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アリスは中学生~ダメ兵士のやり直し中学生ライフ~  作者: セフィ
アリスは中学2年生
19/28

2年生2学期 剣の女王、学校に降臨!④

「せっかく呼んだゲストに、そんな言い方はないよ!」



 聖名(せいな)に背を向けたトライブの背に、力強い声が響いた。

 アリスとトライブが、声のする方に振り返る。


「あっ、バーニングカイザーの男子……」


 群衆の中から出てきたのは、オレンジ色の髪を校庭の照明に輝かせた男子、(きら)だった。

 煌は、聖名を一度見てからトライブの前に進む。

 それから、バトルを見守った群衆たちに目をやった。



「こんなのおかしいって……。

 人間とロボじゃ、差があり過ぎるよ。

 それで負けた人間の剣士に、冷めた評価するのはよくないって」


「弱いから言ってるんじゃない。

 アリスが強い強いって言うから、少しは期待してたのに、うちの剣士も倒せないレベルだった」


 聖名が、すぐに言い返す。

 煌がトライブに目をやると、アリスが真っ先に首を横に振った。

 トライブは、相変わらず何も言わず、煌を見守っている。



「あの顔を見ろよ。

 完敗して、自信を失ってるよ。

 俺たち東領家中に呼んだことで、この剣士が心に傷を負ったらどうするんだよ。

 学校に来てくれるゲストはちゃんと迎えるのが、俺たちが先生から教わったことだと思う」



 煌が訴える間、トライブは何かを考えるように下を向いた。

 煌が学校のヒーローであることは、アリスから聞いている。

 だが、出会ってほんのわずかで、トライブは既に違和感を覚えていた。


「そんなわけじゃない……」


「いま、あの弱いクイーンが、そんなわけじゃないって言ってたけど?

 だいいち、負けた、そして自分が弱い剣士だったってことを認めてるの。

 あなたは、バーニングカイザーでほとんど負けたことがないから、そんなきれいごと言えるじゃない」



 聖名が煌を押しのけ、再びトライブの前に近づく。



「あなたは弱いの。

 何を言ったって、剣士を辞めるレベルで弱いじゃない。

 とっとと、クイーンの名を捨てて、異世界の自称・最強剣士になりなさい」


「その言い方はないわよ。

 私だって、私なりに強いと思ってる。

 でも、今日のところは負けた。それだけじゃない」


 トライブの目が、一気に細くなる。



「バーニングカイザーの男子でも止められなかったから、ソードマスターが本気でキレそう。

 あまりキレることないのに……」


 アリスが、キョロキョロしながら2人を交互に見た。



「負けを認める。

 あなたはそれだけで弱いと認めた。

 クイーンじゃないと認めた。残念ね。

 悔しいの一言もない、弱い女王だったと」


「悔しいに決まってるじゃない!」



 校庭に、トライブの強い声が響いた。

 群衆が一斉に静まり返る。



「私は、たしかに異世界で『クイーン・オブ・ソード』と言われる。

 でも私は、最初から強かったわけじゃない。

 何百回、何千回と敵の前に散って、そこから何度も立ち上がった。

 だから、今の私がここにいる」


 トライブの声に、聖名が一歩足を引く。


「私に限らず、剣士はみんな敗北から強くなっていった。

 それをできるのが、人間なの。

 私は……、もう一度戦いたい。負けた瞬間から、そう思ってる。

 立ち上がるのをやめた時。それが、私がクイーンの称号を捨てる時よ」



「いいこと言うな、トライブ」


 ソウルアップを解き、ゆっくりとトライブの前に近づいたのは、先程までテュールソーディアンで戦っていた(そら)だった。



「テュールソーディアン……。

 あなたに一番聞いて欲しかった。

 私がいまどう思ってるか」


「大丈夫。

 俺、聖名が話しているところからずっと聞いてたから」


 宙が、トライブにスッと手を差し出した。


「トライブ。

 俺、テュールソーディアンであそこまでガチの剣バトルをしたことがない。

 女王の名を背負う気持ちで、最後まで戦ってたよ」


「そう思ってたのね」


 宙が、小さくうなずく。


「聖名は徹底的に弱いって言ってたけど、俺は普通に最強の剣士だと思う。

 できれば、俺がロボじゃない状態で、剣のガチバトルをしたい」


「私、手加減しないわよ。

 いい?」


「あぁ。

 俺、プロの剣士と戦えるって、こんなこと夢のような話ないから」


「あ、エクストラマッチですね」


 アリスの声に、2人が同時にうなずいた。



~~~~~~~~



「フルボッコだったな、宙」


「一度限界まで戦った女なのに、それでも簡単に倒すなんて、さっすが女王!」



 剣を渡され、トライブに正面から立ち向かうも固いガードに阻まれ、逆にトライブのパワーを見せつけられた。

 元剣道部の宙が、「クイーン・オブ・ソード」の前に屈するのは、30秒もかからなかった。



「ガチで強い。

 でも、俺、ここからまた強くなるから。

 トライブに追いつきたい」


「私だって、ロボのあなたを倒したいわ。

 その時を楽しみにしてるから」



 手を握りしめた2人の剣士。

 それを見た聖名が、静かに言い残した。


「トライブは、想像以上に女王だった……」

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