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翌日

「おはよう、リヒト」

「おはよう」


 教室ではメア様に挨拶された。そして一緒にいる人からは怪訝そうな顔をされた。

 俺に挨拶をした後に、エーファ様に挨拶をした。普通は逆だと思う。


「おはよう。エーファ・ベイリー嬢」

「おはようございます。殿下」

「君の執事同様、メアでいいよ。それに堅苦しいのもなしでお願いしたいかな」

「ありがとうございます。では、メア様も私のことをエーファとお呼びください」

「あぁ、わかった。エーファ、リヒト。一年間よろしく頼むね」


 クラス中の注目が集まった気がするよ。メア様が自分から話しかけたのが俺たちだけだから。挨拶した後すぐに席についていたし。


「リヒトは殿下と仲がいいの? それにいつ仲良くなったの?」


 驚きを隠せないようで、メア様が去ったのち小声で訊かれた。微塵も表に出していなかったが、ドギマギしていたみたいだ。


「話せば長くなるんですけど」

「えぇ、聞かせてくれる?」

「ハイドとのことがあった後に部屋に戻ったら__」

「そ、そんなことが……! メア様って意外と無防備……なのかしら」


 確かに無防備だった。あんなお返し、聞いたことがない。何でもいいよって逆に怖い。


「そう思いますよね。あんなこと言って誰かに騙されそうで……」

「確かにそう思ってしまうのも無理はないわ。でもリヒトはそんなことを言わないと思っていたのではないのかしら。それか試していたのかもね」

「信用されることが何もないです。試すもの何故って感じですし」


 試す。エーファ様はよくある可能性の一つとして挙げたのだろうが、俺は黒髪持ちの闇属性だ。そういうことなら理解できる。それに王子なら先に個人の属性くらい知っていてもおかしくはない。

 もしそうなら俺の人格をはなから否定してるといっても過言ではない。外見的特徴だけで内面さえも同じに見ていることと同義である。


「リヒトが思っているようなことではないわ。過剰に反応しすぎよ。私の言動が悪かったわ」

「いえ、わかっています。大丈夫です」


 ここに来るまで毎日一緒に暮らしてきたからだろう。表情の乏しい俺でも感情の起伏を読み取ってくれるようになった。エーファ様の洞察力はかなり優れていると思う。

 でも最近は憂鬱な気持ちまで見透かされているようで、嫌になる。そんなことに思考が偏っていく自分に。

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