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アリスは中学生~ダメ兵士のやり直し中学生ライフ~  作者: セフィ
アリスは中学2年生
21/28

2年生3学期 女剣士・その後

「えっ、北欧神話部、倒されちゃうんですか?」


「なんか、4組の鈴木が独り言でそう言ってたぞ!」



 2年生が終わろうとしている頃、アリスは2年2組のクラスメートから言われた言葉に固まった。



「そうなんですか。やだー。

 見た目、なんか美しいロボットばっかりだったのに、倒されちゃうんですね」


「まぁ、バーニングカイザーの敵勢力になってたから。

 それはそうと、アリスのところの女剣士、リベンジに来るって言ってなかったっけ」


「あっ……」



 アリスは、普段「オメガピース」で一緒に生活をするトライブの顔を一瞬で思い出した。

 敗北直後、トライブは相手となるロボットを探し回ったが、その世界にいないと分かり、そこから動きがない。

 だが、テュールソーディアンと再戦を望んでいることだけは間違いなさそうだ。



――私は……、もう一度戦いたい。負けた瞬間から、そう思ってる。


――私だって、ロボのあなたを倒したいわ。



「ソードマスターが、あのまま引き下がるわけがないです」


「だろ?

 『クイーン・オブ・ソード』って呼ばれる力、最後にもう一度見たいなって」


 アリスは、クラスメートに肩を叩かれた。

 うなずかざるを得なかった。



~~~~~~~~



(そら)くん、連れてきましたー!」


 翌日、2年1組のホームルームが終わった瞬間にアリスが教室のドアを開ける。

 そのまま、宙の席まで行って廊下を指差す。

 宙も、その意味が分かったようだ。



「あっ、あの時の……」


 宙は、すぐに廊下に向かう。

 長身はともかく、金髪を輝かせるトライブの姿は、数ヵ月経った今でも思い出せる。



「もうすぐ、テュールソーディアンに変身できなくなるって、アリスから聞いたけど本当?」


「あぁ。

 俺は最終決戦に加われないみたいだけど、たぶんうちの部はそろそろ危ないと思う」


 廊下には、これから部活へ向かう2年生が次々と行き交う。

 再び学校に現れた女王に、誰もが一目振り返る。


「私、もう一度戦いたい。

 本気のテュールソーディアンと」


「マジかよ……。

 それで、ここに来たのか」


「そうね。

 戦いたくなかったら、いま無理して戦わなくてもいい」


 宙の体が、軽く震えた。



「たしか、もう一度戦いたいって言ってたよな。

 俺だって、ソウルアップしてもあの力を感じた以上、受けて立たなきゃいけない」


「じゃあ、勝負ね」



 2人は、春になりたての優しい光の下に出た。

 宙がミラーストーンを太陽の光にかざし、上空へ飛び立った。

 校舎の上から白い光が弾け、剣を持った巨大ロボが上空で輝く。

 校庭に降りるにつれ体を小さくし、地上に降り立ったときにはトライブとほぼ同じ全高に縮んだ。


「勝負っ!」


 剣を銀色に輝かせる、テュールソーディアン。

 アルフェイオスを正面に構えるトライブに向かって、鋼の足で駆ける。


「戦う以上、俺は容赦しない!」


 テュールソーディアンの口元が動いたところで、トライブの足も動き出す。


「はああああっ!」


 両者の剣が、激しい音を立ててぶつかる。

 剣の勢いは、少しだけトライブのほうが上だ。


「まだまだよっ!」


 一度相手の剣を横に反らし、その上からアルフェイオスを強く叩きつけるトライブ。

 テュールソーディアンの勢いを、完全に押さえ込む。


 それを傍から見るアリスは、早くも体を震わせていた。



「ソードマスターが、最初から飛ばしている。

 今まで、こんなバトルあまり見てないし……、時間が経ったら相手の反撃に耐えられなくなりそう」



 アリスの読み通り、押さえ込まれていたテュールソーディアンの剣が一気に振り上げられ、今度はアルフェイオスが右に傾けられる。

 だが、トライブは一瞬で剣の向きを元に戻した。



「なかなかやるな、トライブ」


「同じような負け方は、しないから」


 トライブが力強く告げたところで、テュールソーディアンが大きく後ろにジャンプ。

 テュールソーディアンの剣身に、電撃が走る。


 だが、それを見てトライブが走り出した。


「また、負けに来たようだな」


「はあああああ!」


 電撃に満ちた剣が、いまアルフェイオスに振り降ろされる。

 だが、トライブはアルフェイオスを軽く横に反らし、柄の近くを狙って振り下ろした。


「なっ!」


 電撃がほとんど襲ってこない、剣の根本。

 相手の手に近く、以前この攻撃で受けた電撃と同じくらいの衝撃が、トライブの手を襲う。


 だが、その衝撃は、女王の想定内――。



「はああああああああっ!!!!!」



 一瞬の隙もなく、再び振り降ろされたアルフェイオス。

 「クイーン・オブ・ソード」が出せる限りの力を、相手の剣に叩きつけた。

 1秒もしないうちに、剣がテュールソーディアンから引き離される。



「なんだ……、この衝撃……。

 前のバトルを、はるかに上回る……」



 落ちた剣を一目見て、トライブにうなだれるテュールソーディアン。

 対するトライブは、表情を一気に緩めた。



「強かったじゃない、テュールソーディアンも。

 でも、私だって勝ちたかった。

 テュールソーディアンに、どうすれば勝てるか、あれからずっと考えてたのよ」


「トライブ……。

 この俺に、そこまで考えてたのか」



 トライブは、口元を震わせた。

 そして、自分のこれまでを確信するかのようにうなずいた。



「私が、剣で生きるって決めたからよ。

 本気になれるのが、剣を持った時だけだから」


「すげぇ」



 春の夕日が差し込む校庭。

 アリスの目に、2つの長い影が映る。

 本気の戦いを終えた剣士たちを、優しく包み込んでいるかのようだった。

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