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その夜、こっそり、庭に出ていくと、才我がいた。
「こんばんは」
手を振ると、顔をうつむかせて。
「こんばんは」
目を合わせてくれないので、話しだした。
「才我は、何か情報は得た?」
「は、はい」
月のよく照る日で、月明かりがうっすらと辺りを照らしていた。
「ねえ、才我どんなことを聞けた?」
才我に訪ねながら歩いていると、石に突っかかってしまった。
「きゃ」
才我が抱き留めて、ケガはしなかった。
「ありがとう」
「こういう、月明かりの下で、男と二人きりになってはいけないと誰かに教わらなかったのですか?」
「ええ」
「もし、よからぬことを考える相手だったら、どうするのですか!」
「あら、私だって相手は選んでいるわ、才我は何もしないでしょう」
「……はい」
「蝶だもの、今の私には、手を出さないわ」
「いえ、蝶だから、手を出しても許される立場なのですよ」
才我は意地悪くそう言った。
「でも、才我はしないって信じてる」
「そうですか、信頼されているようで、うれしいです」
才我は、苦笑いした。
「差し入れ、ありがとうございます」
「喜んでもらえてうれしいわ、私には、何もできないから、お礼の気持ちだけでも伝わったかしら?」
笑顔を浮べて、才我を見つめた。才我は、照れているのか、恥ずかしそうだ。
「私は、今、蝶に平等でなければいけないの、だから、特別な蝶は、まだ作らないわ、私が、本物の蝶を選んだ時、あなた達がどうなるか、少し心配なの」
「大丈夫ですよ、男ですから、あきらめますよ」
「そうだといいわね」
あきらめるぐらいで済めばいいが、殺されていたら、助けようがない。だが、一年以内に決める事は、義務である。姫として、何としてもやり遂げなければいけない。
「才我、あなた、二人の命を守れる?」
「相手によりますが、あの二人がすぐに殺されるなんて思いませんけど……」
「確かに」
類も陽太もしぶとそうだ。
「ありがとう才我、気が晴れたわ」
花は、落ち着いた様子でそう言った。




