莫逆の
評価200超えました。感謝です。
「楽しかったね」
「そういえば用事は済んだのか」
「え? あぁ、用事なんてないよ。強いて言うならば、リーと一緒に遊ぶのが目的だったかな。だから僕は満足をしているよ」
「……そうか」
談笑しつつ、行きで乗った馬車まで歩いて戻っていく。
メアの言葉選びにはジト目で対応したいきらいがある。キザっぽい台詞を言っても似合うのだから、俺にはどう扱ったらいいのか到底わかるわけもない。
そんなメアは放っておいて、手元を見やる。俺の手には魔宝石に加えて、エーファ様やディアへのお土産。後は紅茶の茶葉などがある。どれも一級品だ。給金を全くと言っていいほど使ってこなかった俺は、宝石を買ってもまだまだ財布に余裕がある。無駄遣いをするような機会はないので、次また出かける時までには元の金額に戻っていそうなくらいだ。
馬車に乗り込むも手の中にある重さに思いをはせていると、向かいの席から声がかかる。
「ねえ、リーは楽しかったのかな?」
唐突に馬車の中でそう言われた。
俺は完全に手元に意識を向けていたので、一瞬反応に遅れてしまう。
「え、あぁ……それなりに」
「じゃあ、また一緒に出掛けたいってお願いしたら、出掛けてくれるかい?」
俺が断るかもしれないという語気をはらんだ物言いが不思議で仕方ない。今回も多分に楽しめたのだ。断る理由はない。しかして、都合が合わなければ断るかもしれないが、それは拒否であって拒絶ではないのだから、そこまで深刻そうに言う話でもないのに。
それほど俺を友人として大切にしてくれているのだろう。そう考えると心が温かくなる。
ぶっきらぼうにならないよう、意識して言葉を紡ぐ。
「約束すればな」
俺にしては微笑んでいるといってもいい少しの表情の動き。それだけでメアは俺の真意を汲み取り、牡丹の花が咲くように笑った。
たったその一言で微笑むメアは美しかった。
ストックがほとんど底をついたので更新遅くなるかもです。
次回は場面が切り替わりまして、恐らくあの子が出てくるかと。
楽しみにしてくださいますと僥倖でございます。




