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 馬車で街に向かう。邪魔になるので手前で下車すると二人で歩く。

 厳密に言うと、メアの護衛が後ろをついてきているらしいので二人ではないけれど。しかし、全くと言っていいほど気配を感じない。護衛の存在を言われた上で索敵魔法を使わなければ気付くこともないだろうから、始めからいないこととみなしている。

 街に着いたのはそこから15分くらいたった頃。道中で髪の色を誤魔化すために少しだけ認識阻害の魔法を使う。これで俺のことを認識できても純粋な黒髪にまでは目がいかないはず。

 ただ今の時刻は大体、8時過ぎ。街の朝は早い。色んな家や店が朝から活気づいている。


「おーい、そこの兄ちゃんたち。朝ごはんにここのパンはどうだい?」


 店のある通りに入った瞬間にこれだ。

 主人らの声掛けで賑わいを見せている一角で、俺たちはパン屋の主人に声をかけられた。如何にも、武器屋の店主のような人相。この人がパンを焼いていると思うと微笑ましくなるようなそんな顔。


「食べられるところはありますか?」

「あるよ。ここのテラスで食べるもよし、食べ歩きするもよし。ああ、街の中央の噴水に腰掛けてるのもいいな」

「では、買います」

「まいど!」


 黙っていたら朝食が決まった。

 店内に入ると美味しそうなパンの数々。食パンに塩パン、サンドイッチ。定番のパンが揃いに揃っている。

 この世界のいいところは前世の食文化とこの国の食文化があまり変わらないところだよな。不満があるとすれば、日本食があまりないということだけ。米や味噌、醤油などはない。ここは中世ヨーロッパが一番しっくりくるような国。しかして、それらの調味料も違う国にならあるのかもしれないが、本などでも見聞きした覚えはないので、あったとしても周辺にはないと思う。故郷の味、恋しい。


「リーは何にするの?」

「俺か? ……クロワッサンで」

「僕も同じのを」

「あいよ! 一緒の会計でいいか?」

「はい」


 黙っていたら会計が終わっていた。弁明したい。俺は財布を持っている。ちゃんと。だから払おうとしたさ。でも、メアが決めているからと思って店内のパンらを眺めていたら払われた。メアに後払いは受け付けないと言われた。

 なんかスマートすぎてこわい。王子様、絶対モテる。


「はい、リーの分」

「助かる」


 メアから受け取る。まだほんのりと温かく、ぱりぱりしていることが手に伝わってくる。

 俺たちは中央の広場に向かう。メアはそこで食べるつもりのようだ。

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