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問答

「私が先に出て人払いをしておくので、メア様は存分に彼の話をお聞きください」

「助かるが、エーファは?」

「これからは私の知りたいことは自分で直接、聞きだしますし、後からメア様に質問すればいいだけです」


 逃げないようにドアの前にエーファ様は立っている。

 逃げるも何も、現状は回避できてもずっとは無理なことは俺だってわかっている。だから逃げも隠れもしないのに。


『汝の心の声を聞かせ給え 我、そのありのままを受け入れん』


 そうだと思ったよ。

 エーファ様も魔法の能力を上げているのか、甘い匂いが思っていたよりも早く立ち込める。俺の反応を確認するとエーファ様は立ち去って行った。

 催眠魔法は前よりも格段に威力が跳ね上がっていて、気を抜けば要らないことまで話してしまいそうになる。想像を超える効き目が表れている。全力を込められてしまったのかもしれない、と回らない頭で考える。

 頭がぼーっとする感じと心地のいい脱力感に見舞われた俺は、ベッドで起き上がっていたが力が抜けそのまま後ろに倒れかける。


「っと。大丈夫なのかな?」

「あ、大丈夫……」


 背中を支えられてしまう。

 その手は細そうに見えてしっかりしていた。イメージはないのだが鍛えてでもいるのだろうか。敬語の方がいいのか、はたまた今まで見たいに簡潔な方がいいのか。なんて柄にもないことが頭をめぐっていた。

 どうやってこの場を乗り切るかさえ、頭に浮かんでこない。いつもならすぐに誤魔化す方法なんて思いつくのに、今回は頭に頼ることはできなさそうだ。常時に比べれば、簡単な思考しかできていない。


「……君が本当のリヒトなの?」

「……」

「沈黙は肯定と捉えるよ。後、口調なら今までのままでいいよ。今更敬語で話されてもこっちが困惑しちゃう」

「……なら遠慮なく」

「それで君がほんとのリヒト?」


 再度、懐疑的に聞かれた質問。普段の俺なら一蹴していたはずなのに。


「そうだな……。俺はほんとのリヒトじゃない」


 あ、口が滑った。思っただけなのに口から出ていた。こんなことなら敬語にしておけばよかった。そっちの方が、壁ができるから話したくないことは絶対に口から出ないのに。それにエーファ様の成長を自身の失態を通して知るなんて。

 だがしかし抵抗しなければいけない。エーファ様にも誰にも知られたくないことだってある。


「えっと……どういうことか聞いても?」

「何でもない。間違えただけだ」

「でもさっき君、言ってしまった後にしまったみたいな顔をしていたよね。もしかして他言しないように言われているとか?」

「そんなことはない。ただ言い間違えただけだ」


 中らずと雖も遠からず。言わない方がいいと諭されただけだ。理解できない人も多いし、第一混乱させることになるからと。そんなことは絶対に言わないが。


「……じゃあ、次の質問。何で夕食を食べていなかったのかな? そしてそれをエーファにさえ黙っていたのは何故?」

「……そんなものは決まっている。食欲がなかった以外には理由はない。エーファ様に言わなかったのは、言ったところで気をもませるだけだとわかっていたからだ」

「何故食欲がなかったの? 昼ご飯はよく食べているじゃないか」

「よく見ているな。食欲が湧かなかったことに理由なんてない」

「嘘だね。僕、知っているんだよ」


 何を根拠にと言いたかったが、そんな間を挟ませずに言葉を続ける。


「それはリヒトが嘘をついたときに出る反応だよ」

「……は?」

「君ってあまり嘘とか得意ではないんだね」

「一体いつ俺が嘘をついた……」

「嘘をつくときって皆が思っている以上、動作にそれが現れるんだよね」


 俺の返答にきちんとした返事は返ってこない。

 確かに嘘はついた。食欲がわかなかったことには相応の理由はある。でも、それを悟らせないように動いていたはず。嘘と本音を織り交ぜ、嘘も遠回しでは本当のことになるように頭を使って回避している。動揺はしているがそれも絶対に露見していないはず。


「今、動揺しているね」

「は……?」

「困惑もしている。君は確かに嘘をつくのがうまいと思うよ。でも今この状況をちゃんと理解しているのかな? 君に隠し事はできないはずだよ」

「理解している。隠し事などもない」


 極めて普通にそれでいて傲岸不遜にいつものリヒトを心掛ける。俺はゲーム内のリヒトみたいな性格ではないから、催眠魔法にかかっているとすぐにボロが出ることは理解している。


「だからそれが嘘なんだって……。リヒト、君に自分のその顔を見せてみたいよ。凄くこちらが心配したくなる顔をしている」

「……」


 俺が黙っていたからだろう。メア様はそっと椅子から移動し、ベッドの淵に腰掛けると俺の顔を至近距離からのぞき込んでくる。

 リヒトはこういう時目を逸らさないと思ったから、俺もそのままメア様の眼をじっと見ていた。表情も無表情を貫いているはず。


「っ! 何をする」

ブクマ、評価ありがとうございます。

いつのまにか結構増えててかなり吃驚。嬉しいです。


ps.期末テストの成績が芳しくないと結構やばいので更新速度遅くなるかも……?(逆に逃げちゃって更新増えるかもしれない。。それだけは避けたい( ^ω^)・・・)

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