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そして、しばらく日数が過ぎ、決闘の日まで、日はほとんどなくなった。
「才我、がんばってね」
「はい」
才我は、最終調整に入っていた。
「こうより、こうの方が」
槍の持ち方もほとんど決まっていた。
「花様~」
類が珍しく取り乱して、入ってくる。
「ここは、稽古場よ」
「わかっています。でも、風のうわさで聞いたのですが、花様は、才我を選ぶと約束してしまったとか」
「……なぜ、それを?」
「私の情報網をなめないでください。女官達が話を聞いていたらしいじゃないですか、どうなのです」
「あの、その、うん」
「えっ、本当なのですか?」
類は、唖然とした顔で立っていた。
「花様、あなたは、筋肉質な男性がお好みでしたのですね」
「えっ?」
(そういうわけでもないけど……)
● 〇 ●
その頃、花の父は、占い師と話していた。
「蝶制度には、花と蝶の相性があることをなぜ言わなかったのですか?」
「まあ、呪いって言うのは、完全ではない。ある程度好きには出来るが、花と蝶が呪いだけに流されることは、ないのですよ」
「花は、誰を選ぶ」
「それを言ったら、つまらないではありませんか」
● 〇 ●
「それじゃあ、花様は、なぜか才我にとても惹かれたのですね」
「ええ、でも、恋って理由が必要?」
「そうですね、蝶であると思い、意識し続けていて、急に恋になる可能性だって、無いわけではございません」
「だから、いいの」
(どうせ、類と陽太は、忘れるのだから)
目の前の明るい類を失うのは、少しばかり悲しかった。
(でも、仕方がないのね)
花は、少しばかりやるせない気持ちだった。
「でも、決闘は、全力で協力しますから、もしかして、気が変わってくれるかもしれませんしね」
類は、明るくそう言い、いなくなった。
● 〇 ●
「才我、一つ忘れていたわ、決闘って、命を落とす可能性もあるって事」
「ああ」
「才我は、生きて、私の真名を聞くって約束を破ったりしないよね」
「はい」
才我は、優しく笑った。
「ずっと、ずっと、一緒にいようね」
「うん」
才我の目の色が変わった。




