被害者が加害者の道を選んだ
今日は、8年前からの事件日らしい。
さて、働きますか。
前回に続きます。一.記憶のない青年
朝、テレビのチャンネルを変えても同じニュースばっかり。子供が見る番組なんてないじゃん。
僕は手に持っていたリモコンをソファーに投げケータイの画面を開く。
「うわぁ……」
着信30件……誰だよ。すっごい迷惑。朝から気分悪い…。
僕は、電話をかける。コールなしで繋がった。
「うわぁぁ!やっと繋がった!(泣)」
「………」
「あれ?もしもーし」
「……何?」
「返事してよ。繋がってないかと思ったじゃん。」
「知るか。お前みたいな暇人じゃあるまいし」
おっと。自己紹介遅れたな。今、電話している相手。瀬里 綾
うるさくて、ウザくて、迷惑人。一応、仕事のパートナー。
「なんか、失礼なこと考えてない?」
「さぁ」
僕は、素っ気ない返事してまどの外を見る。
「お前、なんかやらかした?」
「うん?何が?」
声のトーンが上がった。やらかしたな。確実に。
「ケーサツが騒いでる。」
「あぁー車かも。」
てことは、スピード違反か、こわしたかのどっちかだな。
「今、車に乗ってる?」
「うん。今、150キロかな?」
スピード違反だな。愛車を飛ばすからだよ。
「とりあえず本題に入るね。」
「入ってなかったのかよ」
フフフッと気持ち悪い声が聞こえた。
電話から鳥肌になるくらいの空気が流れるとわね。
「えっと本題だけど、今すぐに仕事場に来いっと上司からの伝言でした。」
「いつものことじゃん。」
「いやいや。今日は、忙しい日なんだよ。知ってるでしょ?」
「……え?」
なにそれ。聞いてないし、覚えもないんだけど。
「今日は、8年前から事件日ですけどー 忘れてた?」
「……そうか。」
「うん?まぁとにかく来てね。」
と、電話が切れた。耳から電話を離す。
8年前…記憶がないんだっけな……
僕は、ケータイを投げる。
シャツの上からパーカを着て鏡の前に立つ。
「だらしない顔だ……な。」
僕は、玄関に向かって耳をいじる。
あ、癖が出た。失礼。
一息ついてドアを開けた。
「……静かだな」
さっきまでのパトカーのサイレンも聞こえない。
僕が住んでいるマンションの階段を降りる。
……はい。来た。
「おう。坊主。」
「なんでいるんですか?先輩」
僕は、睨みつける。その相手、僕を誘拐した人。半分感謝している。市場 一
僕を記憶喪失した張本人。最低で腹立つ。
「なんだよ。来てやったのに可愛くないなぁ」
「来なくていいです。まじ、迷惑なんです」
「はいはい。」
今日は、最悪の一日のスタートだ。
二.孤児院の侵入へ続く
孤児院の侵入
スパイっていうよりやばいんじゃね?
死ぬかも。