初心なプリンセス
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翌朝、フィンと会った私は早速実行に移す事に。
「おはようございます姫様、今朝は随分と早起きですね」
「おはようフィン。 あのさ……」
そこでハッとなってルロスがやってみればわかるって言った意味を思い知る事になる。
「どうしました?」
「う、い、えっと、あのね」
首をかしげながらハイって返事をしてくるんだけど、どう言って誘ったら良いか全く思い浮かばなくて、あたふたしちゃう。
「用がないのなら行きますよ」
「待って! 待ちなさいフィン!」
つい命令口調になって止めてしまう。
誘うのなんて簡単なんて思ってたのにぃぃ。
「あし、あしあしあし」
「足がどうかしましたか?」
フーッ、フーッ、フーッと息を荒くさせながら、きっと顔も真っ赤になってるはず。
「姫様、体調でも優れない……」
「明日! 明日、私と出掛けて!」
勘違いするフィンの言葉を遮って、やっと誘えた。 だと言うのに……
「珍しいですね、いつも勝手に行かれるのに姫様から頼んでくるなんて。 わかりました、それではアルバロとルロスにも……」
「違うの! 明日1日、私と2人きりで散歩をしましょうって言ってるの!」
やっと私が言いたいことが分かったようでフィンの顔が真っ赤に変わっていく。
「か、かか、勘違いしないでね。 別にフィンと恋人とかそう言うんじゃなくて……アルバロたちも順番に誘ってみるつもり、なんだから……」
そこで気がつく。 私のやってることは選り取りしてるんだって。
「ごめん……私、最低だ」
「良いんじゃないですか? 姫様の事だから、国の事を考えて相手を探しているんでしょう?」
本当はそこまでは考えてなかったけど、今はフィンの言葉を借りる事に。
「そ、そうなの。 お父様にも早く相手を探してって言われてるし」
「わかりました。 それで明日はどこでお待ちすれば良いんですか?」
「え?」
「えって、まさか何も考えていなかったとか言いませんよね?」
だってルロスは適当にって言ってたから。
私の様子から何も考えていなかったのがバレバレだったようで、フィンが溜息をついてきた。
「それでは自分がエスコートさせて貰って構いませんか?」
「う、うん」
「では明日この時間に王宮の入り口を出て少し行ったところに大木がありますよね。 そこでお待ちしてます」
私の返事も待たないでフィンは行っちゃった。 でも先に誘ったのは私だっけ。
その頃、マクシミリアンの屋敷では。
「将軍! 千載一遇のチャンス到来ニャ!」
「なんだやかましい」
今朝方の私とフィンのやり取りを盗み聞きしていた、猫の女獣人がマクシミリアンに報告をしている。
「それは誠か! 正に千載一遇の好機だ。 良くやったぞ」
「おおっ! 褒められたのニャ!」
ただフィンだけではなく、他の人とも同様の事をすると聞いたマクシミリアンは、唸るような声を上げて考え事をしだす。
「フィン以外の時に妨害をするのはどうだ?」
「それは逆効果を生みかねないのでやめたほうが良いと思うニャ」
ではどうしたら良いって猫の女獣人に尋ねると、それとなく雰囲気の良い場所を教えてみたりしてはどうかって提案してくる。
「なるほどな……なら7つ星の騎士ゆかりの場所なんかどうだ? あれ以来冒険者殺しも出ていないし、今のフィンであれば倒せるであろう?」
「ニャにを考えているんですか将軍は! そんなの雰囲気ぶち壊しニャ! もっと綺麗な場所とか、美味しい食べ物がある場所とか無いんですかニャ!」
「某がそんな場所を知るわけが無いことぐらい悟らんか、この馬鹿猫!」
渋い顔をしながらマクシミリアンが怒鳴ると、呆れた顔を浮かべながら猫の女獣人が奥様と逢引に行った場所とか無いか尋ねる。
懐かしむようにキラキラした顔をしながらマクシミリアンが思い出したように口を開く。
「なるほど……それならばあそこだ。 某が妻に告白した場所……」
「おおっ! 何処ですかニャ!」
「王都の中央広場だ!」
猫の女獣人が引いた顔を見せる。
「そんな人が大勢いる断わりにくい場所で告白だなんて、もはや脅迫だニャ……」
「ええい、うるさい馬鹿猫だ! ならお前がなんとかしろ!」
「ええぇぇぇぇえ! 丸投げかニャ!……僕だって彼氏いニャいというのに……」
そこにマクシミリアンの声を聞きつけたミュラー夫人が、誰か居るのと声を掛けながら近寄ってくる。
「わかったらさっさと行け!」
「もうどうなっても僕は知らないのニャ」
猫の女獣人が姿を消すと同時に夫人が書斎に入ってきて、どうかしたのか聞いてくる。
「う、うむ。 実はな、ちょっと小耳に挟んだことがあってだな……」
マクシミリアンが夫人に、フィンが明日、私に逢引に誘われたから、なんとかうまく行かせてやりたいって話をする。
「あなたが口を出したらそれこそ失敗になるだけよ! そういうのはフィンに任せて、私たちはそっと2人を見守っていれば良いのよ!」
「そういうものか、済まんな」
「分かれば良いのよ、あなた」
ジーっとマクシミリアンが夫人を見つめて顔を赤らめる。
「その、なんだ。 久しぶりにいかがかね?」
…………
………………
「……そうね」
お熱いことで。




