67.ワンチーム
クラウド家の馬車に乗るエリスパパのクラウド、エリス、そして漁民。馬車がギルド会館前に到着する。大衆浴場『ウインダム』で、ガイア師匠のお母様と月金貨10枚の個人間契約を締結している。
後はお金をたくさん稼いで、金貨685枚の借金生活からの脱却を目指すのが当面の目標だ。クラウド家の馬車から降りる3人。漁民の服装は布の服、エリスは『水の鎧』に水色の盾、クラウドは深紅の鎧に深紅の大盾を装備していた。
「クラウド、その鎧、15年前のよりさらに深紅の赤だね」
「ああ、アイリス様をゴブリンチャンピオンから守った褒美に、当時のシャルル5世様から頂いた『炎の鎧』と『炎の盾』っていう一級品だぜ」
「ふ~ん、クラウドって『火属性』だったんだね・・ん?なんでエリスは『水属性』なんだ?・・まさか・・」
「お母様が『水属性』。両親のどっちの属性になるかは神様次第なんだから、隠し子みたいに言わないでもらえる?」
「ああ、そう・・はは」
「女の子に向かっていつもそんなんだから、ジャンヌ様が毎日怒るの!分かってるのイチロウ君?」
「反省してます・・」
属性・・血液型みたいだな・・。ルナ様とジャンヌ様は、それぞれお姉ちゃんが『光属性』『水属性』、妹は『光属性』『風属性』。
お母さんのアイリスから、15年前はオルレアンに1人しかいないと言われていた『光属性』をしっかり2人は受け継いでいる。お父さんのサンダース様は『雷属性』だから、属性は引き継いでいないものの、妹の方はしっかり野獣の気性を受け継いでいるようだ。
(びー!びー!びー!)
「きゃ!」
「なんだこの警報音。スズキのギルドカードか!?」
「え!?なんで、なんで」
心に思っている事まで感知されているのか?ギルド会館の1階にちょうど入るなり、ギルドカードから警報音が鳴り響くと同時に、突然館内放送らしき音がホール1階に響く。
(ぴんぽんぱんぽ~ん)「スズ様・・スズ・キイチロウ様。至急、最上階、ギルド長室までお越し下さい」
「おい、お前らしき名前が呼ばれたぞスズキ」
「・・僕、どこか遠くに逃げますんで、ここでさよならだねクラウド」
「スズキ!」
「クラウド・・」
「芋を皿に捨ててた時も、ハルトとの決闘の時も、俺はお前を見捨てちまって、15年経ってもずっと後悔してんだよ。俺にこれ以上、後悔を増やせってのかお前は!」
「クラウド・・」
「感動のところ悪いんですけど、どうせイチロウ君がまた失言でもしたんでしょ?さっさとギルド長室行くわよ2人とも」
「(2人)はい」
『水の鎧』を装備したリーダーを先頭に、ホール1階の奥へ向かう。
「あのエリス。今どこ向かってるの?階段なら中央に・・」
「10階のギルド長室まで、こんな装備して歩いて昇るの?イチロウ君も階段上る途中で息絶えちゃうでしょ。エレベーターで上がるに決まってるじゃない」
「ええ!?そんなものオルレアンにあるんですか?」
「雷の結晶石を使った機械装置よ、エルミタージュでもあるじゃない」
「すいません。まだ利用した事無くて・・」
エリスリーダーに連れられて、エレベーターに乗り最上階の10階へ向かう。エレベーターの扉が開くと、赤いじゅうたんが引かれており、じゅうたんに沿って右に曲がりまっすぐ進めと言わんばかりに一直線に部屋に向かって引かれていた。
「エリス。お前は後ろに下がってろ(ガチャ!)」
「なに大盾構えてるのパパ?大体想像ついてるから、私がイチロウ君守ってあげる(ガチャ!)」
「あの、僕、全然想像ついて無いんですけど・・」
エリスとエリスパパが、それぞれ『水の鎧』に金属の盾と、『炎の鎧』の『炎の盾』を自分の前面に立って2人並んで扉を開けようとする。
「待てエリス、相手が『雷属性』なら、『水属性』にはダメージが倍になる。お前は相性が悪い、後ろに下がるんだ」
「パパ・・分かった。イチロウ君任せる」
「ちょっと。なに『雷属性』襲ってくる前提なんですか?」
(びー!びー!びー!)ギルドカードの警報音がふたたび鳴り響く。
「早く来いって鳴ってる、行くわよイチロウ君」
「開けるぞスズキ!(ばん!)」
扉を開けると、部屋の中で、鬼の形相をした雷の化身が、黄色いオーラを発しながらこっちを睨みつけていた。




