26.反逆
王立学院エルミタージュ 中心部 『風の神殿』前
「ぐわぁーー!(バタッ)」
「もろいな、ヒューマンは・・こんな肉体など、早く捨ててしまえば良いものを・・」
「遊ぶな諸刃。刹那、案内ご苦労であった」
「ははっ」
「これより諸刃と『風のクリスタル』へ向かう。刹那よ、邪魔が入らぬよう・・」
「分かっております、邪魔者1匹通しませぬ」
「ふふ・・諸刃」
「分かった」
黒装束を身にまとう3つの影が2手に分かれ、奈落と諸刃が『風の神殿』に侵入する。
「なあ奈落、なんで刹那を連れて行かない?」
「あいつはまだ利用価値がある」
「おお、こわ」
黒装束の2つの影が、『風の神殿』内部へと進む。
『風の神殿』入口前
兵士たちの後ろについて行くと、大きな白い建物が見えてきた。道中、道端にたくさんの兵士たちが倒れている。何か激戦があったに違いない。
『風の神殿』に到着、入口の前に、黒装束に黒いフードを頭に被る影がポツンと入口を塞いでいる。
「何者か!」
兵士たちの先頭で、兵士長が叫ぶ。
「貴様ら1人たりとも、この神殿への侵入は許さん!アストラルバルト!!」
黒装束の影が天に剣をかざすと、空から雷が剣目がけて落ちてくる、あの技は・・覚えがある・・とっさに兵士長へ叫ぶ。
「兵士長!ライトニングセイバーが来ます!」
「何!?密集陣形!!」
兵士長がそう叫ぶと、自分と兵士長を円で何重にも囲んで、兵士たちが盾を円の外に構える。
「必殺!」
必殺!?や、やっぱり、これって・・。
「ブラックセイバー!!」
ライトニングセイバーでは無かったが、黒い光の塊が剣を振る流れに沿って、まっすぐこちらに襲い掛かる。
(ドォォォォーーーーン!!)
「ゲホッ!ゲホッ!」
「うっ!状況は?」
「何名か弾き飛ばされましたが、まだ行けます!」
「よし!スズキ様!」
「はい」
「これより我々が突撃し、突破口を開きます!」
「えっ、で、でも皆さんは?」
「我々は、アイリス様の盾となります!」
「聖女様をお救い下さい!」
「・・分かりました!」
「ひし形陣形ーー!!」
兵士たちが、自分を囲ったまま、今度はひし形に陣形をとり、槍を敵に、『風の神殿』に向ける。
「突撃ーー!!」
「うおーー!!」
(ドォォォォーーン!!)
先ほどよりもさらに大きな衝撃がするが、密集した兵士たちの中心でその衝撃が軽減される、前方の兵士がどうなっているのか分からない。
円陣の前方が開ける、『風の神殿』の入口だ!
「ここは我々が死守します!」
「急ぎ神殿の中へ!」
「分かりました!」
無我夢中で『風の神殿』中に向かって走り込む。背中の後ろで兵士たちの叫び声、爆発する音が聞こえる。自分に今できる事は、アイリスの無事を確認する事。走るたびに胸が痛い、それでも自分には痛みをこらえて走るだけの理由があった。
もちろんセバスさんに託され、このエルミタージュに来た最初の目的はミューラの救出、でも今は目的が変わってる。どうしても、あの子に、アイリスに、聞きたい事があったんだ。
「はぁはぁ・・マ、マミ・・」
アイリス・・あの子、やっぱり、マミにうりふたつ。顔も、声も、しぐさも、優しさ・・はちょっと違うけど。もしかしたら、あの子、マミが、俺と同じように、このオルレアンに来てるんじゃないのか?僕が気づくのを、実は優しく演技しながら待ってたんじゃないのか?どうなんだ、マミ!




