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花守りの蝶  作者: 花言葉
花守りの記憶
27/33

1

 その日、刀助は、国に帰って行った。

「あいつ、二度と来なくていいわ」

「そうです。そうです」

 類が怒ってそう言う。

「でも、才我は、よかったですよね、花様に選んでもらえたんだから」

 陽太がそう言う。

「ああ」

 才我は、照れくさそうに返事する。

(ああ、もう、これは、見れなくなる光景なんだ)

 才我が壁にもたれかかって、陽太と類が楽しそうに話をする。これが、花の日常になっていたのだ。

(さみしいよ……)

 花は、心の中でそう思った。

 才我が、花を見て、少し思った事がある様だった。

「花様……」

「才我?」

「少し来てくれ」

「ええ~、二人きりになるの~」

「もはや、才我と花様は、夫婦同然なのですから、誰かさんの不平不満を聞き入れる必要なんてないですよ」

 類が怖い笑顔でそう言う。

「うん」


 ● 〇 ●


 才我と二人きりになった。

「あの、鈴、助かった」

「ああ、あれは、才我が初めて出かけた時くれた物よ、だから、助けたのは、才我、あなた自身なのよ」

「花様は、俺を婿にすることを悩んでいるのか?」

「いいえ」

「本当か?」

「ええ」

「本当に?」

「しつこいわね、悩んでないわ」

「じゃあ、なんで、悲しそうなんだよ」

 才我が大声でそう言った。

「だって、才我と陽太とはもう……」

「もしかして、蝶に選ばれた奴とは、もう会えないのか?」

「ええ、そんなところよ」

「そうか、それじゃあ、手放しで喜べないな」

「うん」

 二人は、とても良くしてくれた。楽しい思い出だってたくさんあったのだ。忘れるなんて寂しい。

「でもね、才我と一緒にいたい」

「うん、わかった」

 才我は、大きな手で優しく花の頭をなでる。


 ● 〇 ●


 その夜、宴が開かれた。

「今日は、花の婿が決まったので、お伝えしようと思います」

 そこで、花の周りを三人で囲い、花と花守りの蝶が入って来た。

「花守りの蝶、解散式」

「花の蝶に選ばれたのは、水無月才我だ」

「「おお~」」

 歓声が上がった。

「武術に長けて、先日の決闘も見事だった。彼に不満は無いだろう?」

「「はい」」

「では、花から、蝶へ祝福の口付けをしてもらう」

「はい」

(これは、儀式よ)

 花は、国民の前では、余裕を持った態度をとる様にしているので、恥ずかしさを隠して、優雅に口付けた。

「契約成立だ」

「これで、才我は、花の婿だ」

 会場は、大盛り上がりだ。

「花、なぜ、真名を教えなかった」

 父にそう言われて。

「明日、言います」

 チクチクと胸が痛んだ。


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