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料理

 自室に戻ろうと階段を上がっていく。俺の部屋は階段から離れている。端から二番目の位置だ。階段は真ん中にあるものの、上がる側の逆にあるので遠回りをしているようで面倒臭いのが本音。八部屋ずつが階段をはさんだ両サイドにある感じだ。

 のんびりと歩いていると、丁度、隣の部屋の人も帰ってきたようだった。隣人が誰かなんて知らなかったから興味本位で、ちらっと見やる。


「こんばんは。メア・エドガーと申します。隣同士、今後ともよろしくお願いします」

「よろしく。俺はリヒト・ホール。エーファ様の専属執事だ」


 挨拶されると思っていなかった。メア・エドガーはこの国の王位継承権第二位の第二王子。一介の庶民であり、黒髪持ちの俺に声をかけるなんて予想していなかった。しかし、俺も無視をするような愚行は起こさない。自己紹介時に級友として接してほしいと言っていたので、敬語を使えずとも何かを言われる可能性は低い。


「執事ってことはご飯作れたりしますか?」

「敬語じゃなくていい」

「ありがとう。ではお言葉に甘えて。リヒトは料理できるの?」

「あぁ、一通りなら」


 案の定、お咎めなしだったものの、変な質問をされた。嘘をつくようなものでもないので、正直に答える。


「もしよかったらなんだけど、僕の夕食を作ってくれないかな?」


 予想外の要望に面食らって、黙ってしまう。

 まさか俺に料理を作れと言うとは思っていなかった。ほぼ初対面であるし、メアは一刻の王子だ。それに専属の使用人がいないはずがない。


「あ、僕たち王族も護衛が強化されている以外の条件は君たちと何ら変わらないよ。だから困っていてね。僕一人では不安だし、美味しく作れるかも自身がないから」

「食堂に食べに行かなかったのか」

「ちょっと所用があって、今帰ってきたところなんだよね。さっき、食堂を覗いたんだけど、誰もいなくて……」

「……」

「無理にとは言わないよ」

「いや、作ることは構わない。それで、何が食べたいんだ?」


 俺の料理が王族の口に合うかが気になっただけで、嫌なわけではないので了承する。合わなかったときはもう二度と頼まれなくなるだけだし、何も損害はない上に紅茶を入れたい気分だったから丁度いい。


「リヒトの得意なものでいいよ。ぱっとは思いつかなくてね」

「ふむ、わかった。今からか?」

「可能なら、お願いしたいかな」

「わかった」

妥当な文字数がわからないので長かったり短かったりとしています。

ブクマありがとうございます。

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