被害者が加害者の道を選んだ
任務実行。
って、なんかやばい予感がする。
孤児院に行ったらまさかの血の海…
二.孤児院の侵入。
何が起きたんだろう……
僕のまわりは、血の海だ。
(こいつ、やばい。二溜さんこれを予想して僕と綾にこの任務を任せたのか……)
僕の目の前は、14歳の子供。綾なんて、この子供に頬を殴られて殺す準備をしているし…
この状況になった1時間前の話をしよう…
1時間前
最悪の朝を迎えた。なぜなら、一番にマンション前で市場先輩に会ったからだ。
車で送られて、仕事場についたら綾が、「上司が怒ってる!!」って涙目で泣きついて来るし…
上司がいる部屋に行ったら、意外にマジな顔してるし。いつも、ニコニコしてるのに。
「二溜さん。どうしたんですか?」
「……………」
え、まさかのだんまり…
殺意が込められた重い空気。僕が来るの遅かったからか?
そんなに怒る?
「今回の任務についてだが…」
「?」
二溜さん。(二溜 伊弦)
「………多分、本気出さなきゃまずいかもな…」
「えっ?どうゆうことですか」
本気出す?そんなに、まずい任務?
「とにかく、冷静に行ってこい。」
「……?はい。」
二溜さんは、仕事内容の資料を渡してきた。
なんで、そんなに難しい顔してるんだ?
僕は、資料に目を通す。
「………………はぁ?」
僕は、思わず声が漏れる。
(親殺しの子供って何者だよ。)
僕は、資料から目を離さず部屋を出た。
僕は、部屋を出たあと資料を手にしたままケータイを片手にし、綾に電話をかける。
「もしもし。上司の機嫌はご機嫌ななめ?」
「怒ってはない。今日は、なんかやばい予感がする。」
「……………………」
綾は、しばらく黙ったまま「わかった」と小さく返事をし電話が切れた。
さすがの綾も緊張しているのか…?
僕は、ケータイをしまい綾がいるところを予想しそこへ向かった。
予想が当たった。綾はもう愛車に乗って…………寝ていた。
何してるんだ。こいつ。やばい予感がするって言ったのに。
緊張感なしだ……
僕は、思いっきり車のドアを開けた。
「おい。」
殺意も込めて綾に呼びかける。
「……………………今日は命日か?」
予想外の発言。死ぬことを考えてるのか。
「まさかっ スパルタの市場先輩からの指導を受けたんだぜ?死ぬかよ」
「あぁぁ。あったねそんなこと。いつだっけ?」
綾は、微笑んでいた。
「15歳から」
「って言うことは、今、俺の年は21歳か…」
「お前、自分の年忘れてたのかよ。」
呆れたな。その記憶力…
「ん… 緊張感溶けた。」
なんだ…緊張してたんだ。寝てるかと思った。
「ほらほら、お前の愛車を飛ばして行くぞ。」
「フフッ」って笑う綾。どんだけ、愛車好きなんだよ。
「さてと…働きますか」
今日の任務が始まる。
「おいっ!そこ止まりなさい。」
なんて、叫び声が聞こえる。あ、これケーサツの声ね。
「アハハハハハッ!」
僕の隣で、笑い出す馬鹿。綾…
またやらかしてるよ……何故かって?
綾定番のスピード違反だ。
今は、3台くらいのパトカーに追いかけられてるかな…
「うわぁっ!」
思わず声を上げてしまった。
綾がハンドルを切って車が180度回転。
目の前がケーサツのパトカー。
えっまさか……
変な汗出てきた。
「ブーーーーン」
綾は、満面の笑顔でパトカーに突っ込む。
終わったな…任務遅れるわ。
ケーサツはブレーキが効かなくなったのか車が転倒。
「あーあ。」
「あーあ。」
ケーサツ死んだな。可哀想。
なんて、僕が言える立場じゃないな。
そしてまた、車が180度回転。
やばいかも。酔そう…
「逃げろー!」
綾は、声をあげてスピードを出す。
数秒後、爆発音が聞こえた。
「死んだな…」
僕は、目をつぶって酔をおさめた。
やっと、目的の孤児院についた。
長かったな……
「…………?」
変な匂い。いや……
「血の匂いがプンプンする」
綾は、ポケットに手をっ込んでナイフを出す準備。さすがに警戒心が高まる。
僕は、孤児院のドアを開ける。
「っ!」
血の海だ。
何が起きたのか……
目の前は手を真っ赤に染めた子供。
子供はこっちに目をむける。
一瞬だった。さっきまで目の前にいた子供がいない。
僕の後ろに物音がした。
「あ、綾っ」
綾が吹き飛んでいた。
右の頬が少し赤い。
「いって…」
まさか…あの、子供に殴られた?
子供は、綾を殴ったあとこっちに目をむける。
こいつやばい。
これが1時間前の話……
血の海にいる子供。
こいつ、かなりやばい。
僕、死ぬんじゃない?