学生~ダメ兵士のやり直し中学生ライフ~  作者: セフィ
アリスは中学1年生
4/28

1年生6月 アリスと蟻の巣

「アリス、そのお菓子、何?」


 アリスが東領家中学校に入学することになって3ヵ月目、ついにそれがバレてしまった。

 たまたま膝を曲げた女子に、机の中を見られたのだ。

 アリスは、慌てて引き出しを閉じようとするが、時既に遅し。


「いや、何も入ってないです」


「お菓子が見えたよー?

 給食もいっぱい食べてるし、それでも食べるんだー」


「あ……、あの……。

 私、給食だけじゃ足りないんで……」



 当然、給食は食い意地の強いアリスに量を合わせているわけではないし、給食当番もどれがアリスの皿か分からないまま配膳している。

 だからこそ、「オメガピース」から学校用のお菓子を勝手に持って来ている、というわけだ。

 そのことすら問題なのだが。



「でも、学校にお菓子をストックできるの、羨ましい。

 異世界に帰ってるから、バレないものね」


「そ、そう……。

 簡単に隠しておけるんです!」


 アリスは、ついに引き出しからマカロンの袋を取り出し、突っ込んできた女子に見せた。


「せっかく見ちゃったんで、クッキーあげます」


 アリスは、袋からクッキーを取りだし、その女子の手のひらに乗せた。

 その瞬間、嫌な臭いが教室に漂った。



「アリス……!

 これ、賞味期限切れとかなってない!

 ところどころ黒ずんでるんだけど!」


「あ……?」


 アリスは、もう一つクッキーを出してみた。

 そっちの方が、黒ずんでいた。



「あー……、これ、腐ってますねぇ……。

 『オメガピース』でソードマスターからくすねたのが……、もう半年ぐらい前」


「アリス!

 それ、捨てた方がいいって。

 なるべく、何重にも袋で包んだ方が、臭いでバレずに済むって!」


「ふぁい……」


 アリスは、その女子から渡されたビニール袋に腐ったクッキーを包んでいく。

 不安になって、引き出しの奥の方も調べた。

 するとそこには、蟻が数匹お菓子を食べていたのだった。


「いやあああああああああ!」


「アリス……。

 机の中に蟻を呼ぶなんて、見たことなーい!」


 逃げ出す女子。

 アリスは流しに行って、引き出しを洗うしかなかった。



~~~~~~~~



「さようなら、私のお菓子……」


 翌日アリスは、市販のゴミ袋の中に腐ったお菓子を詰め込んで、ゴミ収集所にとぼとぼ歩いた。

 ゴミ袋を見るたび、アリスの目に涙が浮かんでくる。


 その時、ゴミ袋に誰かの足が触れたような気がした。

 それも、硬い足。


「あ、すいません……」


 アリスは、思わずゴミ袋にぶつかった生徒の顔を見た。

 だが、逆にその生徒はアリスの前で立ち止まり、片手をアリスに振った。


「はろ~!」


「は……、はろ……。

 って、なんかものすごく元気じゃないですか!」


 その女子は、赤い髪で目が丸い。

 見るからにやる気を生みそうな表情をアリスに浮かべていた。


「私、万田(まんだ)沙羅(さら)

 自称、学校で一番元気なサラマンダー!」


「サラマンダー……。

 って、それ苗字と名前をひっくり返しただけの、オヤジギャグじゃないですかー!」


「私、オヤジじゃなーい!」


 思わず笑った沙羅が、アリスの肩を軽く叩く。


「で、大好きだったお菓子を捨てるんでしょ?

 辛いよねー」


「あ……、もうバレてる!」


 一瞬で、お菓子を捨てに行くことが分かってしまった。

 アリスは、やや体を後ろに傾ける。

 だが、そこでアリスは息を飲み込んだ。


 こうやって、理解してくれるように話すの、まるでソードマスターみたい……。


「えっと……。

 蟻に食べられたんです!

 引き出しの中が、蟻の巣になってました」


「それ悲しい!

 早く食べれば良かったのにね!」


「それができないから、私は中学生をやり直すことになったのかなって。

 アリスの蟻の巣……、なんてくだらないオヤジギャグしか言えない、ダメ中学生です」


「ダメじゃないって、アリス!

 辛かったことは忘れられないけど、まだ大丈夫!

 前向きに生きていきましょ!」



 沙羅が、アリスの肩をポンと叩き、そのまま歩き出した。

 この沙羅が、ソニックサラマンダーだとは、この時のアリスには思いもしなかった。

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