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72.包囲網を突破せよ

 風の国オルレアンから、一度水の国『ベネチア』に入国。さらに火の国を目指すとき、『マドリード』へのゲートが閉ざされようとしていた。アクア王女を先頭に、『火のクリスタル』防衛のためにオルレアンからの一行が『マドリード』へのゲートをくぐると・・。


「・・(まぶ)しい」

「嘘でしょ・・」


(ドォォン・・)『ベネチア』と『マドリード』を結んでいた『転移結晶』のゲートが閉ざされる。 

 アクア王女、エルフのミューラとサラの姉妹。神官姿のルナ様、『炎の鎧』を装備したクラウド、『水の鎧』を装備したエリスと漁民が『マドリード』に入るや・・何やら広い広場のような場所、足元は石畳。

 ゲートを中心になにかに包囲されていた。敵・・ゴブリンらしき大軍に包囲される。クラウドが叫ぶ。


「ゴブリン・・なのか?まるで機械じゃないか!」


 こんなゴブリンたちは今まで見た事が無い。あるゴブリンは眼帯(がんたい)をし、片腕が機械の腕になっているものも・・まるで、機械の兵隊だ。


「ゴブリンと機械が融合してる・・まさか・・魔導兵(まどうへい)!?」

「なにミューラ、魔導兵って!?」

「説明してる暇ない!ゴブリンよりやっかい、しかも強い!あれを使うわ!」


(ピッツピピ~ピロピピロ~ピロ~ピピロ~)


 ミューラが首から下げていた化石のような笛を吹く、あれはセバスさんにもらっていた笛。と、言う事は・・・。


(バッサ!バッサ!)


 どこからともなく、羽をはばたく音がする。機械仕掛けのゴブリンたちが、一斉に上を向く。


「ギギーー(ゴブリン魔導兵)」


(バッサ!バッサ!ギギャヤヤーーー!!)


「なんだあの竜!?」

「さら・・あれはなんじゃ?」

「大丈夫ですアクア様。あれは『火炎竜(ファイヤードラゴン)』、我々の味方です」


 ドラゴンがこっちに飛んでくるのが見える。


(バッサ!バッサ!・・・)


「こっちよ!(ピィー)」


 ミューラは口に指を入れて指笛を吹く。


「『火炎竜(ファイヤードラゴン)』!ゴブリンを攻撃しなさい、『ファイヤーブレス』!!(ピィー)」


 ミューラが再び指笛を吹くと、『火炎竜(ファイヤードラゴン)』の口から火炎の息が辺り一帯を焼き焦がす。


「ギィィーー」


 周りを包囲していた機械仕掛けのゴブリンたちが炎に焼かれ、絶命し、次々と魔石に変わっていく。


(バッサ!バッサ!)『火炎竜(ファイヤードラゴン)』が燃えているゴブリンを踏み台にして着地。着地で巻き起こる風で周辺の炎が一気に消え吹き飛ぶ。


「ギギャヤヤーー!!」


「ああ、よ~しよし、エサじゃない、エサじゃないよ」

「ミュ、ミューラ。なんかその竜、僕とクラウドの方すっごく見てるよ!?」


「ギギャヤヤーー!!」


「大丈夫よスズキ君、クラウドも平気・・」


(ドォォォーーーン!!)


「なんだあの爆発!?」

「見て、あっちで黒い煙が上がってる!」


 ゲートをくぐった石畳の周りは、機械仕掛けの建物に囲まれていた。まるで『ウインダム』のボイラー室にでもいるかのように、街全体が機械仕掛けのゼンマイや、白いボイラーから出る煙がところどころに上がっていた。

 建物の合間から、まるで発電所のような大きな白い円錐(えんすい)形の建物のてっぺん付近だけこの場所からは確認でき、その円錐形の白い建物を覆い隠すほどの黒い煙が立ち込めていた。


「『火のクリスタル』はあそこ・・」

「本当なのサラ!?」


「『火のクリスタル』を動力にしてる火力動力炉『テムジン』があの建物・・」

「『テムジン』だって!?」


(ドォォーーーン!!)(敵襲ーー!!)


「まずい!もう始まってる!」

「ミューラ!!」

「みんな、『火炎竜(ファイヤードラゴン)』に乗って!」


「ギギャヤヤーー!!」


「大丈夫なのか?」

「『火のクリスタル』が近くにあるから、この子が興奮してるの。私がいれば大丈夫、さあ、早く!」


 『火炎竜(ファイヤードラゴン)』に先にミューラがまたがると、乗れるように(つばさ)胴体(どうたい)を地面近くまでかかげてくれる。アクア王女、サラ、エリスの順、次にエリスが手を取りながらルナが乗る。最後にまたがるクラウドと漁民。


「ギギャヤヤーー!!」


「よ~しよし、美味(おい)しくない、美味しくないよ」

「ミューラ、今なんか言った!?」

「ううん、大丈夫。さあ、行くわよ、飛び立て!」


「ギギャヤヤーー!!」


 ミューラが合図すると、『火炎竜(ファイヤードラゴン)』が翼をバサバサさせ、一気に上空まで円を描きながら高度をどんどん上げて飛びあがる。


 上空に行くにしたがって、『マドリード』の街の展望も見えてくる。街全体が、まるで機械の街のようだった。

 街の中心部には、サラ先生が言った『テムジン』と呼ばれる火力動力炉、すなわち『火のクリスタル』がある場所に円錐形の白い火力発電所のような建物があった。

 少し離れたところにはお城が見え、こちらも機械仕掛けのゼンマイのようなものがあちらこちらに見えていた。『テムジン』付近から大きな黒煙の柱が2つ見えた。


「みんな、聞いてちょうだい。あそこには、間違いなく敵がいるはずよ」

「あの黒装束も襲ってくるかも、ルナ様」

「エリス、覚悟は出来ております。『火のクリスタル』の元へ行きましょう、ミューラ様」

「分かりましたルナ様。スズキ君?」

「・・へ?」


「へ?じゃない!()()!スズキ君どんくさいんだから、もうルナ様のスキルカード握りしめておいて!」

「えっ、何で?」

「スズキ様!はい、わたくしのスキルカード!(ぐいっ!)」

「(ぎゅ、がちゃ)ああ、はい、分かりましたから(ポロっ)おおっと!」

「ああ、落とさないで下さい!!わたくしのカード!」

「(きゃっち)ふ~危ない。落としませんでした!」

「ちゃんと握りしめてて下さい!絶対手放してはなりません!」

「はい、もちろんです!」

「準備はいいわね、行くわよみんな!」


「はい!(全員)」


 『マドリード』の上空を飛ぶ『火炎竜(ファイヤードラゴン)』が、決戦の地へとオルレアンの戦士をいざなう。

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