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アリスは中学生~ダメ兵士のやり直し中学生ライフ~  作者: セフィ
アリスは中学2年生
15/28

2年生1学期 メロンパンで日本地理を学ぼう?④

「では、2学期の発表に先立って、アリスがこの日本の中で発見したことを発表してもらいましょう」


 1学期最後の社会の授業、大出がアリスを前に呼ぶ。

 片道だけ送り届けた萌が、興味ありげに前を見る。


 息を吸う。



「私は、神奈川県海老名(えびな)市と、厚木(あつぎ)市に行ってきました。

 授業中、メロンパンの寝言を言ったので、メロンパンの聖地・海老名です。

 高速道路のサービスエリアでは、美味しいメロンパンが売っていました。

 私は、いっぱい食べました。何個食べても飽きません」



「まさか、これで終わりじゃないでしょうね」


 アリスをメロンパンの寝言で注意してから、授業中何度となく食べ物が出てくると怒っていた大出。

 今回も釘を刺す。


 だが、アリスはすぐに首を横に振った。



「でも、どうしてここでメロンパンが売られているのでしょう。

 それは、ここが東京から最初のサービスエリアで、車が多く走るからです。

 少し小腹が空いてきたところで、メロンパンは最高です。

 ちなみに、製造元はここ埼玉だそうです。

 小麦が結構とれるところで製造するのも、農業の分布を考えると合っていると思います」


 バーニングカイザーの舞台が埼玉だと、スピンオフの作品で言われたくなかったぞ。

 本編では、自治体名をさんざんぼかしてきたのに。


「次に、私はタクシーで街中に向かいました。

 周りが工場ばかりなのに、相模川では鮎が釣れるそうです。

 山が近く、綺麗な水が流れているからかも知れません。

 あとは、このあたりの山々では畜産も行われています。

 なので、ホルモンが美味しい店もありました」


「B級グルメで有名なシロコロホルモンだ!」


 クラスの生徒がすぐにツッコミを入れる。


「そうです。

 本当においしくて、ホルモンなのに中身がとろけそうでした」



 アリスの舌が、不自然にじゅるりとなる。

 にやついた顔で、アリスは原稿の次のページをめくった。



「というわけで、このあたりは鮎と豚がいっぱいいる場所です。

 だから、こういった動物たちを大事にしようということで……」



 アリスは黒板に、7文字の平仮名を書き始める。



「いきものがかり、という文字を私は結構見ました。

 この場所には、生き物係がいるんです!

 それもいっぱいいそうです」


「ん……?」


 クラスの多くの生徒が、生徒同士で顔を見合わせる。

 アリスは構わず発表を続けた。


「私は思いました。

 こんなに生き物が大事にされている場所です!

 生き物係が、ウサギとかニワトリとか絶対飼っています!

 夏休みにもう一度行って、いきものがかりを買収します!

 動物食べ放題!」



 アリスは、いきものがかりを何だと思ったのだろうか。

 地元民が泣くぞ。



「段取りとしては完璧ですが……」


 政見放送みたいな終わり方の発表に、まばらな拍手が教室に鳴る中で大出が教卓に向かい出した。


「オチがあまりにも酷すぎますね。

 というより、授業の発表でこんなオチを聞きたくなかったです。

 ちゃんと、そんなアーティストがいると調べてから発表してください」


「はぁい……」


 アリスが席に戻ると、大出がため息をついた。


「先生も、いきものがかりを学校の生物係だと思っていた頃があります。

 君たちが生まれる前からいたアーティストなので、君たちはそんなことはないでしょう。

 ただ、初めてのことを聞いたときは、いろいろな知識が邪魔をして間違って覚えてしまう。

 だからこそ、アリスのように異世界で学ぶ人には気付いて、もしかしたらこの世界に13年、14年と暮らしている君たちが見過ごしてしまう光景って、あると思います。

 そのことに、いま先生が教えられました」


 突然、大出が拍手を始めた。

 それにつられて、2年2組の全員がアリスに拍手をする。


「信じられない……」


 アリスは大出に頭を下げながら、静かにそう呟いた。

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