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花守りの蝶  作者: 花言葉
決闘の約束
22/33

6

 稽古場へ向かう途中。

「そこの女の子、かわいいね」

 筋肉質な怖い男に声を掛けられた。

「え、ええっと……」

 妙になれなれしい男に、不安を抱いていた。

「その着物、高そうだね、お嬢様って所か?」

 そう言い、腕をつかんできた。

「いたっ」

「いい女、手に入れたぞ」

 そこに才我が現れた。

「お前ら、いい度胸だな、こいつは俺の女なんだ。お前に握られて、痛そうにしているじゃないか、後で、稽古付けて欲しいみたいだな」

「ええ~、隊長の女ですか」

「ああ」

「ごめんなさ~い」

 集まっていた男共は、去って行った。

「ばかですかあなたは、稽古場はああいう輩がいるんですよ。一人で来てはいけませんと言ったでしょう」

「そうなの……」

 少し足がすくんでいた。

「才我、才我、怖かったわ」

 へたっと座り込んでそう言った。

「歩けない様なので、安全な所まで、運んで差し上げましょう」

 お姫様抱っこされてしまった。

「才我……」

「何ですか?」

「何でもない」

 目が合った瞬間恥ずかしくなってしまった。

 才我の縄張りに連れて行かれると、色々な道具が転がっていた。弓や剣の他に、まきびしなどがあった。

「花様は、返事をなさりに来たのですか?」

「ええ、そうよ」

「では、返事を聞いても良いですか?」

「あ、あの~、決闘に勝ったら、才我に真名を教えるわ」

「それでは、俺もがんばらなくてはいけないな」

 槍を取り出し、一回宙を切る。

「すぐに仕留めて見せますよ」

「がんばって」

 応援してあげると、才我は、花に近づいて来た。

「もう一度、抱きしめても良いでしょうか?」

「ええ」

 才我は、優しく花を抱きしめた。才我のゴツゴツした鍛えられた腕、厚い胸板、どれも戦士なのだと思わせる。

「花様、ずっとこうしていたい」

「私も」

 幸せな時間は、あっという間に過ぎて、夜の稽古場になっていた。稽古場は、女人禁止なので、急いで屋敷に戻った。


「ただいま、乙」

「おかえりなさいませ、お返事は、出来ましたか?」

「ええ」

 乙は、着物を着替えさせる作業に入りながら。

「花様が、才我様を選んだのは、正直意外でしたわ」

「? なんで」

「陽太様の方が仲が良さそうでしたから」

 乙は、そう言いながらも、手は休めない。

「陽太は、友達だったのよ、だから、仲が良かったの」

「でも、陽太様は、本気でした」

「そうかしら? でも、いい人だったわ」

 寝間着に着替えたので、布団に入ると、ウトウト眠気がした。


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