12.暗躍(あんやく)
「(騎士3人)アイリス様~クラウド様~」
ゴブリンの群れの相手をしていた騎士3人が合流する。
「ご無事ですかアイリス様・・」
「どうなさいましたかアイリス様?」
「私・・いったい・・何を?」
アイリスは放心状態でその場で立ち尽くす。先ほどまで横たわっていたクラウドは、木にもたれ腰掛けるのがやっとの様子。まもなくすると、森の中から1人の騎士も合流してくる。
「アイリス様、ご無事でしたか」
「遅いわよハルト!大ピンチだったんだから」
「ミューラ様、来ていただけましたか」
「そうだぞハルト・・痛てて」
「クラウド!無事か?」
「問題ない・・と言いたいが、まともにくらったから、折れてるなこれ」
「判断を誤った。最初のゴブリンに誘われて、着いた先で包囲されたよ、全部で20体」
「20も!?そこまで知恵のないゴブリン、ゴブリンウィザードかゴブリンロードクラスでもいないかぎり、戦術的行動はできないはず・・・」
「チャンピオンまで出やがって、誰かが裏であやつってるって方が、しっくりくるかもな・・いてて」
「チャンピオンだって!さっきの揺れはやはり・・クラウドがやったのか?」
「折れてる俺がやれるわけないだろ?ミューラだよミューラ。変な農民の子供が、何か小細工してたが、ありゃなんだ?」
「変な農民じゃなくてスズキ君・・あ!そういえばどっかいっちゃった。やばい」
「チャンピオンをどうにかできるんだろ、あの農民?ゴブリンくらい大丈夫だろ?」
「あの子弱いの、すぐ死んじゃう。私行くね、アイリス様を頼んだわよハルト!」
「もちろんだ」
ミューラはラインハルト、クラウド、アイリス、お供の騎士3人と別れる。ライン=ハルトがアイリスに声をかける。
「この度の失態、まことに面目ございません。いかなる処罰も・・アイリス・・様?」
「あのお方と・・どこかでお会いした事が・・」
「アイリス様、お気を確かに、アイリス様!」
(森の奥、木の上から、ライン=ハルトパーティーを監視する黒い2つの影)
「諸刃、お前の失態だ」
「それは違うぞ奈落、あの中に金等級冒険者が混じってたなんて、俺は聞いてなかったぞ」
「いずれにしろチャンピオンは沈んだ。作戦の修正だ」
「お~こわ」
(シュン)黒い影は跡形もなく静かに消える。




