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稽古場へ向かう途中。
「そこの女の子、かわいいね」
筋肉質な怖い男に声を掛けられた。
「え、ええっと……」
妙になれなれしい男に、不安を抱いていた。
「その着物、高そうだね、お嬢様って所か?」
そう言い、腕をつかんできた。
「いたっ」
「いい女、手に入れたぞ」
そこに才我が現れた。
「お前ら、いい度胸だな、こいつは俺の女なんだ。お前に握られて、痛そうにしているじゃないか、後で、稽古付けて欲しいみたいだな」
「ええ~、隊長の女ですか」
「ああ」
「ごめんなさ~い」
集まっていた男共は、去って行った。
「ばかですかあなたは、稽古場はああいう輩がいるんですよ。一人で来てはいけませんと言ったでしょう」
「そうなの……」
少し足がすくんでいた。
「才我、才我、怖かったわ」
へたっと座り込んでそう言った。
「歩けない様なので、安全な所まで、運んで差し上げましょう」
お姫様抱っこされてしまった。
「才我……」
「何ですか?」
「何でもない」
目が合った瞬間恥ずかしくなってしまった。
才我の縄張りに連れて行かれると、色々な道具が転がっていた。弓や剣の他に、まきびしなどがあった。
「花様は、返事をなさりに来たのですか?」
「ええ、そうよ」
「では、返事を聞いても良いですか?」
「あ、あの~、決闘に勝ったら、才我に真名を教えるわ」
「それでは、俺もがんばらなくてはいけないな」
槍を取り出し、一回宙を切る。
「すぐに仕留めて見せますよ」
「がんばって」
応援してあげると、才我は、花に近づいて来た。
「もう一度、抱きしめても良いでしょうか?」
「ええ」
才我は、優しく花を抱きしめた。才我のゴツゴツした鍛えられた腕、厚い胸板、どれも戦士なのだと思わせる。
「花様、ずっとこうしていたい」
「私も」
幸せな時間は、あっという間に過ぎて、夜の稽古場になっていた。稽古場は、女人禁止なので、急いで屋敷に戻った。
「ただいま、乙」
「おかえりなさいませ、お返事は、出来ましたか?」
「ええ」
乙は、着物を着替えさせる作業に入りながら。
「花様が、才我様を選んだのは、正直意外でしたわ」
「? なんで」
「陽太様の方が仲が良さそうでしたから」
乙は、そう言いながらも、手は休めない。
「陽太は、友達だったのよ、だから、仲が良かったの」
「でも、陽太様は、本気でした」
「そうかしら? でも、いい人だったわ」
寝間着に着替えたので、布団に入ると、ウトウト眠気がした。




