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次の日の朝になると、陽太がいつものようにやってきた。
「花様」
陽太は、すっかり女官にもなじんでいた。
「おはようございます」
才我は、体格から、少しだけ女官に敬遠されている。
そして、次に、類が姿を見せた。
「そういえば、蝶の証って何なの?」
「ああ、胸に蝶のあざが浮かぶんだよ」
「私も、花形のあざがあるわ」
「もしかして、ただの占いじゃないのかもしれないわね」
● 〇 ●
王が、部屋で占い師と話していた。
「蝶制度とは、うまい方法を選びましたね」
「三人に花から離れられなくなる呪いをかけるとは……」
「そう、そして、花も蝶に惹かれる運命、この糸を断ち切ることは、どんなものでも不可能なのだ」
王は、最初から、花の運命を決めていたのだ。
「花は、蝶制度とやらに縛られていると思っているだろうに、でも、実際は、呪いに縛られている事に気が付かないだろうね」
「そうですね」
● 〇 ●
「そう言えば、蝶制度っていつ始まったのですかね?」
「先代、先々代位かな?」
「そういえば、歴史が浅いわよね」
花は、不思議な違和感を感じた。
(蝶は、花に集まる)
まるで、花から逃れられないと言っているようだ。
蝶は三匹、花は一つ、生き残れる蝶は一匹、何か嫌な予感がする。
「花様」
陽太がにこにこして話しかけてくる。
「みんなですごろくしましょう」
「いいですよ」
サイコロを台の上に投げていると、乙が入って来た。
「花様、文です」
「緊急の物?」
「はい」
『手山国、第二王子、亀壺刀助』と書いてあった。
「手山国?」
「隣国ですよ」
類がそう言うので、開けてみた。
「鈴蘭国の第一王女へ 今度そちらに求婚をしに行く」と書いてあった。
「どう言う事?」
「花様の力が欲しいと言う事でしょう。手山国は小国、力を失いかけているので、婿に入りたいのですね」
「なるほどね」
類は、メガネを直して。
「安心してください花様、蝶は、あなたを守るためにいるのです。男一人くらい簡単に撒いて差し上げましょう」
「本当?」
「ええ」
花は、少しだけ不安になったが、前を向き。
「全力で追い返しましょう」
力強くそう言った。
「花守りと言うのは、どうでしょう」
「何が?」
「私達三人を花守りの蝶と言う称号にしてはどうですか?」
「いいんじゃないかしら」
「ああ、それじゃあ、呑気にすごろく何てやっていられないね、亀壺刀助を調べ上げてしまいましょう」
「はい」
● 〇 ●
陽太は文官に、才我は武官に、類は商人に、聞いて回り出した。
「乙、私は、何もしなくていいの?」
「あなたは、花なのです。守られる立場なのですよ! 花様が動く必要などございませんから」
あざが疼く。
《逃さない、逃さない》
一瞬変な耳鳴りが聞こえた気がした。
(気のせいね)
花が実を結ぶその時まで、呪いは効果を緩めたりしない。花に引き寄せられる蝶の運命、それは、逃げられない固い鎖のようだ。




