28.第2章 <2つの光> 2人の聖女
第2章 <2つの光>
朝 王立学院エルミタージュ 快晴 正門正面を進んだ講堂にて入学式が執り行われる。
「それでは、王立学院エルミタージュ 第100回入学式を開催致します」
「私はエルミタージュ 学院長 セントルイスである」
学院長の挨拶、すぐに終了する。
「それでは本日の入学式を終了いたします。明日より授業となりますので、皆さま方におかれましては~」
入学式が終了し、エルミタージュ講堂を出て外に出る2人の女の子。エルミタージュ学院の女子の制服であるスカートが、2人が歩く度にヒラヒラと揺れる。西洋教会関係者と思われる、修道服を着た若い生徒たちも、講堂の生徒に交じって講堂から出ていた。
「あちらの右の聖女様が姉のルナ様ね。金髪のさらさらした長い髪、それになんて可愛らしい」
「左の短い髪の聖女様が妹のジャンヌ様、2人ともお母さま譲りでなんて美人なんでしょう」
2人の女の子が歩く度に、エルミタージュの新入学院生たちから歓声があがる。2人の女の子は、講堂近くにある石像の前に足を止める。
「ねえ、ルナお姉様、この石像なんだろうね?」
「なにジャンヌ?・・なんでしょうね・・『伝説の農民』って書いてますね」
「ぷっ!なに『伝説の農民』って・・」
(ピキキッ)
「(2人)え?」
(ピキキキッ)
「(2人)ええ!」
(ピキキキキキキ・・・パリーン!)
「(2人)ええええ!!」
ま、眩しい!思わず目を閉じ、両手で顔を覆いしゃがみ込む。徐々に目が慣れてきて目を開くと・・金色の髪をした、2人の女の子が、自分の目の前に立って・・・青ざめて・・いた。なんだか・・いや・・全身が・・スースーするような・・。それもそうだし、この2人、どう見ても・・・。
「マ、マミ?」
「(ぷるぷる)何がマミですか・・この変態!!」
(バシッ!!)「痛ってぇ!!」
「ルナ様!ジャンヌ様!」
「変態です!|捕えなさい!」
「確保ーー!!」
「うぐぐ・・」
息ができなくなる・・手をしばられ、駆けつけた兵士に拘束される。
王立学院エルミタージュ 『風の神殿』 防衛詰め所
(がらがらがらがら・・バーーン!!)牢屋の檻が閉まる。
「聖女様に何たる無礼を!」
「さっさとそれで隠さんか!」
牢屋の中に布の服が、これはいつもの着なれた農民服・・じゃない!ば、馬鹿な、何で・・・服もかろうじて下は隠れてたけどボロボロに・・さっきまで、『風の神殿』にいたはず・・。肋骨が折れて胸の痛みが・・無い?まるで痛みを感じない、石化した事で治ったのか?アイリスは?ミューラは?どこだここは?
「(こつ こつ こつ)この者か?」
「は!?」
誰かが、牢屋の外からこちらを眺める。この男、どこかで見たような・・。
「すぐに裁判を」
裁判だって?そう言い放つと、その男は牢屋の外から階段を上って消えていく。
「出ろ、囚人!」
兵士に手錠をかけられ、ふたたび外に連れ出される。外に出ると、記憶にある景色・・ここ!昨日ミューラが火炎竜で戦っていたはずの場所・・・おかしい!・・昨日やたらめったらミューラが『バーニングブレス』を連発して、この辺り一帯は焼土と化していたはず。何でこんなに木々が生い茂っているんだ?それにこんな地下に牢屋のある場所なんて、昨日まで無かったはず。
そのままエルミタージュ内を歩かされ、手錠をかけられたまましばらく歩き、講堂前の通りを歩く。さっき2人の女の子にビンタされた場所を通り、見慣れた講堂に続く・・受験会場の建物が見えてきた、間違いない!そう、あの建物の1階で、お芋がお皿に捨てられて・・。
建物の2階に上がり、以前面接で玉砕した記憶の残る部屋に再び入ると、まるで裁判でも行われるかのように、大勢の人がそこに集まっていた。
中央には台があり、そこに立たされる。前には5人の裁判官、周りにエルミタージュ内の学院生徒と思われる若い男女がこっちを睨みつける。まるで、これじゃあ、ライン=ハルトとの、決闘の時みたいじゃないか・・。
(ざわざわ)「(トントン)静粛に、これより、この者の裁判を執り行う」
「オオー」
裁判!?なんで!どうして!?
「この者は、あろう事か石像になりすまし、さらにはオルレアン二聖女様の面前でその体をさらしたあげく~」
罪状が読み上げられていく、確かに、そうなんだけど・・。
「被告人、何か反論はあるかね?」
「ちょ、ちょっと待って」
「待ちません」
本当にちょっと待って、ここから逆転しないと、詰む・・。考えろ、考えろ、考えろ。
「~よって、死刑に処す・・」
「ちょっと待って!証人、証人を呼びます!」
「証人?君を弁護するものなど、一体どこにいるのだね?」
「この変態め!」
「そうだそうだ!」
そうです、私が変なおじさん・・じゃない!考えろ、考えろ・・助けてくれ・・アイリス・・ミューラ・・ん?ミューラ?
「ミューラを呼んで下さい!スズキが呼んでるって!」
「ミューラ先生?」
「お前なんかが知り合いなわけないだろ!」
「え~それでは死刑に処す・・」
「ちょ、ちょっと待って!」
「死刑だ!」
「そうだ!」
聴衆が死刑の大合唱。確かにミューラが、自分なんかのために来てくれるとも限らな・・。
(回想)(「・・私たちは、あなたの味方だからね」)
すべてが敵になっても・・。彼女は、来てくれるだろうか・・。
「死刑だ!」
「早く、裁判長!!」
さっきのやりとりで、ミューラがこのエルミタージュの近くにいるのは間違いない、どうする、どうやって呼ぶ・・・あっ。
(回想)(「スズキ君、や~らしいオーラ出してるから、どこにいるかすぐに分かっちゃうんだよね~」)
これだ!考えろ、考えろ、ミューラの耳、ミューラの耳、ミューラの・・・。
(バン!)「このやらしいオーラ!農民服!間違いない!スズキ君!!」
「はや!?ミューラ!助けて!」
(聴衆がざわつく)「(トントン)静粛に、ミューラ先生、何か?」
「あ、こ、この子・・」
ミューラはもじもじしながら、耳を指でさする。
「この子が?」
「私の・・・」
「私の?」
「私の、大事な人なんです!!」
「ええーー!!」
「ウソだーー!!」
「被告人を捕えろーー」
このアカレンジャー、使えない。




