漫才「電気コード」
漫才・コント36作目になります。よろしくお願いいたします。
電気屋が友達の家に呼ばれてやって来た。
電気屋「テレビの調子が悪いんだって?」
友 達「そうなんだよ。買ったばかりなのに、もうお手上げでさ」
電気屋「どれ、ちょっと見せてみろ」
友 達「画面が真っ赤になっちゃうんだよね」
友達がスイッチを入れる。
電気屋「ほんとだ」
友 達「直るかなあ」
電気屋「こういうのは、たいがいコードに原因があるんだよね。断線しかけてないか、見てみるよ」
友 達「頼んます」
電気屋がコードに触れる。
電気屋「なんだこの太いコードは。テレビのじゃないだろ」
友 達「うん、違う」
電気屋「元のコードはどこやったんだ?」
友 達「最初からついてなかったんだよ。訳アリ品専門店の投げ売りコーナーで、なおかつ値切って買ったテレビだからなあ」
電気屋「じゃあ今つながってるこのコードは、どこから持ってきたんだ?」
友 達「こたつのコードを引っこ抜いてきたんだよ。今は夏だから使わないんでね」
電気屋「それだよ、原因は。ちょっと画面を触ってみろ」
友達が触る。
友 達「熱っ」
電気屋「だろ、発熱してるからな。画面が熱いのも、赤く光ってるのも、こたつのコードを使っているからさ」
友 達「なるほど」
電気屋「専用のコードにはちゃんとした理由があるんだから、勝手につなげ変えたりしないように」
友 達「すまん。でも、テレビ用のコードがないからなあ、持ちあわせある?」
電気屋「あるよ、電気屋だからな」
友 達「交換してもらえるとありがたいな」
電気屋「その前に、まずはテレビを冷やさなきゃ」
友 達「なるほど」
電気屋「冷蔵庫のコードを引っこ抜いてこい」
友 達「わかった」
冷蔵庫のコードをテレビにつなげて、リモコンを手にする電気屋。
電気屋「青色のボタンを押しながら、音量をマイナスしていけばいい」
友 達「うんうん」
電気屋「しばらく放っておいて、元の温度まで下がるのを待つんだ」
友 達「待ってる間に質問していいかい?」
電気屋「なんだ?」
友 達「ステレオのコードにつなげ変えたら、テレビの音質よくなるかな?」
電気屋「音だけの、画像無しテレビになっちゃうけど、それでもよければな」
友 達「だったらやめとこ」
電気屋「くれぐれも、素人判断でやらないように」
友 達「了解。他にも調子のよくないものがあるんだよね。ついでに見てもらえないかな?」
電気屋「ものは?」
友 達「ドライヤー」
電気屋「どんな具合なんだ?」
友 達「風は来るんだけど、ぬるいし、首を振るから使いづらいんだよね」
電気屋「それは扇風機のコードの特徴だな。扇風機はどんな様子なんだ?」
友 達「なぜか熱風がでてきちゃうんだよね。だから、冬の暖房として使ってるんだ」
電気屋「コードをドライヤーと逆にしちゃったんだな。チェンジすればどっちも元通りになるよ」
友 達「ありがとう。やっぱりプロは頼りになるなあ」
電気屋「いろいろありすぎだな。まともに動いてる電気製品はないんじゃないのか?」
友 達「ついでついでで申し訳ないんだけど、ジューサーから湯気が出てきて困ってるんだ」
電気屋「やっぱり。まだあったんだな」
友 達「面目ない」
電気屋「そのうち掃除機のホースから、洗濯水が出てきたりしてな、ははは」
友 達「・・・」
電気屋「おいおい、なんで笑わないんだ?」
友 達「すまん、そいつもついでに直していってくれ」
読んでいただき、ありがとうございました。