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花守りの蝶  作者: 花言葉
花守りの記憶
30/33

4

 そして、次の日、婚礼の儀を国民の前でやる日程が決まった。占いで四日後に決まったようだ。

「才我、婚礼の儀だって」

「がんばりましょう」

「ええ」

 才我は、その日、少しだけ抜けて、いなくなっていた。

(どこにいったのかしら?)

 不思議に思い、待っていると。

「どういうことなんですか?」

 才我は、大慌てで、花に向かって声を掛けた。

「どう言う事なんですか、花様! なんで、陽太と類が花様の事を忘れてしまっているのですか?」

「それが、蝶の呪いだからよ!」

 花は、力いっぱいそう言った。

「花は、蝶に好かれるの、それは、呪いのせい、悪い夢は、忘れさせてあげなくちゃいけないのよ」

 才我は、ぎりっと歯ぎしりした。

「あの二人は、本当に呪いだけで、花様を好きになったとお思いですか?」

「ええ」

 花は、開き直ったようにそう言った。

「それは、間違いです。人間の意思を呪いなんかで縛ることは出来ない」

「そうかしら?」

 花は、あくまで、呪いのせいにしたいようだった。

「俺は、三人で、花様とバカ話をしながら、奪い合うのが、とても楽しかったのです」

 花は、驚いた。

「才我、私だけじゃなかったんだ。楽しかったの」

 花は、泣きそうになった。

「花様、良く考えて下さい、もしかして、強く望めば、戻るかもしれないじゃないですか、だって、俺達は、花守りの蝶なのですから」

「そうね」

 花は、思わず駆け出して言った。


「陽太!」

「はい、陽太ですが」

 背の低い、かわいらしい少年、陽太に声を掛けた。

「あの、私、花と言います」

「花さんですか、よろしくお願いします」

 深々と頭を下げる。

「着ている着物を見ても、高級そうですね。お姫様ですか?」

「そうよ」

「えっ! 本物!」

 陽太は、驚いて、ふふっと笑った。

「なんだか、あなたとは、初めて会った気がしませんね、これから、もっと仲良くなれそうな気がするよ」

「そうね、私達、友達になりましょう」

「いいよ」

 陽太は、握手するように手を差し出したので握手した。

「なんだか、ずっと昔、好きだった女の子を思い出しそうです」

「!」

(やっぱり、消えているけど、消えていないんだ)

「婚礼の儀の時、見に来てくれる?」

「もちろんです」

 陽太は、落ち着いた様子で笑った。

 次に類の所へ行くと、仕事で忙しいようだった。

「類~」

 声を掛けると。

「どこかで聞いた声のような?」

 類は、不思議な事でも起こったような顔をしている。

「そうだ。夢に出てくる、天使の声だ」

「君は、天使なのかい?」

「いいえ」

「でも、私が、最も理想とする女性、言うならば、夢の中の天使にとても似ているような気がするのだが」

「そう」

(やっぱり、完璧に呪いだけじゃないのかも)

「その天使に会ったら、なんというの?」

「愛していると伝えるさ」

「そうなの、出会えるといいわね」

 去ろうとした時、手を握られて。

「君じゃないのか?」

「ええ、違うわ、だって、私はこの国の姫で、四日後に婚礼の日を控えているの、他の男を誘惑しているひまなんてないわ」

「そうか」

 類は、少し考えた後。

「婚礼の儀を見に行っても良いだろうか?」

「ええ、ぜひ来て」

 笑顔でそう言うと、類は、笑ってくれた。


 帰り道、考えて見た。陽太も類も忘れてはいたのだが、まだ、淡く花を想っている様だった。

(二人共、変わらないのね)

 少し、うれしくなった。


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