表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
35/301

34.功績

 朝 オルレアン連合ギルド会館 15年の時が経ち、ギルド会館は見違えるような綺麗な建物に建て替えられていた。

 茶色く3階建ての以前の建物は完全に無くなり、クリスタルに輝く外装(がいそう)、建物は大きな棟が3つそびえ、中心棟が最も高く、両脇の2つの棟がやや小さくも辺りの建物をはるかに凌駕(りょうが)する高さ。


 会館内は白を基調とした大理石造りで、2階へ続く入口中央階段は赤いカーペットがひかれている。

 1階奥のホールは以前の倍の窓口が横一列に並び、受付のエルフのお姉さんと冒険者(ハンター)の間にはガラスの仕切りがあり、さながら銀行や役所をほうふつとさせる内装(ないそう)。以前の怪しい観光案内所とは大違い、15年の時の経過を感じさせる。


「あ、死体が動いてる・・」

「エミリーさんじゃないですか!」


 先導のサリー、サンダースにセバス、ルナ、ジャンヌ、ミューラの順に続いて2階へ向かってギルド会館内を歩いていると、以前王立学院エルミタージュ受験の際にお世話になった3番窓口受付エルフのエミリーさんが通りかかる。


「あなたは石化中、死亡登録済、なぜ動く?」

「勝手に殺さないで下さいよ、解けたんですよ、石化が。あっ、僕2階についてこいって言われてるんで、また今度、じゃあ!」

「・・また仕事が増えた」


 エミリーさんと別れ、2階の階段を駆け上がる途中、今度は同じくお世話になった2番窓口受付エルフのリンダさんと目が合う。


「ちょっと、スズキ君じゃない!」

「あっリンダさん、おはようございます」

「おはようじゃないわよ!石像のあなたが何で歩いてるのよ!」


 スマホやネットも無いこのオルレアン、どうやら自分の情報はギルド会館まで伝わっていなかったようだ。


 先ほどサンダースの攻撃により残り体力1が消滅(しょうめつ)しかかったが、まだ、生きてる。若干(じゃっかん)の体のだるさは感じつつ、2階応接室の中に入る。以前の屋敷のような応接室とはうって変わり、大きなガラスのサッシから、太陽の光がサンサンと入り、室内は光輝いていた。


「(がちゃ)失礼します」


 部屋の中に入ると、先ほどまで治療室にいた全員が集まっていたが、その中に以前冒険者(ハンター)試験を受けた時にいたドリフのおっさんも立っていた。


「あっ、えっと、ガイアさん。お久しぶりです」

「かっかっか、憶えて(おぼえて)おったか小僧(こぞう)

「採用してくれた面接官は全部ちゃんと覚えてますよ」

「くっくっく、そうかそうか」


 応接室が広いとはいえ、ギルド長サンダースに副ギルド長のセバスさん、ミューラ、ルナ、ジャンヌ、これだけ人数が集まると視界が埋まり狭く感じる。なんでここに呼ばれたのか、まるで見当(けんとう)がつかない。


「ねえパパ、ジャンヌ、エルミタージュ行かないといけないの」

「そうですお父様、立会とは一体何を?」

「そうだな、小僧1人に時間ももったいない、セバス!はじめるぞ」

「はは~。仰せ(おおせ)のままに」


 何やら副ギルド長のセバスが、奥の方から銀色(シルバー)のカードを手に持ってこちらに近寄ってくる。


「それではこれより、高等(こうとう)序列昇進(じょれつしょうしん)()を始めます。本儀礼(ほんぎれい)に際し、オルレアン連合ギルド要領(ようりょう)第2条を適用(てきよう)し、金等級(序列2位)冒険者(ハンター)兼ヒューマンを代表する1名をギルド長サンダース様」


御意(ぎょい)


「ヒューマンを除く銀等級(序列3位)冒険者(ハンター)2名以上の異種族(いしゅぞく)、ドワーフを代表しガイア様」

「立会人 ドワーフの名にかけて ガイアが証人(しょうにん)とする」


「続いてエルフを代表し・・ミューラ、ちゃんとやりなさいよ」

「分かってるわよ兄さん、もう。立会人 エルフの名にかけて ミューラが証人(しょうにん)とする」


「では、え~わたくしオルレアン連合副ギルド長、セバスの名において、スズキイチロウ」

「はい・・」


「まさかお父様!この方は変態行為を働いた囚人(しゅうじん)です。ねえジャンヌ・・ジャンヌ?」


「スズキ・イチロウ・・イチロウ・・イチロウ・・」


「どうしたのジャンヌ?」


「え~15年前の『風の神殿』において、黒装束(くろしょうぞく)襲撃(しゅうげき)による石化攻撃から身を挺して(ていして)アイリス様の身代(みが)わりとなったその勇気・・」

「アイリス・・お母様?」

「この囚人(しゅうじん)身代(みが)わり!?」


 ルナとジャンヌが顔を見合わせ、驚きの表情を浮かべる。


「え~さらに、石化を解き、15年ぶりとなる黒装束(くろしょうぞく)襲撃時(しゅうげきじ)、聖女ジャンヌ様をロードオブパラディンへと導いたその功績(こうせき)称え(たたえ)・・」


 場が静寂(せいじゃく)に包まれる。


「そなたをオルレアン公認 序列3位 銀等級冒険者(ハンター)に昇進と認める」


「異議なし!!」


「え~ではスズキ君」

「え?あっ、はい」


呆然(ぼうぜん)としている自分にセバスが歩み寄り、銀色(シルバー)のカードを差し出す。


「え~君は、このカードを持つのにふさわしい男だ。これからも期待しておるよ、それと・・」

「え?」


(がちゃがちゃ・・かちゃ)セバスが首に付けられた囚人(しゅうじん)の首輪を外してくれる。首輪を取り終えると、セバスが耳元で小声でつぶやく。


「・・これからも、ミューラを頼んだよ。君がいない間、ずっと泣いておったよ」

「・・分かりました。ごめんなさい、お待たせしまして」


「兄さん、何言ってるの?」

「え~何も。さあ、エルミタージュへ急ぎなさい、お前は授業があるのでしょう」

「あ、いっけな~い、もうこんな時間!あと10分で正門、閉まっちゃう」


 ミューラは応接室の時計を確認している、ミューラの見ている方向を見上げると、時間は「7時50分」を指していた。


「ルナ様、ジャンヌ様、急ぎますよ!ほらスズキ君、もう15年も留年してるんだから、今年こそ卒業してよね!」

「ええ!?そんなに留年してたんですか?」

「いつ石化が解けてもいいように、セントルイス学院長にお願いして、あそこに置いてもらってたの、君の石像!」

「ミューラがそんな事するから、石化が解けてから僕、散々(さんざん)何ですけど」


「ほら走る、ルナ様!ジャンヌ様!聖女様が留年したら、国中(くにじゅう)の笑いものですよ!」

「それだけは・・行きますよジャンヌ!」

「わかってるから。ちょっと待ってよルナお姉様!」


ミューラがせかし、ルナとジャンヌも慌てて応接室の外に出る。セバスから銀色(シルバー)のカードを受け取り、3人の後を追いかけて部屋を後にする。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ