3年生1学期 罰ゲームつき修学旅行②
「はい、始まりました!
修学旅行~っ!」
3年1組の生徒たちの中で誰よりも早く、東京駅の集合場所にやって来たアリス。
周りの生徒が、学校行事であることも忘れて浮かれている中では、アリスの号令は全く響かない。
そんな中で、担任の中原が近づく。
「アリス。
カバンの中、特に食料を見せて欲しい」
「食料……?
ショック療法の略ですか?」
修学旅行と無関係なことを言うでない。
「食料。
京都からのバス車内で食べる弁当と、300円までのおやつ。
300円までの」
「あ……」
アリスが、中原の前から一歩後ずさりする。
当然、トライブに内緒で『オメガピース』から持ち出してきたお菓子は、その10倍以上の量だった。
「300円までの。
では、まず1つ目のお菓子」
「ポッ〇ーです。
みんなでシェアするのに最高のスナック菓子です」
アリスが〇ッキーの箱を取り出すと、中原はその箱をじっと見つめる。
「あのな。
お菓子をシェアできたら、1人300円を破り放題なのは分かってるよな」
「はい。
でも、私がお菓子を持って来るって分かってるので、みんな狙ってくるはずです」
アリスのお菓子など、狙ったところでアリス以外の口に入ることはない。
「あ……?」
中原は、ポ〇キーの箱の下に同じような箱を見た。
「まさか、同じものを2つ持って来てないだろうな」
「ギクッ……!」
その「ギクッ」が自白であると、何度教わっても分からないのがアリスだ。
「2つ目で、300円超しますよね。
没収です」
その時、2組の担任・藤野が中原の横に立った。
「中原先生。
生徒が1人、いま家だそうで、私たちの乗る新幹線に間に合わないみたいです」
「本当か!」
3年生の担任団が、わらわらと集まってくる。
中原は、アリスのカバンを掴むことも忘れ、そのままアリスから離れていった。
「助かった……」
アリスは、中原の見ていないところでポッ〇ーを食べ始めた。
当然、証拠隠滅のためである。
だが、この修学旅行でアリスに課せられたミッション「体重を減らせなければ居残り」は、前日に中原の前で体重を測った段階で、始まっていたのである。
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1日目の奈良観光が終わり、京都の宿に到着。
先生たちが何度も緊急ミーティングを開いているが、その理由は1組の生徒たちには告げられない。
よって、アリスはホテルに着いてもお菓子の食べ放題を続けるのだった。
「大丈夫?
アリス、体重増やしたら東京に帰れないんじゃなかったっけ」
同じの部屋になった、クラスの女子生徒までアリスを心配する。
「最後に帳尻合わせればいいんです!
逃げる方法、いくつか思いついてますから」
「でも……、そうじゃなくても、もうすぐ夕食だよ?」
「このお菓子で、もっとおいしくなるじゃないですか!
2日目は予約した八つ橋があるから、カバンのお菓子、全部食べちゃいます!」
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そのまま、深夜まで断続的にお菓子を食べ続けたアリスは……。
「アリス。
朝食の時間です!
いつまで寝てるんですか!」
女子だけの部屋にまで、担任の中原が入ってきて、アリスはようやく目が覚めた。
「あぁ……、先生の丸焼きがおいしい……」
「誰が丸焼きですか。
さ、朝なので体重を測ります」
「えっ?
そんなスケジュール、しおりにありましたっけ」
「アリスのために、体重計を帯同させているんです。
それに、昨日のお風呂上がりで体重計を借りに来なかったでしょう」
「あっ……。
なんか、そう言われてた気がします」
アリスは、畳の上に置かれた体重計の上に足を乗せた。
十の位に「9」という数字が付いたり消えたりした。
「90.1kg……。
この1日半で、どれだけ太ったか計算してください」
2.9kgである。
「明日の昼で、居残りが決まります。
それまでに、必ず痩せるように」
「はぁい……」
アリスの目の前に、徐々に居残りという現実が迫ってくるのだった。




