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最終話 宣言! テメェは俺が殺す!!

決断しよう。

今を生きる50億の人々と、これからを生きる無限の人々のために。

日本が滅ぶ、その運命が変わらぬなら。

閻魔よ。我が身をどうか、阿鼻地獄へと落としたまえ。



最終話 宣言! テメェは俺が殺す!!


 東京タワー。正式名称は日本電波塔。

 高さは333mにも及ぶ、三角形で組んだ鉄骨を組み合わせて作られたトラス構造の建築物である。重量は、およそ4000トン。


 東京タワーが超念力により再構成された『宝剣・アヅマ』。

 刃渡りはざっと30m弱というところ。

 たった30m(これだけ)に、東京タワーのスペックが圧縮されているのだ。

 一体どれだけの硬度だというのか。

 一体どれだけの破壊力だというのか。

 当然、東京タワーの全て(4000トン)が剣となったとは言わない。埋まっている土台などの使えなかった部分や、腕の追加装甲に回った部分もあるだろう。

 それでも。『宝剣・アヅマ』。

 地球史上において比類なき最強の武力と断ずるに問題無し。



「ぐふっ」


 大牙は目と耳から血を流し、口からも血を噴出して膝をつく。

 統一人格が大牙の顔の位置まで下がってきた。


<小童! 無事か!?>

「へっ、心配いらねぇよ。宝剣・アヅマ(コイツ)を造んのにちょいと踏ん張り過ぎただけだ」


 大牙は口元を拭うと、力強く立ち上がり長剣を構える。統一人格は荒いホログラムを歪ませて笑った。


<クカカ……東京タワーを丸々武器にするとは、中々スケールの大きい男よ>

「それよりトドメだ、じいさん共!」

<おう! 共に行こうぞ、伴上大牙!>



 マガツシュラの脚部装甲、背面装甲、肩装甲の一部が展開。下から光り輝く巨大鉱石のようなものが覗く。鉱石は頭の痛くなるような高周波の音をまき散らし出した。


 対する終末の人馬。打ち合い不利と見たか、三歩、四歩と後退していく。

 逃げるためではない。

 見よ。折れた腕と無事な腕を絡み合わせ、醜悪に変形させながら作り出したる巨大槍を。その矛先は、真っすぐにマガツシュラへと向けられている。

 助走だ。助走をつけた突撃槍めいた攻撃でマガツシュラを一撃で粉砕しようという腹なのだ。


 終末の人馬が巨大槍を突き出しながら、猛然と駆けだした。


 マガツシュラは剣を腰に構え、右足一歩前に出す。


 だが既に終末の人馬の間合い。巨大槍の矛先がマガツシュラの胸部を……


 消えた。マガツシュラが消えた。


 紅い花吹雪のような幻影だけ残し。


 そして、稲光なき雷鳴が轟いた。



 マガツシュラの装甲から現れた巨大鉱石。それは溜めた超念力を一気に噴出し、爆発的な速度を得る一発勝負の加速装置。

 その加速力たるや、最早目に見ること能わず。加速時に発生する轟音が、まるで止まった時が動き出したかのように、全て終わった後に響き渡る。

 何が起きたかを唯一知らせるのは、『宝剣・アヅマ』の紅白まだら紋様が生み出す、花吹雪のような剣の軌跡のみ。

 花吹雪の軌跡を辿れば、いるのだ。剣を振り抜き、片膝を立てたマガツシュラが。


 神速の一撃。名付けるならば。


 散花一閃さんかいっせん



 終末の人馬の背後へと瞬間移動したマガツシュラが立ち上がり、『宝剣・アヅマ』を振り払った。

 終末の人馬は大槍を突き出した姿勢のまま動かない。

 槍の一部がごとりと地面に落ちる。

 上半身がずずんと地面に落ちる。

 人馬の硬質化した胴体に真一文字の切れ目が入る。


「テメェに輪廻サンサーラは必要ねぇ……無に帰れ、ド外道!」


 マガツシュラの内部で大牙が険しい顔で言う。

 同時に、胴体上部がズレ落ち、獣は膝を付いて崩れ落ちた。

 もう『終末』は動かなかった。



 マガツシュラの開いた胸部装甲の上に大牙は立ち、真っ二つになった終末の人馬の死体を無表情で見下ろしていた。大量のドロリとした緑の血が大地を汚染している。

 周囲は先までの激しい戦いのために瓦礫と成り果てた東京の街が広がっていた。


 一体何人死んだのか。一体何人殺したのか。


<お主のせいではない。全てはこの道を歩むしかなかった、我等のせいよ>


 今の大牙には統一人格の慰めも上滑りする。戦いの最中は高揚しても、終わってしまえば全てが虚しい。

 空虚に佇む大牙の上空で、ふいにノイズが走る。

 そして……空が真四角に切り出され、巨大なビジョンが映し出された。



 巨大なビジョンには宇宙空間をバッグに、出来の悪い被り物でもしているかのような者が一人映し出される。三本の角、三つの目、四本の腕……被り物では無いのなら、明らかに地球人類ではない。しかし、特異な形のサングラスと派手な衣装を纏っていることから、知能は極めて高度であることを伺わせた。


 ビジョンは語る。我等こそが地球を侵略している張本人だ、と。

 ビジョンは語る。この戦いは我等にとってはただの『見世物』だ、と。

 ビジョンは語る。君達は『テスト』に合格した、と。

 ビジョンは語る。これからが本当の『メイン・イベント』だ、と。


 全ては……ただのゲームだったのだ。

 地球人類の生き残りを勝手に賭けられた、ただのゲーム。


 ゲームの名は『マキシマム・ベット・モンスターズ』。


 暇な宇宙人共が考えた、反吐の出るような侵略エンタテイメントである。



 軽薄な調子で朗々と語る宇宙人を大牙は感情の無い目で見る。


<伴上大牙よ。あれこそ>

「あれが……アイツ等が、『終末をもたらす者』……宇宙の破壊者だろ」

<そうだ。先のけだものは『終末を告げる者』に過ぎぬ>


 統一人格の言葉に、ギリッと大牙は歯を軋ませた。

 大牙は理解わかっていた。マガツシュラと一体となった時に、全て。

 久瀬が何と戦っていたのか。

 久瀬が何を苦悩していたのか。

 久瀬が何を守ろうとしたのか。

 久瀬が何を決断したのか。

 その、全てを。


 結末が分かっているゲーム。

 自分はそれを覆すためにいるのだ。

 理解っている。日本には滅びの他に道は無かった、と。


「だが、それとこれとは話が別だ」


 大牙は石剣へと戻ったトツカノツルギを地上に向かって振るう。

 すると、異臭放つ巨獣の脇にあった瓦礫の一部が音を立てて崩れた。

 瓦礫の下からは……


<く、久瀬か!?>


 ホログラムを乱して統一人格が驚きの声を上げる。

 瓦礫の下から現れたのは、そう。久瀬であった。全身傷だらけで、両腕と片目を失い、それでも微かに生きていた。その姿は不可思議なカプセル状の透明膜に包まれている。


<お、おぬし、まさかアヤツを助けて>

「あいつが死ぬ前に咄嗟に防御壁に包んでおいた」


 大牙が指を弾くと、久瀬を覆っていた膜が消え去った。


「ただ、助けたわけじゃねぇ」

<何?>

「どんな理由でも久瀬のやったことを肯定するわけにはいかねぇ。人の『生き方』も『死に方』も奪ったあいつは、誰が何と言おうと間違ってんだよ」

<伴上……>


 大牙は瀕死の久瀬へと剣先を向ける。


「久瀬ぇッ! 勝手に死ぬなんざ、俺が許さん!」


 大牙は怒りに顔を歪め、声を張り上げて宣言した。


「宇宙のクソ共をぶっ潰した後はテメェだ! テメェは必ず! 俺がこの手で! くびり殺す!!」



 瓦礫に横たわる久瀬総理は、ほんの微かに口角を上げた。


【宣言! テメェは俺が殺す!! 終わり】


*終曲*

『合顕! マガツシュラ!!』


(ノウマクサンマンダ バザラダン センダン マカロシャダ ソワタヤ ウンタラタ カンマン ノウマクサンマンダ バザラダン センダン マカロシャダ ソワタヤ ウンタラタ カンマン)


マ・ママ・マ・マ・マガツシュラ(ソイヤ)

マ・ママ・ママッマ・マガツシュラ(セイヤ)


怨憎渦巻く 世は地獄

子らは弑逆しいぎゃく うめきも上げぬ

破滅の巨獣噴出し いよいよ終末迎えるか


待て 待て待て ヤツが来た

無力の祈りを力に変えて 合顕せよ マガツシュラ


砕け 荼毘の輪 敵を撃て

斬り裂け 宝剣・アヅマ 散花一閃


(超念超力)憤怒の化身 マガツシュラ

(超絶無尽)救世くぜの魔神 マガツシュラ


荒野あれのに一人 お前だけでも

怒りを叫び 戦え


マ・ママ・マ・マ・マガツシュラ(ソイヤ)

マ・ママ・ママッマ・マガツシュラ(セイヤ)


マ・ママ・マ・マ・マガツシュラ(ソイヤ)

マ・ママ・ママッマ・マガツシュラ(セイヤセイヤセイヤセイヤ)


(作詞:熱湯ピエロ)


【マキシマム・ベット・モンスターズ・南無 完】

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― 新着の感想 ―
[一言] 熱い戦いでとても面白かったです! 前作も読んでみようと思います!!
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