第一攻略対象発見
やっぱりきりがいいので三話出します。
エーファ様を先導して、講堂へ向かう。入学者も皆同様に講堂へ向かっており、人が多かった。多分、30人くらいが入学者で同じくらいの人数付き添いの執事ないしメイドがいる。
俺たちも無事、講堂に入り、席に着くことができた。座席はクラス別に指定されており、俺は嬉しいことにエーファ様と同じクラスである。二クラスしかないとはいえ、本当に嬉しい。
「よかったです。エーファ様と同じクラスで」
「それは私の執事だからよ。離す意味がないじゃない」
「それもそうですが、嬉しいことに変わりはないので」
式が進行されていく。学校長の挨拶や在校生代表の挨拶。そして新入生代表の挨拶。新入生の代表は言わずもがな第二王子が執り行った。
そしてその時に気付いたのだが、彼こそが六華の軌跡の主ルートの攻略対象だ。彼も俺たちと同じクラスだった。これは波乱でしかない。第二王子はアニメ化されたときのヒロインの相手役だったから、俺も少しは詳しいと思うが、この世界戦でゲームのままかと言われると答えに窮する。
そもそもお嬢様が誰とも婚約をしていない時点でゲームのルートとはかなり違うのだ。悪役令嬢と言う程ではなかったものの、多少の盛り上がりのためにエーファ様がライバル役だったはずなのだ。それも変わっている今の状況。どこまでが同じでどこからが違うのか、俺にもわからない。しかして、そうこう言ってはいられない。ヒロインである巫女が妹である以上、俺もお嬢様も関わらざる負えないのだから。エーファ様は彼とどうこうしたいとは思っておられないようだが、あっちもそうとは限らないし、それが妹に向けられるかもしれない。どちらも今の俺にとっては地雷である。
どうしたものか……。それに攻略対象が一人というわけでもないのだ。どうしたら円満に解決するのか、俺には到底わからなかった。
「リヒト、これから教室に向かうようだから、行きましょ」
「はい、わかりました」
俺の悶々とした気持ちは晴れないまま教室へと向かった。