ホームルーム
「アリス。
君は今すぐ中学生をやり直しなさい」
「えっ……?
どういうことですか?」
ここは、正義と平和を守る軍事組織「オメガピース」。
アリス・ガーデンスは、一人で総統の部屋に呼び出された。
「君は、『オメガピース』の中で、ひときわ明るい存在だ。
真面目な『オメガピース』を和ませることは、君のいいところだ。
だが、アリスはもう15歳。
学力的には、その域まで達していない。
ダメ兵士と言われているのは、承知のことだろう」
「そう……、ですねぇ……。
私、バカと言われます……」
総統が、アリスの前に紙を差し出す。
「オメガピース」対抗基礎学力選手権、アリスの答案だ。
右上には、でかでかと輝く0点の文字。
「なので、君には『オメガピース』の作戦が終わったら、中学校に通ってもらう」
「学校……。
学校!!!!!
久っしぶりに通えるんですね、やったー!
「そんな喜ぶことか?
15歳で中学校入学になるんだからな。
つまり、中学生やり直しだ」
総統の指がビシッと伸びる。
「はい……。
でも、どこに通うんですか?」
総統は、タブレットで検索をし始める。
ほどなくして映った画面には、一つのカクヨム作品が表示されていた。
「これ、セフィさんの、別の作品じゃないですか」
「そう。
『灼熱の勇者バーニングカイザー』というロボット小説の舞台が中学校だ」
「すっごーい!
バーニングカイザーに会いたいです。
てか、できれば操縦したいです!」
アリスが操縦、イコール世界の平和は守れない。
アリスというのは、そういうキャラだ。
「君には、これからその中学校に、転送で通ってもらう。
そこで、普通の中学生活を送って欲しい」
「はい、分かりました。
普通の学校生活なら、朝から夕方まで通えるんですね!
給食とか給食とか給食とか!」
早速、食べることしか考えない少女の思考である。
「言っておくが、普通に中間テストと期末テストには転送されるからな。
授業に出ていれば答えられる問題だ」
「分かりました」
すると、総統の部屋をノックする音が聞こえた。
「入れ」
アリスは、総統の声に反射的に振り返った。
ルームメートのトライブ・ランスロットだった。
「あ、ソードマスターも保護者役で付いて行ってくれるんですね」
「授業参観の時だけね」
トライブの金髪と涼しげな表情が、部屋の照明に輝く。
剣の女王と呼ばれるものの、基礎学力選手権ではどの科目も満点。
戦う相手のレベルが限りなく低い、銃セクションの初級兵アリスとは、学力でも真逆だった。
「とりあえず、トライブ並みに学力をつけろというわけではない。
せめて、15歳として恥ずかしくない、中学卒業レベルの学力をつけて欲しい。
ということで、トライブ。あれを」
「分かりました」
トライブの手に、片手で収まるくらいのチャイムが握られていた。
アリスはチャイムに体を近づけ、総統に振り返る。
「チャイム……?
ソードマスターに何を持たせてるんですか?」
「学校のチャイムだ。キンコンカンコンの。
これを押すと、お前が『バーニングカイザー』の作品の舞台、東領家中学校に飛ばされることになる」
「あ、そうなんですか。
行きたいときに学校に通えますね!」
「残念だが、そのチャイムはトライブの指紋認証が付いている」
不正はできなそうだ。
「分かりました。
ちゃんと中学生活やってきます」
すると、トライブの手がチャイムに触れた。
キ~ンコ~ンカ~ンコ~ン♪
音と共に、突然アリスの周囲に白い光が輝き、その中に飲まれていった。
とんでもないバカ中学生が、東領家中学校に爆誕する。




