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花守りの蝶  作者: 花言葉
花守りの記憶
29/33

3

 次の日、もう、陽太と類は訪ねてこなかった。

「花様」

 ただ一人才我だけが訪ねてくる。

「あの? 二人は、もうここにこれないのですか?」

「実は、そうなの、蝶は、花に近寄れないの」

「そうですか、それは、またさみしいですね」

「ええ」

 花が落ち込んでいると、才我は。

「そう言えば、蝶のあざが消えたのですが、あんなに大きなあざが一日で消えるなんて、不思議ですね」

「それが、私の花も消えたのよ」

「やはり、蝶制度が終わりを迎えたからですかね?」

「たぶん、そうね」

 二人は、見つめ合った。だが、すぐに目を逸らした。

「花様と結ばれるなんて、始めは、思いもしなかった」

「私は、三人とも迷ったのよ」

 花は、思い出しながら笑った。

「だって、三人共、出会った時は、いい印象じゃなかったから」

「そうですね」

 才我も当時の事は、覚えているらしい。

「でも、俺は、一目惚れでした。花様は、美しかった」

「そんな」

 二人で話していると、乙が入って来て。

「恋人以上夫婦未満ですから、今がとても楽しいのは、わかります。しかし、才我様は、王に成る訓練を受けてもらいますよ」

「は、はい」

 才我は、緊張した様子で返事した。そのまま、王宮へ向かった。

「乙、本当は、私と話をしたかったのでしょう?」

「はい、才我様を本当にお好きですか?」

「ええ、決闘に出てくれるくらい、肝が据わっている彼なら、愛せると思ったのよ」

「そうですか、それなら文句は、ありません」

 乙は、着物を整え立ち上がった。

「しかし、陽太様と類様は、もう、花様の事をあきらめなさったのでしょうか? 来なくなりましたね」

「ええ」

(まさか、忘れたなんて言えない)

 花は、心の中でそう思った。

「蝶制度は、終わりを迎えたの、だからもう来ないだけよ」

「そうですか」

 乙は、不思議そうに返事した。

「でも、あの二人なら、ルール位破りそうなのに……」

「あははは」

 笑うしかなかった。

 乙は、部屋から出て行った。

(今頃、あの二人は、どうしているのだろう?)

 陽太は、仕事、類は商談で忙しいだろう。

 一人ぼっちの部屋で、みんなを思う。


 ● 〇 ●


 しばらくして、才我が戻ってきた。

「愛」

「真名はちょっと……」

 もし、女官にきかれたら大変だからだ。

「なんだか、寂しそうな顔をしているね」

「そりゃあ、ずっと、一人ぼっちなんですもの」

 拗ねてそう言うと。

「一緒に入れなくてゴメンな」

 優しく抱きしめて、才我の手を握る。

「いいのよ、才我は、いろいろ大変なんでしょう。私は、乙がいるから、気にしなくてもいいのよ」

 才我は、何かを決意した様だった。


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