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花は、その夜、部屋で悩み続けた。
(さようなら、陽太、類)
蝶制度が始まってから、最初に花の元を訪れたのは、陽太だった。明るくて、すごろくに付き合ってくれた。
陽太を思い出して、少し顔がゆるんだ。
類何て、蝶制度を取り下げてほしいと言い出したりした。
(あの時は、本当に嫌な奴だったな~)
思い出して、悲しくなった。
(あの二人は、忘れちゃうんだ)
それでも、真名を教えなければ、結婚に至らない。
(私は、才我を選んだの、二人の事は、忘れよう)
花は、心の中でそう決めて、強く才我を思った。
● 〇 ●
次の日、才我と二人きりになった。
「才我、私の事好き?」
「もちろんです」
「陽太と類をどう思う?」
「良きライバル」
「そうだよね。遅れちゃってごめんなさい、真名を教えるわ、私の真名は「愛」って言うの」
「愛ですか」
そう言った途端に、パキンと鎖が切れたような感覚がした。
「何?」
(そうか、陽太と類との関係が切れたのね、それじゃあ、あの二人は、忘れてしまうのね)
「どうした? 愛」
「えっと……」
ポタポタと涙が流れた。
「愛?」
「うれし泣きだから、ついに、才我と結婚できるんだもの」
才我は、優しく抱きしめてくれた。
「ありがとう」




