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Speed to Misfortune  作者: エジソン/ezison
一章
7/16

7 ジョリー:オリジン~関係者ミノル~

 「うぅ……。」

どこかの建物の中で彼女は目を覚ます。

「目が覚めたみたいだな。」

そして目の前には少年、少し大人らしい女性、そして男性。

 彼女はどうやってこの状況になったのかを瞬時に思い出した。…私はこいつらを殺しに来たんだ、と。

同時に彼らに自分が敗北したことも思い出す。

 「頭の整理はできた?」

少年が私の顔を覗き込む。私はゆっくりと痛む首をうなずかせる。

「ミノル君、彼女をどうするつもりだい?」

男性が少年に問う。

「どうもしない、ただ、質問がある。……どうして執拗に僕らを狙うのか。彼女を動かす動機をね。」


 「さ、話してもらおう。君は誰だ、どこから来た?」



 私の名前はジョリー。

 私はその日までアメリカでも有数の“とある大手企業”で兵器開発の部門の開発者だった。複雑だが気にしないでほしい。

 造っている兵器は軍に売られているものがほとんど。残りのいくらかの行方は私たちにはわからなかった。


 私には彼氏がいた。

 その日はその彼とのデートをする予定があった。

 ……しかし、彼との待ち合わせ場所で待って一時間、彼は来なかった。いつもなら30分は早く到着する彼だ、私は捜索を始めた。

 ……彼の家、彼の好きな景色の見れる場所、彼の好きな公園、再び待ち合わせ場所…。

 彼はどこにもいない。


 その時、私の携帯が鳴った。……非通知。

 電話に出る。…知らぬ男の加工済みの声。


 『彼を救いたければ一人でここまで来い。』


 私は指定された場所まで一直線に向かった。………少し古い倉庫だ。

 街からは離れており、監禁場所としては適していた。

 中に入ると、段ボールが積まれたスチールラックがいくつも並んでいた。中は暗かったけど、少し奥に蛍光灯で照らされた場所があった。

 「……おい、誰だ!?誰か来たんだろォ!?」

彼氏の声だ。蛍光灯の方から彼氏の声がした。

 しかし、私がそっちへ脚を踏み入れた途端……後頭部に激痛が走り、視界がゆがんだ。


 目が覚めた時の感覚は…まさに今みたいだったよ。酷くめまいがして、吐き気もあった。

 目が覚めた場所は、六角形に作られた実験施設みたいな所だった。…上をみるとガラス張りの部屋、それこそ研究室のような部屋があった。

 ここは隔離されている、と一瞬で理解した。

 私の周りにも数人、私と同じくらいの男女が居た。その時はそんなことどうでもよかったけど。

 少しすると、上の研究室に一人の女性が現れた。しっかりと顔は見えなかったけど、確かに女性だ。


 『あなた達の大切な者を取り戻したかったら、この後向かう世界でこの少年を殺しなさい。』

 彼女は言った。



 「六角形の部屋の壁のうち、一つに映し出された写真の少年、それこそが田中ミノル。あんただったわ。」

 ジョリー、と名乗った女性が言った。偽名ではないだろう。

「………嘘、でしょ?…し、知らない、僕は……。」

 少年、いや、田中ミノルが息を荒げる。

「僕が、この事件の関係者?……ははっ、そんなわけ…。」

「ミノル君、大丈夫だよ…。」

と男性、ケンジが声をかけるが、ミノルはどこかへ走り去ってしまった。


 「追わなくていいのか?」

とジョリーが声をかけると

「私が」

と女性、ミユが言い残して後を追っていった。



 「違う、そんなわけ…。」

僕はその時拠点にしていたカフェの屋上で息を整えた。

「…そんなわけないッ!」

しかし、苛立ちを隠せずに塀に入れた蹴りは高速、塀は砕けた。

 「ミノル…?」

背後の階段からミユが姿を現す。

「大丈夫よ、こっちに来る前から私と一緒にいたじゃない。」

ミユがとなりに来て僕の顔を覗き込む。

 「あ、そ、そうだ、あれ?……ちょっと待って、でもどうして?」

「どうしたの?」

「そういえば、君はゲームなんて大してうまくないのに…」

「?」

「どうしてこの学校へ来たんだ…?」


 ミユは少し困った顔をした。

…彼女と同様に僕も困惑していた。

「そ、そんな…ミユを信じれなきゃ、僕は何を信じて生きていけばいいんだッ!」

僕は塀に再び拳を入れる。……塀はとうとう、粉々に砕けてしまった。

 「ち、違うっ!……私は何も知らないっ」

ミユは酷く取り乱している。

「……じゃあ、どうしてここに来たの?…っていうかどうやって?受験はなかった、つまりあのメールが入学許可証みたいなものでしょ?」

 そうだ、僕は受験してないぞ。そもそもあのメールがすべての始まりだ。

「わ、私もメール、もらって…。」

嘘だ。……いや、嘘じゃない。…ミユ、こんなに嘘が上手だったっけ?知らない。嘘を吐くのも見抜くのも僕の得意技だけど、プロのスパイだったらそんなの通用しないだろう。

「嘘を吐いているようには…見えないけど、もう、何も信じれないよ…!」


 僕は振り返ってミユを改めて見つめる。

 「どうしてあいつらが僕の命を狙ってるか、調べなきゃ…。」

 「わ、私も協力する。……そしたら信じてもらえる?」

 「うん……次の拠点を探しながらジョリーからプレデターの情報を得なきゃ。」



 まだ、気になることもある。


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