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アリスは中学生~ダメ兵士のやり直し中学生ライフ~  作者: セフィ
アリスは中学2年生
20/28

2年生3学期 メロンパン・その後

 冬の寒い朝。

 2年2組の教室にアリスが入ると、アリスの席に巨大な箱が置かれていた。



「あ……。

 私の席にお花……」


 物騒なことを言っちゃいけない。


「……って、パン屋から何か頂ける?」


 ク□ネコの伝票が貼られた箱の差出人は、領家市内にある有名パン屋、パン・ド・ナゾー(謎のパン屋)からだった。

 品名のところには、食品としか書かれていない。


 そこに、クラスメートのさつきが箱の前に立つ。


「アリス。

 昨日、アリスが帰った後に宅〇便が教室まで運んできたの。

 アリスは普段異世界にいるから、ここにしか置けなくて」


「ありがとうございます。

 あの……、さつき、さん?」


「どうしたの、アリス?」


「中に何が入ってるか、言ってなかったですか?」


 アリスは、そう言いながら梱包のガムテープを剝がしていく。

 さつきは笑っていた。


「中身、言ってたよ。

 アリスが1学期に恥をかいたやつ。

 社会の授業で、一人旅の発表をしたでしょ?」


「萌ちゃんに騙されたやつですか……。

 あれはあれで楽しかったです。

 あれ……? そこで何を食べたっけ……」



 アリスの旅の記憶は、何を食べたかでしかないのだった。



「あー、いきもの食べてた」


 某平仮名7文字のアーティストのファンから、なんつーオチだと言われたことだけは覚えているようだ。


「そうじゃなくて、メロンパン。

 寝言で言ってたでしょ、メロンパン!」


「あーっ!

 メロンパンのこと言ってました!

 もしかして、それ食べられるんですよね。私」


「どうかな……。

 メロンパンのオブジェかも」



「本物か偽物かで大違いです。

 じゃあ、テープを開けますよ!

 ベリッ!」


 アリスが段ボールを開けた瞬間、中には大きな袋。

 その中には、明らかにメロンパンの匂いが充満していた。


「この中、本当にメロンパンです。

 もしかして……、私が海老名のメロンパンのことを学校に広めたからですか?」


「どうだろう……」


 アリスが顔を上げると、さつきの後ろに見知らぬ男性が立っていた。


「あっ!

 さつきさんの後ろに、誰かいます!」


「えっ……。

 あっ、パン・ド・ナゾーで見る人……」


 それがパン職人だと分かるまで、2人はものの数秒もかからなかった。

 男性はアリスに軽く頭を下げた。


「君がどうしても、この世界でメロンパンを食べたいと言ってたから、特注品を作ってきたんですよ。

 あっちの世界では、まず見ないサイズのはずです」


「ってことは、『オメガピース』自治区のパン屋で売られてる、ジャンボメロンパンよりも大きい……?」


 そのサイズ、残念ながらこの教室でアリス以外には分からないのである。


「かも知れませんね。

 じゃあ、手に取って下さい」



 パン職人に言われるままに、袋の中に手を入れるアリス。

 次の瞬間、指が届かないことに気付いた。


「あっ……、これ……。

 ガチのやつだ……」


 アリスは、片手で掴めないと分かると、すぐに両手を入れる。

 ようやく取り出したメロンパンは、袋の中いっぱいに入っていた。

 その重さ、1kg。

 アリスの机いっぱいに広がってしまった。



「これ以上ない幸せです!

 パン・ド・ナゾーさん、ありがとうございます!」


「いや……、ここからですよ?」


 パン職人が、頭を下げたアリスをじっと見つめる。

 アリスが突然、正気に戻った。


「このメロンパンの消費期限は、今日です。

 つまり、今日中にこれをお召し上がりいただきたいところです。

 まぁ、異世界に戻される時間を考えると、休み時間にこのくらいずつ食べても無理でしょうけど」


「アリス、食べるの好きじゃなかったっけ」


 さつきとパン職人が、腕を組んでアリスを見つめる。

 アリスの足が、1歩、また1歩と下がり、前の生徒の席に当たってよろけた。


「授業サボって、食べていいですか?」


「いけませんよ。

 ちなみにこれ、プレゼントじゃなくて、メロンパンの悪夢とでも申しましょうか。

 商品名、デビルメロンパン……」


「デビルメロンパン……!

 頑張ります。いただきます」



 こうして、この日のアリスにメロンパンの悪夢が襲ってきたのである。

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