プロローグ: That day
第2部『人類は滅びましたが、電子の世界で生きています』スタートです。
書き下ろしになっていきますので、更新はやや遅めですが気長にお付き合いいただければと思います。
誤字脱字などありましたら教えてください。
夕焼けに染まる河原の土手。
突如、打ち上がる大量の花火――
「あれから一年も経ったんだね」
空を見上げる一組の男女。
「うん、そうね。でも、本当だったのね。ここで花火大会があるの」
「去年と同じ日、同じ時間にゲリラ開催って噂が出ていたしね。ほら、今年は結構人がいるよ……」
去年は二人のためだけに上がったような花火だったが、今年は噂を聞きつけたのか数十組のカップルが集まってきていた。
「ここで花火をみたカップルは幸せになるって噂もあったからね」
「ふふ……どっから出たのかな」
女性が男性の手を握る。そしてもう一方の手で優しくお腹を触る。
「来年はこの子も一緒かな」
「そうだね。この記念の花火、この子にも見せたいな」
「来年……だと大きくなった時、忘れちゃうだろうけど……」
「そうだ、来年はカメラを持ってこよう。来年が最後かもしれないし」
その時、何やら中州が騒がしくなった。
「やばい、班長が暴走した!」
「お、おい逃げろ……って、そっちは駄目だ!」
花火の打ち上げ台があった中州からバラバラと数人の男達が逃げてきた。その後ろで、さらに盛大に花火が打ち上がる。
「ふははは。もうヤケだ。全部打ち上げるぞ!」
「班長! 止めてください。クギさん、班長を止めてください」
その声に河原にいた二人が動きを止める。
「「クギさん?」」
「馬鹿、見つかっただろ」
「見つかったら仕方が無い、ユキナちゃーん」
中州に並んだ男達が二人に向かって手を振った。ユキナと呼ばれた女性はそれに応えて手を振り返す。
「クギさーん、皆さーん。どうしたのですか?」
男性の方も呆れたような声で呼びかける。
「もう、何をしているんですか! え? この花火大会って、もしかして……」
男性の問いに中州にいた男達は悪戯が見つかったような表情を浮かべ、それぞれが答えた。
「お、おう! 警備部の演習だ。気にするな」
「そ、そうだよ。ユキナちゃんのために打ち上げたわけじゃ」
「ば、馬鹿! 余計な事を言うな」
口を滑らせた男は、白髪の大柄な男が殴り飛ばされた。
「あはは。クギさん、乱暴は駄目ですよ」
「こ、これはレクリエーションだから問題無い。そうだろうお前ら」
「「「はい!」」」
その返事がウケたのか、ユキナは大きな笑い声をあげ――




