175.第8章<永遠の兄弟>うちの嫁さん 返してもらうよ
第8章<永遠の兄弟>
雨降りしきる『マドリード』。
突然の闇の襲撃、石像となった二聖女を連れ去らる。
呆然と立ち尽くす一行の中で、嗚咽をあげていた母が苦しみの声を発するのに周りが気づく。
「ルナ、ジャンヌ・・ううっ・・」
「アイリス様!いけないスズキ君、アイリス様が苦しまれてる。これって・・もうお生まれになりそうだわ」
「なんだって!急いで病院に連れていかないと。ハルト、ゲートを開くから、急いでオルレアンにアイリスと一緒に戻って」
「かしこまった主君よ」
「急いで『カーバンクル』」
「かしこまりましたマスター。『転移』!」
ルナ様とジャンヌ様が連れ去られたショックだろうか、泣き崩れていた身重のアイリスがお腹を押さえて苦しみだしたのを、レンジャーのミューラがすぐに気がついた。
夫のライン=ハルトが、嫁のアイリスの元へ駆け寄り、肩を貸して体を支える。
夫婦の2人が身を寄せ合って、ゆっくりと妖精『カーバンクル』が開いたゲートの先にある『ギルド本館第一タワー』4階の『産婦人科』フロアへ姿を消していく。
『マドリード』の火力動力炉『テムジン』は、『火のクリスタル』を動力源とする。
『マドリード』王国はおろか、現在では『四国同盟』のオルレアン、『ベネチア』、新王国『イングランド』にまで、機械を動かすための動力を結晶石を通じて供給しているとの話。
『火のクリスタル』の浄化クエストのため、一時的にせよ火力動力炉『テムジン』は稼働を停止させているはず。
雨が降り、野ざらしとなっていた、三聖女によって完全に浄化された『火のクリスタル』を、台座ごと『テムジン』内部へと兵士たちが移動を開始させている。
これ以上、火力動力炉『テムジン』の稼働を止めれば、四大陸は街中の結晶石の照明すら消えてしまうだろう。
『ベネチア』のアクア王女も、聖女ルナが連れ去られた事で、その場に立ち尽くす。
サラ先生は、意識を失ったキグナス将軍を地面にそっと仰向けに寝かせる。
『マドリード』の兵士たちが、慌てて担架で運ぶ様子が見える。『セイレーン』と呼ばれる、男を惑わす闇の魔族。
火力動力炉『テムジン』では、同士討ちして倒れている兵士たちがたくさん横たわり、救護に駆けつけた魔法使いたちが治癒を開始していた。
どうやら『セイレーン』がいなくなった事で、意識を回復した兵士たちが同士討ちする様子は見られない。
しばらくすると、『ベネチア』の王族や『マドリード』のサム国王も、安全な場所へ避難するかのように、雨が降りしきるこの場から立ち去って行った。
『ペガ』と『ユニ』は、先ほどの魔族『トットバット』の魔法によって弾き飛ばされた傷があるのだろう。
どこで覚えたのか、お互いがお互いを『光属性』の治癒魔法で回復させ合っていた。
最後まで残っていた、オルレアンのシャルル=ドゴール女王陛下が、自分と近くにいたミューラ、そしてセバスさんの3名のところまで近づいて来た。
「オルレアンの副ギルド長よ」
「(2名)はい」
「此度の失敗、聖女ルナと聖女ジャンヌの誘拐。すべての責任は、そなたらの甘さにある」
「(2名)はい」
「責任は取ってもらうぞ。今はわらわも、聖女アイリスの身が気がかりじゃ。落ち着いたところで、王宮へ速やかに出頭せい。よいな!」
「(2名)はは!」
僕の甘さのせいで、大事な二聖女を同時に2人も失ってしまった。
どうやっても、責任の取りようが無い。
雨降りしきるオルレアン。
天を見上げる。
厚く黒い雲に覆われた空のどこを見渡しても、ルナとジャンヌの姿は、どこにも見えない。
「ルナ様とジャンヌ様が・・石像にされて連れ去られるなんて・・追わないと」
「(ガシッ!)待ちなさいスズキ君、どこへ行こうって言うのあなた?」
「だってミューラ、ルナ様とジャンヌ様が助けを求めてるはずだよ・・そうだ、間違いなく『ヘルヘイム帝国』にいるはず。『イングランド』の『ツインブリッジ』を渡って行けば、『ヘルヘイム帝国』に入る事が(パチン!)痛い!何するんだよミュー・・ラ・・」
「ううっ・・すぐに助けに行きたいのは、あなただけじゃ無いのよ?」
「ミューラ・・泣いてる・・ごめん、頭に血がのぼっちゃって・・さっき魔族の『フックバック』が、『ツインタワー』が何とかって。ルナ様とジャンヌ様を、タワーの動力源にするとか言ってた」
「私も聞いてた。早く助けに行きたいのは山々だけど、『ツインタワー』の位置が不明だわ」
「え~スズキ君。先ほどすぐにオルレアン在住のレンジャーやアサシンに指定緊急クエストを発注するよう、ギルド長へ連絡を取っております。ミューラの言う通り、今やみくもに『ヘルヘイム帝国』に侵入しても、『ツインタワー』の場所はおろか、二聖女の居場所も不明ですぞ」
「分かりましたセバスさん」
3名で話し合っていると、治癒を終えたのだろう、擬人化した『ユニコーン』と『ペガサス』たちが、泣きながら自分にしがみついてきた。
「(2人)お父様、大丈夫?」
「大丈夫だよ『ユニ』、『ペガ』。ありがとう、お父さんの心配をしてくれて」
「(2人)はい」
「そうよスズキ君、偉いわね君は。ルナ様とジャンヌ様をお救いする方法はきっと見つかるはず。ここは一度ギルドに戻って、サンダース様に報告しましょう。大丈夫、君と『聖獣』がまだ残っていれば、不可能な事なんか何もないわ」
「そうですお父様。この『ユニ』が、必ずルナお母様をお救いしてみせます」
「パパ。『ペガ』がジャンヌお母様を一緒に助けに行くよ!」
「『ユニ』、『ペガ』・・そうだった。連れ去られたんなら、また助け出せば良いんだ・・ありがとう、2人とも。まさか子供のお前たち2人に教えられるなんて、思ってもみなかったよ・・くよくよしてる暇なんて無い。2人のお母さんは、お父さんが絶対に取り戻してみせるよ。全部お父さんに任せなさい」
「(2人)はい、お父様」
二聖女を失った喪失感から、消えかかっていた自分自身の気持ちに火が付いた。
小さな2つの光に照らされて、『ヘルヘイム』帝国の魔族たちに対する怒りの炎がだんだんとこみあげてくる。
「魔族たち・・絶対に許さない。うちの嫁さん・・返してもらうよ」
「(2人)お父様」
「その意気よスズキ君。やっといつものあなたらしいスズキ君に戻ってきたわね」
「ありがとうミューラ。でも作戦を考えるにして、まずは何をするにも仲間が必要だよ。『聖獣』の『ユニ』と『ペガ』がいるにしても、いくら『光属性』の2人とはいえ、まだこんな子供だし。『闇属性』を浄化するには、どうしてもアイリスのような『光属性』の力が必要だよ。でも今のアイリスは・・」
「お父様、『ユニ』が頑張る」
「パパ。『ペガ』も頑張る」
「はいはい、2人とも。良い子だなお前たち・・ガイア師匠まで『魅惑のシャドウ』っていう魔法で『セイレーン』たちに連れ去られちゃったし、こんな大変な時に、『クリスタルの使徒』がバラバラに・・」
「ガイア様は連れ去られちゃったけど・・あら、あそこに何か落ちてる・・スズキ君!ルナ様とジャンヌ様がいたところにも、あれって『クリスタルのかけら』に、『三種の神器』も・・『アイテムボックス』の袋だわ・・。そういえば、石化する前に地面に手放してたから、賢い2人の事だから、私たちが使えるように残したいったに違いないわ」
「本当だ・・ガイア師匠がいたところにも、あの輝き・・『土のクリスタルのかけら』のペンダント!」
『魅惑のシャドウ』でこちらに襲い掛かってきていたため、もっとも近くにいたガイア師匠が連れ去られた地面に、『土のクリスタルのかけら』のペンダントが落ちていた。おもむろに手に取り、以前アイリスとライン=ハルトから『クリスタルのかけら』のペンダントを2つ託されて首からかけた事、聖杯『カリス』を手に入れるために『精霊の儀式戦』を行った際に、ペンダントを自分がかけるとレベルが突然上がっていた事を思い出す。
「もしかして・・ガイア師匠、力を貸して下さい・・(ピカァァァ!!)」
「え~これは驚いた・・副長から土の鼓動を感じますぞ。無属性専用法衣『インフィニティ』の効果のせいか、『無のクリスタルの使徒』の効果のせいか、わたくしにはあなたの属性がまるで分からないが、土の鼓動は伝わってくる」
「私にも感じるわ。スズキ君が『土属性』・・どういう事兄さん?何が起こってるのスズキ君?」
「ミューラ、まだ僕にもさっぱり・・あっ、ギルドカードが勝手に(ビュン!)レベルが・・50に上がってます」
「スズキ君、それ本当なの!?」
「え~これは『クリスタルの使徒』・・特に『無のクリスタルの使徒』様のみに発現する力のようですな。スズキ君、君は今、首に『土のクリスタルのかけら』のペンダントを、なんの迷いも無くかけた。何か思い当たる事でもあったのですかな?」
「はい、セバスさん。この前『王立図書館』で『精霊の儀式戦』を戦った時と同じ現象なんです。あの時も、『光のクリスタルのかけら』と『雷のクリスタルのかけら』を首からかけた瞬間上がって、アイリスとライン=ハルトのレベルが自分に上乗せされたんだって気づいたんです」
「え~それはなぜですかな?」
「それがセバスさん。この前のハルトとは決闘の際に、『下位降格』を使った時、ハルトのレベルが32って分かってたから、ピンときたんです。『雷のクリスタルのかけら』のペンダントかけたら、ハルトのレベルや魔法まで僕に上乗せされたんだって」
「たしかにそれは本当みたいね・・ガイア様の直近のレベルは50って私にも話してくれてたし・・魔法やスキルはどうスズキ君?」
「ちょっと待って下さい・・僕のスキルカードを確認してみます(シュシュ)凄い、ガイア師匠しか使えないはずの『高等精錬』まで使えるようになってます。ギルドカードは・・(シュシュ)『土属性』の魔法が使えそうです。ハルトの時も『雷属性』魔法の『アストラルバルト』が使えました。これって・・セバスさんが言うように、『無のクリスタルの使徒』の効果なんでしょうか?」
「え~これはわたくしの私見ですが・・『キズナ』スキルに似た共鳴現象と言えそうですな」
「『キズナ』スキルですって?兄さん、それって、お話しなくても、考えてる事が相手に伝わるスキルの事じゃあ・・」
「え~ミューラの言う通り。だが、それはあくまで下界のこの地上での話。神の世界に存在すると言われる『無属性』。すべての属性の元となった源の属性。『クリスタルの使徒』の力が、すべての属性の元となる『無のクリスタルの使徒』へ帰化した。この現象を、わたしは『キズナ』の共鳴現象と考えます」
「なるほどね兄さん。少しだけど私にも理解できそう。『多重魔法』だと、ルナ様やジャンヌ様のように、同じ属性同士を混ぜたものしか発現出来ない」
「ミューラ、セバスさんの話も、僕の魚脳みそだと全然ついていけないよ・・魔法も、普通は混ぜるな危険って事?」
「そうよスズキ君。例えば『火属性』と『水属性』を同時に放ったら、どうなると思う?」
「お互い相殺し合って消えちゃいそうですね」
「はい、よくできました。今度のテストはこれでいこうかしらね」
「ちょっと先生、終わらないで下さいよ肝心なところで。敵が『火属性』の魔法放ってきたら、こっちが『水属性』で反撃すれば相殺できるって話ですか?」
「偉い!それはそれとして、普通は魔法だって相殺し合って消えちゃうのよ、レベルだってそうだと思わない?」
「ああ・・それで共鳴・・僕には、レベルの上乗せって言ってもらった方が分かりやすいですよ。ミューラが首から下げてる『火のクリスタルのかけら』のペンダントと、ルナ様の『水のクリスタルのかけら』のペンダントを僕が仮に下げたら・・相殺じゃなくて・・僕は『無のクリスタルの使徒』で共鳴するから、『キズナ』スキルの効果で2人分のレベルが上乗せされるって可能性ですか!?」
「え~まったくもってその通り。属性相殺が起こらない『光属性』と『雷属性』の『キズナ』スキルの共鳴現象が実際に起こった。さて・・あちらに落ちている二聖女様の忘れ形見が、今後の我々をお救いいただく切り札となりましょうな」
「兄さんの仮説が正しいなら・・ルナ様とジャンヌ様の『クリスタルのかけら』も・・スズキ君が首から下げれば!」
「『ユニ』分かった。ルナお母様の青いペンダント取ってくる。あそこに落ちてるの、『ユニ』気づいてたよ」
「『ペガ』も分かった。ジャンヌお母様の緑のペンダント、あそこに落ちてる!『ペガ』も取ってくる」
『ユニコーン』と『ペガサス』が、雨が降りぬかるんでいる地面から、聖女ルナ様の『水のクリスタルのかけら』のペンダントと、聖女ジャンヌ様の『風のクリスタルのペンダント』を拾って、自分の前に両手のひらに乗せて差し出してくる。
「お父様、『ユニ』が拾ってきたの。ルナお母様の『水のクリスタルのかけら』のペンダント」
「ありがとう『ユニコーン』・・(ピカァァァ!!)・・ミューラ、僕のレベルが・・105に上がった・・」
「レベル105!?兄さん、たしか『王立図書館』の文献だと、かつて下界に姿を現して、大国を滅ぼしたと言われる魔族がいたって私見た事あるわ。たしかその文献だと、魔族のレベルって・・」
「え~ミューラ。わたしもそこは拝見しておりますぞ。わたしの記憶では、かつて存在し滅んだとされる『ベルリン』王国に現れたとされる魔族のレベルが100を超えていたとの、当時のレンジャーが記した文献に残っておりましたぞ」
「レベル100とか、レベル1の僕なんかゴミみたいな存在ですね。ああ、そういえば、僕も闇の黒装束の奈落から、毎度毎度ゴミって言われてたような・・あいつ、絶対レベル100以上あるんでしょうね」
「スズキ君、あなた『土属性』に加えて、『水属性』まで感じるわ。無属性専用法衣の『インフィニティ』を着てるのに、兄さんには属性は見えないの?」
「え~ミューラ。あなたは『火のクリスタルの使徒』であるからして、同じ『クリスタルの使徒』同士であれば、属性はお互い理解し合えるようですな。わたしには相変わらず属性自体を感じる事は出来ない」
「じゃあ兄さんは、私と違って本当に体感で属性を感じてるだけなのね。ねえスズキ君、ジャンヌ様の『風のクリスタルのかけら』も下げたらどうなるかな?」
「やってみるよミューラ、『ペガ』、ジャンヌママのペンダント、パパが借りるよ」
「パパ、ママの『風のクリスタルのかけら』のペンダント。はいこれ」
「ありがとう『ペガ』・・(ピカァァァ!!)・・レベル・・150です・・」
「レベル150!?いけるわ兄さん、これならかつて大国の『ベルリン』を一晩で陥落させたって言われる魔族にも対抗できる。3分しか頼れない『上位昇進』だけじゃなくて、長期戦にも対応できるわ」
「え~希望の光が見えてきましたな」
「お父様。ルナお母様の杖、『ユニ』が持ってても良い?」
「拾ってくれたのか『ユニ』・・お前、それ持てるのか?」
「うん、軽くて、なんだか『ユニ』、力が湧いてくる。それにこの杖、ルナお母様の匂いがするの。『ユニ』の傍にルナお母様がいてくれるみたいで、ずっと持ってたいよお父様」
「『ペガ』もほら、ジャンヌお母様の剣持てるよパパ。この剣、ジャンヌお母様の匂いがするの。『ペガ』、これ持ってたいよお父様』」
「『ユニ』と『ペガ』は、それぞれ『三種の神器』の聖杖『デュランダル』と聖剣『エクスカリバー』装備出来るんだね?よし2人とも、『光属性』のお前たちなら母さんたちの武器が使えるはずだ」
「はいお父様、『ユニ』はルナお母様の子供だから、『デュランダル』、大事に使うね」
「お父様、『ペガ』はジャンヌお母様の子供だから、『エクスカリバー』大事に使うね。ほら、こっちもジャンヌお母様の剣。こっちの剣、『ペガ』重たくて持てないよ~」
「スズキ君、それって。ジャンヌ様が『二刀流』で使ってた、『風属性』専用武器、『ラグナロク』よ。それは『風属性』が無いと持てない」
「うん・・(ガシッ)いけるよミューラ、軽い軽い。今の僕なら、ジャンヌ様みたいに使えそう。母さんの腕力もステータスに乗ってるみたいだし、とても軽く感じるよ」
「『聖獣』のお2人が『三種の神器』を使える。『クリスタルのかけら』のペンダントを装備したスズキ君もいる。邪神『タルタロス』に魔族。『闇のクリスタル』本体が出てきても、これなら対処できるわ兄さん」
「え~まったくもって。これは希望が見えてきました。さっそくギルドに戻って、サンダース様とクエスト作成にかかりましょうかな」
「セバスさん、そのクエストって・・」
「え~もちろん、聖女奪還作戦。サンダース様も今頃、聖女様誘拐の報に嘆いておられる頃でしょうな~」
「はは、それは言えてますセバスさん。さすが、サンダース様の事よく分かってる。ミューラもありがとう。ミューラのおかげで色々気づく事が出来たよ。僕の・・元嫁さん、魔族からしっかり返してもらいにいく準備が整ったよ。2人の『アイテムボックス』も・・本当に2人とも、石化されてるっていうのに、よくこんな機転が利きますよね。本当頭良いな、あの2人は」
「でもスズキ君、まだ石化を解く方法が見つかって無いわよ?それにあなた1人に全部頼る事になるわ・・」
「なに言ってんですかミューラ。なあ『ユニ』、『ペガ』、一緒にお母さんを助けに行くぞ」
「(2人)はいお父様!」
「まあ、3人とも・・それなら私も!『火のクリスタルの使徒』として、『無のクリスタルの使徒』様を、全力でお支えさせていただきます」
「頼むよミューラ。アイリスはまだ・・子供が無事に生まれるか心配だし。この先、出産したばかりでまだ動けないから・・まずは『ツインタワー』の所在から。石化を解く方法も見つけないと」
「場所が分かれば、二聖女様の救出作戦クエストねスズキ君」
「『カーバンクル』、『転移』ゲートを。場所はもちろん、オルレアンの『ギルド本館』10階、サンダース様のところへ」
「かしこまりましたマスター、『転移』!」
待っててルナ様、ジャンヌ様。
まだ石化を解く方法も分からないけど、このまま2人が『ツインタワー』のゼンマイの1つになるなんて、黙って見ているオルレアンじゃない。
『ヘルヘイム帝国』の魔族の連中に、しっかりと思い知らせてやらないと。
雨が降りやむ。
厚い雲が割れていき、雲の隙間から青い空が見えてくると同時に、太陽が光の筋となって差し込んでくる。
希望の光は2つ、『ユニ』の『ペガ』の笑顔が輝く。
さあ、いざ、二聖女救出クエストに。




