絢爛なモノ
私事ですが、十万字を超えました。ここまで見てくださっている方々には感謝しかないです。ありがとうございます。
二人とも食べ終わったので散策がてらぶらぶら歩く。
色んなものでごった返していて見ていて飽きない。あっちには布類が売ってあると思えば、その隣には調理器具や八百屋がある。
「そこが気になるの?」
俺の目に留まったのは魔法石の店だった。
「魔法石……」
見たことも、魔法石に関して学んだこともある。だが、実際に売っているものを見るのは初めてだ。あと加工を施す前の様々な種類の魔法石も。
「もしかして、知らない?」
「いや、知ってはいる。だが、商品として並んでいるのは初めて見た」
もの凄くあり得ないと意外そうに聞いてきたが、俺の言葉で納得はしていたが、何とも言えない顔で頷かれた。解せぬ。
店に入ることになり、店内を見て回る。
「“魔宝石”……」
「あぁ、それは最近出土したものなんだ」
「ふむ……。魔法石とは何処が違う」
魔法石とは、その名の通り、魔法を付与することのできる石のことだ。この石は魔道具にも使われるが、学校の魔道具研究部は魔道具の一般流通の観点から基本的には使用していないので、原石を見る機会はなかったのだ。
その魔法石とは違って、魔“宝”石。この世界では宝石は取り分けて重視される。その宝石とも一角を喫するもの。気になるのが常である。
「今まで魔法石と宝石は別の規範の鉱石だと考えられていたことは知っているよね?」
「あぁ、出来方や加工法などに違いが現れるそうだな」
宝石とは出来方が違うから輝きが鈍かったり、色がくすんでいたりしているのが魔法石だ。そのため加工法も異なり、綺麗さを魅せるのではなく利便性に極振りしたデザインになるのが一般的だった。
「うん。でも、最近の研究で、宝石のような多色の輝きを持つ魔法石があることが発見されて、それらの総称を“魔宝石”と命名したんだ」
「ということは魔法石と効果は変わらないということか」
「多少は劣るみたいだけどね」
輝きを失うことなく、それでいて使用法は変わらないという。効果が劣っていたとしても誤差の範囲内であるようだ。それならば華やかな方が売れるだろう。
エーファ様たちにお土産で買いたいかも。めっちゃ綺麗。
「お気に召したみたいだね。どれが気に入った?」
「蒼暈石」
「あ、この若々しい草木のような青緑色のだね」
この魔宝石のなかでも一際、透明度が高く透き通るような色。反射した面も太陽のようにきらきらと輝きを放っていて、加工する前でも一種の芸術品のような域である。
「じゃあ」
「これをくれ」
メアが何か言いだす前に自分で買う。絶対、一緒に来てくれたお礼だのなんだの抜かして散財してくるはずだ。現にさっきの散歩の道中にも機会をうかがっているような素振りを見せていたし、なんならこの店の名前が不意に口から出たときに、好機みたいな顔をしていたのは俺の勘違いではあるまい。
メアの友情度がカンストしているのか。この世界線の友人とは、俺のいた世界の友人の枠や定義とは違うのか。
なんて包まれた魔宝石の数々を見つめながらそう思案した。
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日を追うごとに増えていく様に内心もの凄く歓喜しております。嬉しいです。




