2年生2学期 剣の女王、学校に降臨!③
「さぁ、俺と勝負だ!」
宙がミラーストーンを太陽の光にかざし、上空へ飛び立った。
校舎の上から白い光が弾け、剣を持った巨大ロボが上空で輝く。
校庭に降りるにつれ体を小さくし、地上に降り立ったときにはトライブとほぼ同じ全高に縮んだ。
「これが、テュールソーディアン!」
アルフェイオスを相手に向け、トライブが細める。
両者の足が、同時に校庭の土を蹴った。
「はあっ!」
雄叫びに近い声を響かせるトライブが、剣を相手の剣に振り下ろす。
テュールソーディアンの剣が一瞬銀色に輝いた。
「俺は食い止める!」
テュールソーディアンが足を踏ん張りながら、正面からのトライブの一撃を止めた。
すぐさまアルフェイオスを離し、トライブがテュールソーディアンの剣を左から叩きつけようとする。
センサーでも付いているかのように、剣を高速で振った。
「くっ!」
またしても攻撃を止められたトライブが、後ろにジャンプ。
加速を付けて、再びテュールソーディアンの剣に狙いを定める。
「はあああああっ!」
今度はテュールソーディアンのほうが正面に剣をかざす。
アルフェイオスの力で一瞬剣がテュールソーディアンに傾くものの、今度はテュールソーディアンがすぐに剣を離し、上からアルフェイオスを叩きつけにかかる。
「はあっ!」
相手の剣が離れたと全身で感じたトライブ。
すぐに剣を振り上げる。
だが、すぐに上からの力に押さえつけられる。
次の瞬間、テュールソーディアンの剣が震え始めた。
「なに……、この衝撃!」
すかさず、剣を持つ手に力を集めるトライブ。
「剣の女王」の本気を、いま見せるとき!
「はああああっ!」
振り下ろされた相手の剣に、これまでにないスピードでアルフェイオスを叩きつけるトライブ。
相手の剣に、何度となく叩きつける。
だが、トライブの手に襲い掛かる振動は、より激しさを増す。
「なかなかだ。
だが、この剣の恐ろしさを思い知るがよい!」
突然、剣から爆発音が響き、アルフェイオスが右に弾かれる。
剣身に電撃を走らせ、テュールソーディアンの剣がアルフェイオスを叩きつけた。
「くっ……!」
トライブの手に、電撃が襲い掛かる。
それでも歯を食いしばり、アルフェイオスをより強く握る。
電撃の走る剣の動きが、一瞬止まった。
「はああああああああっ1」
一気にパワーを爆発させ、トライブが相手の剣を激しく叩きつける。
今度こそ、テュールソーディアンの剣を左に傾かせた。
「それが……、本気か!」
テュールソーディアンの口元が笑う。
再び、剣から爆音が響いた。
アルフェイオスを力いっぱい振り下ろす女王に、食らいついた。
「ソードジェノサイド!」
「なに、このスピード!」
動きすら読めないスピードで、テュールソーディアンの剣がアルフェイオスを右に左に翻弄する。
懸命に食らいつき、何度かその動きを止めようとするトライブ。
だが、勢いの付いた相手を止めることができない。
「クイーン・オブ・ソード」の手に、衝撃だけが走った。
「終わりだっ!」
上からフリーフォールのように振り下ろされた剣が、アルフェイオスを叩きつけた。
音を立てて、地面に落ちたアルフェイオス。
トライブの荒い呼吸が響く。
「勝負あったじゃない。
やっぱり、北欧神話の力は偉大」
聖名がテュールソーディアンの前に立ち、薄笑いを浮かべた。
そして、横目でトライブを見る。
「あなた、クイーン・オブ……、なんだって?」
トライブは、何も言わない。
決して聖名に目をやることなく、全く歯が立たなかったロボを見つめるだけだった。
「この学校ではもう、剣のできる女ですらない。
なにがクイーンだってレベル」
「ソードマスターがかわいそうです!」
突然、輪の中からアリスが立ち上がった。
トライブがその声に振り向くと、アリスが聖名の前に飛び出す。
「人間とロボじゃ、勝てるわけないです。
しかも、最後はスパークばっかりだったじゃないですか」
「それが私たちの力なんだから、しょうがないじゃない」
聖名が、アリスから勢いよく目を反らし、腕を組んでトライブの前に立った。
「あなた……、いや『オメガピース』の力なんて大したことない。
剣なんて、やめなさい!」
「その言い方はないわ」
トライブが、ここでようやく口を開く。
だが、それ以上口を開けることもできないほど、疲れ切っていた。
そして、首を横に振って生徒たちの輪から出ようとする。
「ソードマスター……。
言い返さないんですか」
トライブは、アリスの声に一瞬だけ振り向いた。
「負けたのは私よ。
言い訳したって、勝敗が変わるわけがない」
そう言い残して去ろうとするトライブに、わずかながら「大人」という声が上がった。




