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花守りの蝶  作者: 花言葉
蝶を辞めたいって本当ですか?
9/33

3

 次の日の朝になると、陽太がいつものようにやってきた。

「花様」

 陽太は、すっかり女官にもなじんでいた。

「おはようございます」

 才我は、体格から、少しだけ女官に敬遠されている。

 そして、次に、類が姿を見せた。

「そういえば、蝶の証って何なの?」

「ああ、胸に蝶のあざが浮かぶんだよ」

「私も、花形のあざがあるわ」

「もしかして、ただの占いじゃないのかもしれないわね」


 ● 〇 ●


 王が、部屋で占い師と話していた。

「蝶制度とは、うまい方法を選びましたね」

「三人に花から離れられなくなる呪いをかけるとは……」

「そう、そして、花も蝶に惹かれる運命、この糸を断ち切ることは、どんなものでも不可能なのだ」

 王は、最初から、花の運命を決めていたのだ。

「花は、蝶制度とやらに縛られていると思っているだろうに、でも、実際は、呪いに縛られている事に気が付かないだろうね」

「そうですね」


 ● 〇 ●


「そう言えば、蝶制度っていつ始まったのですかね?」

「先代、先々代位かな?」

「そういえば、歴史が浅いわよね」

 花は、不思議な違和感を感じた。

(蝶は、花に集まる)

 まるで、花から逃れられないと言っているようだ。

 蝶は三匹、花は一つ、生き残れる蝶は一匹、何か嫌な予感がする。

「花様」

 陽太がにこにこして話しかけてくる。

「みんなですごろくしましょう」

「いいですよ」

 サイコロを台の上に投げていると、乙が入って来た。

「花様、文です」

「緊急の物?」

「はい」

手山国しゅやまこく、第二王子、亀壺刀助かねつぼとうすけ』と書いてあった。

「手山国?」

「隣国ですよ」

 類がそう言うので、開けてみた。

「鈴蘭国の第一王女へ 今度そちらに求婚をしに行く」と書いてあった。

「どう言う事?」

「花様の力が欲しいと言う事でしょう。手山国は小国、力を失いかけているので、婿に入りたいのですね」

「なるほどね」

 類は、メガネを直して。

「安心してください花様、蝶は、あなたを守るためにいるのです。男一人くらい簡単に撒いて差し上げましょう」

「本当?」

「ええ」

 花は、少しだけ不安になったが、前を向き。

「全力で追い返しましょう」

 力強くそう言った。

「花守りと言うのは、どうでしょう」

「何が?」

「私達三人を花守りの蝶と言う称号にしてはどうですか?」

「いいんじゃないかしら」

「ああ、それじゃあ、呑気にすごろく何てやっていられないね、亀壺刀助を調べ上げてしまいましょう」

「はい」


 ● 〇 ●


 陽太は文官に、才我は武官に、類は商人に、聞いて回り出した。

「乙、私は、何もしなくていいの?」

「あなたは、花なのです。守られる立場なのですよ! 花様が動く必要などございませんから」

 あざが疼く。

《逃さない、逃さない》

 一瞬変な耳鳴りが聞こえた気がした。

(気のせいね)

 花が実を結ぶその時まで、呪いは効果を緩めたりしない。花に引き寄せられる蝶の運命、それは、逃げられない固い鎖のようだ。


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