40 天の国は近づいた
最終話です!
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「ぐっ! どうなっている、クロード!」
「反乱軍が城を取り囲んでいます。城内に入ってくるのも時間の問題かと」
マキミリア王国の城内、エドワルド王は青ざめていた。たった一日で状況がここまで悪化するとは、予想だにしていなかった。
イエスは突然裏切ったベルナデットに救出され逃亡、他種族はイエスの処刑への怒りを大義名分に城を攻めている。現在、宮殿の近衛兵が徹底抗戦に望んでいるが、はっきり言って分はイエスたちの方にあった。
「くそっ! なぜ私がっ……! この国の繁栄を考えて骨を折ってきたこの私が……!」
エドワルド王は乱心し、部屋の装飾品を怒りのままに壊す。
クロードはその様子を冷ややかに見ていた。あの冷徹で、そして懸命な王も追い詰められればまるで子供のようであった。
「エドワルド王がいたぞ!」
「かこめっ!」
程なくして、エドワルド王の籠もる執務室に反乱軍の兵士たちが到着した。エドワルド王の首を取れば凡てが解決する、そう考えていた兵士たちの気力は最大限に引き出された。
「くっ! エドワルド王、お逃げください!」
クロードは剣を抜き、応戦する。
一対一での戦いでは勝機のあったクロードであったが、圧倒的な戦力差に劣勢を強いられる。蒸し殺しをするミツバチのように兵士たちに囲まれ、身動きがとれなくなっていた。
残った兵士たちがエドワルド王を追い詰め、じりじりと迫る。彼は今まで感じたことのなかった恐怖、命の危険を今ひしひしと味わった。
「やめっ、やめろー!」
エドワルド王に剣の一振りが食らわされようとする。
しかし、その時であった。
「……?」
「よぉ……。また会ったな」
エドワルド王の目の前にはイエスがいた。イエスは肩から腰にかけてぱっくりと裂けており、そこからは温かい血が噴き出している。
その事実が何を意味するのか。エドワルド王と兵士たちは瞬時に理解した。
「私を……かばったのか!?」
エドワルド王がそう叫ぶと、兵士たちは悲鳴をあげて後ずさる。意図せずとはいえ、直々にイエスを斬ってしまった兵士は剣を手放し、泣きながら跪いていた、
「おい、オメェら! 勘違いしてんじゃねぇ!」
イエスは兵士の方を向き直り、言葉を続ける。
「国を奪って好きにしようなんて考えは捨てろ! 『神のものは神の元へ。王のものは王の元へ』だ……!」
イエスがそう言い終わると共に、彼はそのままエドワルド王の方へ倒れこむ。
エドワルド王は倒れたイエスに寄り添い、手を握った。
「すまない。私は愚かであった……!」
「……良いんだよ」
「そなたの真意に気付かず、我が身かわいさに我を忘れて殺そうとした……! イエス、私を許さないでくれっ! 私を裁いてくれっ!」
エドワルド王は懇願する。
「ククク……。やだね。オメェの罪は、……赦されてっからよ」
イエスは血を口から吹き出しながら言葉を続ける。
「エドワルド王、……オメェは立派な奴だ。やり方が強引だったが、その根底にはひたすらに国を想う心があった……。王なんてクソ共の中じゃあよっぽど天の国に近ぇ……」
「そんなことはないっ! 私は罪人ではないか!」
「馬鹿、そう思ってんる時点で、もう許されてんだよ……」
イエスはそう言ってエドワルド王の頭に手を置こうとするが、できなかった。手が動かないのだ。それどころか、体がどんどんと冷たくなっていく。
「死ぬなっ! この国にはそなたが必要なのだ、イエス!」
エドワルド王はイエスの手を強く握り、涙ながらに叫んだ。こんなことをしても何の意味も無いのは分かっている。しかしそうせずにはいられなかったのだ。
「頼むっ! 神よっ!」
「……」
「……神よっ! この素晴らしい男に奇跡を起こしてくれ……!」
エドワルド王はイエスの上でうずくまり、ひたすらに祈った。彼は、自分が初めて心から神に祈りを捧げていた。
兵士たちもその悲痛な情景を見て、また祈りを捧げていた。もはやそれしかできることがない。
懸命に神に祈ることしか、今の自分にはできない。
彼がそう思っていたその時、奇跡が起こった。
「何……?」
エドワルド王はイエスに触れている自分の手を見る。その手は温かい光を発しており、その光はイエスの傷口を覆っていた。
その光が晴れる。
そこにいたいエスは斬られた傷はおろか、拷問による傷すらも完治していた。
イエスはゆっくりと目を開け、エドワルド王を見つめた。
そうか、そういうことだったのか。イエスはこのことが表す一つの事実に気付くと、腹から笑い声をあげた。
「なんてことはねぇ。エドワルド、……オメェが真の『信じる者』だったって訳だ」
依然として呆然としている彼に、イエスは問いかける。
「エドワルド……。俺を愛しているか」
その問いに、エドワルド王は戸惑いながらも答えた。
「あぁ……。私がそなたを愛していることを、そなたは知っているはずだ」
その日、マキミリア王国はまさに祝福されたのであった。
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