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第4話 勃発(3)

説明回なので少し短いです。

「なにがあったんだろう……」


 朝食を食べながらソラはニュースを見ていた。

 そこには繰り返し、同じ情報が流れされている。


『管理センターの発表によると本日標準時5時42分。域外管理エリア及び物理世界との通信が完全に途絶いたしました。現在のところ復旧の見通しは立っていないとのことです。これに伴い、リソースの割当制限が適用されています。繰り返します。管理センターの発表に……」


 コロニーを襲った緊急事態についての説明なのだが、今ひとつソラにはピンときていない。


「パパのお仕事関係だよね……」


 朝起きたときにはすでにコウの姿は家の中にはなかった。

『緊急事態らしいので仕事に行ってきます』というメッセージだけが残されていたのだが、ソラのような一般人はコロニーを支える仕組みについて、それほど詳しく知っているわけではない。


「域外管理エリアって、他のエリアのことだよね。オノのおばあちゃんに連絡が出来なくなっちゃったのかな……」


 自分のことを孫のように可愛がってくれるミウラのおばあちゃんと、オノのおばあちゃん。ミウラのおばあちゃんはこの管理エリアに住んでいるが、オノのおばあちゃんはまさに「域外管理エリア」で管理官をしているオノの妻である。


 ***


 コロニーは2の8乗ごとの単位で管理されている。


 2の8乗にあたる256人の魂を一つの単位としたレイヤー1。これはあくまで便宜上利用されているモデルであり、アドミニストレーター達も通常は意識することはない。そのレイヤー1で管理される魂が256単位集まることで1つの区画を構成している。これをレイヤー2と呼ぶ。管理する魂は2の16乗。さらにレイヤー2が256集まって構成されるのが管理エリアであり、レイヤー3と呼ばれる。管理している魂の数は2の24乗、すなわち約1678万人分である。


 管理エリアごとに行政単位とリソースの監視機能を有する管理センターが設置されている。

 ミウラの管理している管理センターも、この一つだ。


 同じような管理センターは256カ所を一つの構成単位として管理されており、これを管理層あるいはレイヤー4と呼ぶ。一つの管理層で管理している魂は2の32乗。現在までに3つの管理層が構築されており、コロニーは約130億人分の魂を管理することが可能となっている。


 人口が飽和した場合には4層目が自動的に作られ、今後も約43億人ずつ増加することで理論上は、2の40乗、約1兆100人までの人口をコロニーは支えることができる。そのシステムそのものをレイヤー5と表現することもあるが、こちらもあくまで概念としてのものとなる。


 ***


 管理官であるミウラが管轄する管理センターは、外部への通信手段が一切遮断されてしまった。直前まで他エリアの状況は共有されており、そこにはほぼ似たような現象が発生していたということが記録されていたため、全ての管理センターで同様の事象が発生しているのだろうという推論が立っていた。そして全ての住人が意識を保っていることから物理的なサーバーへダメージがあったわけではない。


 結果、原因不明の事態として発表するしかなかったのだ。


『皆さん、落ちついて行動してください。コロニーは無事です。管理センターでは原因究明と復旧を最優先に……』


 機械的な通知の後、ミウラは自ら管理する全住民にこう呼びかけたのだ。


 ***


 しかし事態はすぐに解決をすることはなかった。

 原因調査も進まず、復旧もほぼ打つ手がない状態に陥っていた。


 そして1ヶ月が経過し――


 世界(コロニー)は停滞した。

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