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次の日、もう、陽太と類は訪ねてこなかった。
「花様」
ただ一人才我だけが訪ねてくる。
「あの? 二人は、もうここにこれないのですか?」
「実は、そうなの、蝶は、花に近寄れないの」
「そうですか、それは、またさみしいですね」
「ええ」
花が落ち込んでいると、才我は。
「そう言えば、蝶のあざが消えたのですが、あんなに大きなあざが一日で消えるなんて、不思議ですね」
「それが、私の花も消えたのよ」
「やはり、蝶制度が終わりを迎えたからですかね?」
「たぶん、そうね」
二人は、見つめ合った。だが、すぐに目を逸らした。
「花様と結ばれるなんて、始めは、思いもしなかった」
「私は、三人とも迷ったのよ」
花は、思い出しながら笑った。
「だって、三人共、出会った時は、いい印象じゃなかったから」
「そうですね」
才我も当時の事は、覚えているらしい。
「でも、俺は、一目惚れでした。花様は、美しかった」
「そんな」
二人で話していると、乙が入って来て。
「恋人以上夫婦未満ですから、今がとても楽しいのは、わかります。しかし、才我様は、王に成る訓練を受けてもらいますよ」
「は、はい」
才我は、緊張した様子で返事した。そのまま、王宮へ向かった。
「乙、本当は、私と話をしたかったのでしょう?」
「はい、才我様を本当にお好きですか?」
「ええ、決闘に出てくれるくらい、肝が据わっている彼なら、愛せると思ったのよ」
「そうですか、それなら文句は、ありません」
乙は、着物を整え立ち上がった。
「しかし、陽太様と類様は、もう、花様の事をあきらめなさったのでしょうか? 来なくなりましたね」
「ええ」
(まさか、忘れたなんて言えない)
花は、心の中でそう思った。
「蝶制度は、終わりを迎えたの、だからもう来ないだけよ」
「そうですか」
乙は、不思議そうに返事した。
「でも、あの二人なら、ルール位破りそうなのに……」
「あははは」
笑うしかなかった。
乙は、部屋から出て行った。
(今頃、あの二人は、どうしているのだろう?)
陽太は、仕事、類は商談で忙しいだろう。
一人ぼっちの部屋で、みんなを思う。
● 〇 ●
しばらくして、才我が戻ってきた。
「愛」
「真名はちょっと……」
もし、女官にきかれたら大変だからだ。
「なんだか、寂しそうな顔をしているね」
「そりゃあ、ずっと、一人ぼっちなんですもの」
拗ねてそう言うと。
「一緒に入れなくてゴメンな」
優しく抱きしめて、才我の手を握る。
「いいのよ、才我は、いろいろ大変なんでしょう。私は、乙がいるから、気にしなくてもいいのよ」
才我は、何かを決意した様だった。




