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花守りの蝶  作者: 花言葉
とても迷惑な求婚
11/33

2

 次の日も、刀助は、めげずに褒めちぎっていた。

(面倒くさい人ね)

 花は、心の中でそう思っていた。姫と言う立場上こういう事は、よくあるのだ。

「蝶などと言う庶民より、俺のような王子の方が、君を幸せにできると思うのだけど、どう思いますか?」

「そうね~、私には、わからないわ」

(蝶の人の方が、何倍も格好いいわよ)

 花には、蝶の人達は、裏が無いように見えた。花に、真実しか見せなかった様に思えたので、信頼できると思っている。

「花様?」

 また焼けるようにあざが痛む。

(痛い)

 痛みをこらえるのに汗が流れる。

(苦しい)

 花は、刀助を見るのをやめて、あざを押えた。

「どうしたのですか?」

「あなたは、さっきまで、私を見ていたわよね? それなのに、気付けなかったの? 私が苦しんでいた事」

 汗を流しながらそう言うと、刀助は、真っ青になる。

「大丈夫ですか、花様」

「近寄らないで」

 あざは、刀助を拒んでいる事が良くわかった。

 蝶制度と言う物は、花を守っているのか、それとも喰っているのか、わからないので、恐怖も生まれた。

「乙、私、刀助がダメみたいなの」

「そうみたいですね」

「蝶に会いたい」

 ばたりと部屋で寝ついてしまった。


 ● 〇 ●


 目が覚めた。そこには、陽太と才我と類がいた。

「みんな……!」

「お目覚めですか、花様」

 類が優しくそう言う。

「なんで、みんながいるの?」

「乙様に呼び出されてしまいまして、心配したのですよ。乙様は、花様が、倒れたと言っていたのですから」

 才我が照れくさそうに言う。

「乙、呼んでくれたの?」

「はい、花様が、蝶に会いたいと申しておりましてので、走って呼びつけました」

「ありがとう」

「ところで、あざが痛むそうですね」

「はい」

「実はね、僕達も最近何度か、蝶のあざが焼けるように痛んだんだ」

 陽太があざを押えてそういった。

「それって、いつ頃だった?」

「この前の、昼の職務中」

「私は、午後の計算中」

「俺は、トレーニング中」

「それって、もしかして、同じ時間?」

「「「!」」」

「確かに、そうですね、太陽の位置を覚えていますか?」

「覚えていないよ、でも、もうすぐ夕日が出る時間だった」

「確かに、僕もそうだった」

「その時間、私のあざも痛んだの、刀助に迫られて困っていたら、あざが急に痛みだしたんだもの」

「大丈夫でしたか?」

 陽太が、心配そうに訊いてきた。

「少し痛んだだけよ」

「そうじゃなくて、その男に何かされましたか?」

「いいえ、ただ、ほめちぎられたわ」

「そうですか、花様の好みじゃなかったようですね」

 花は、何を心配しているのか、わからなかった。

「私達は、花守りの蝶です。花様が嫌だと思った時に、助けに行くように痛むのかも知れませんね」

 類は、頭をひねっているようだ。

「蝶と花の絆は、深いのかもしれないですね」

「そうね」

 花と蝶の絆と言うが、本当にこれは、絆なのだろうか?

 花は、疑問に思っていた。

「花様、元気を出してください」

 陽太が陽気に花の背中を押す。

「そうね、いつまでも沈んでなんかいられないわね」

「陽太様、上司がお呼びですよ。類様も書類の催促が来ていますよ。才我様も指導している弟子がお待ちですよ」

 乙が、三人に出て行くように言った。

「そうでした」

「仕事中だった」

「弟子が待っている」

 三人は、本当に用事があった様で、急いでいなくなった。

「みんな、私の為に来てくれたのかしら?」

「そうに決まっています。あの方々は蝶なのですから」

「そうよね、蝶だものね」

 少しばかり、蝶と言う言葉で三人を縛っている気がした。

「みんな、花様がお好きなのですよ」

「えっ、好き?」

「はい、花として、立派に蝶を魅了したのですね」

 花は、あまり心当たりがなかった。ただ、三人と、仲良くしていただけだったと思っていた。

「花様の母君も、三人の蝶に見事に愛されていらしたのですよ」

「そうなの」

「私が、仕える前でしたので、もちろん、ウワサですけどね」

 乙は、笑顔でそう言った。


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