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サーラいなくならないで!

 ルロスが私たちの言葉を理解できるようになって、ちょっと前までの話を簡単に説明してから話を戻すの。



「という事はサーラ……サハラ様は世界(ワールド)守護者(ガーディアン)で、私が転生者かどうかをずっと見張っていただけなんですね」


 サーラが2人の奥さんである、アリエルと【魔法の神エラウェラリエル】から離れて私の側まで来て、おもむろに頭を撫でてきたの。 とても優しく撫でてきて申し訳なさそうな顔を向けてくるわ。



「本当のことだから言い訳はしない、済まなかった」


 頭まで下げてサーラがこんなに素直に謝ったことなんて今までなかった。



「でも私は本当に転生者ではないわ。 これだけ長い間側にいても疑っていたの?」


 困った顔を私に向けてサーラは黙ったままだわ。



「サハラさんはね、もっと早い段階で貴女が転生者じゃないってわかっていたわよ。 でも貴女の事が心配で付いていてあげたいって言ってね、私たちよりも優先して貴女の側に今までいたのよ」


 アリエルが私の質問に答えてきて、サーラを見ると何も言わないまま、私の頭を撫でながら済まなそうに向けてくる……


 そこで今アリエルが言った言葉に違和感を感じて思い出してみて今までって言葉に引っかかりを覚えるの……今まで!? それって、まさか……



 そしてサーラの手が私の頭から離れると、アリエルと【魔法の神エラウェラリエル】の方へ戻っていくわ。


 ここで何か言わないとサーラがこのまま私の元からいなくなってしまう……そんな気がした……

 別にいいじゃない、これでもう怒られたりしなくなるんだから。

 でも……



「サーラ!」


 2人の奥さんである、アリエルと【魔法の神エラウェラリエル】の所まで戻ると振り返って私の事を見つめてくるの。


 よくわからないけど、なんでなのかわからないけど、サーラにいなくなって欲しくなかった。 いつまでも私の側にいてほしい! 間違ったことをしたら叱ってほしい! 困ったら相談に乗ってほしい。

 そんなことを私にしてくれるのはサーラだけだから……


 ……っ!


 そっか……サーラは、サーラだけは私の事をプリンセス扱いしないで1人の人間としてずっと見ててくれたんだ。

 やだ、嫌だよ……サーラいなくならないで!



「サーラ……行かな……うううん! 視察も終わってドラウの事もルロスから聞けばいろいろわかると思うの。

だから早く王宮に戻って対策を考えなきゃダメなんだから!

だから、だから、これからも私の護衛をしなきゃダメなんだから!

ずっと、ずっと! 側にいなきゃダメなんだからっ!!

私の前から勝手にいなくなったら許さないんだから!!!」




 多分今の私は涙でぐちゃぐちゃになってると思う。

 涙でサーラがぼやけてしか見えないけど、見ていないとこのままいなくなってしまいそうな気がしたから絶対に目を逸らさないで見つめ続けるんだから。



 サーラがアリエルと【魔法の神エラウェラリエル】に顔を向けると、2人はやれやれとでも言いたげにためいきをついて頷くと、サーラが私の方へ近寄ってくるの。



「まったく……なんて顔をしているんですか! 一国のプリンセスがそんなに泣きはらした顔を見せてはダメでしょう!」


「だって!」


「だっても何もありません! さっさとそのぐしゃぐしゃになった顔を拭きなさい!」


「サーラは、いなくならない?」


「私はプリンセス ララノアの付き人兼護衛ですよ? 勝手にいなくなるわけがないでしょう」


 気がついたら私、サーラに抱きついてた。


 服が涙でビショビショに濡れて少しだけ嫌そうな顔を浮かべてるサーラなんか気にしないんだからっ!



「えーとですね、一応私たちの旦那様なのであまり長いこと抱きつくのはやめていただけませんか?」


 離れないでずっと抱きついていたら、嫉妬と殺気が少しこもった声で【魔法の神エラウェラリエル】が、まるで警告のように言ってきて慌てて飛び退くように離れたの。


 そっか、サーラって中身は男の人なんだよね。 あ、だから着替えとかお風呂に一緒に入らなかったんだ。

 というかサーラの本当の姿ってどんなんだろう? 【魔法の神】とか代行者が奥さんになるぐらいだから、凄くカッコいいのかな?



「こらこら、なんか怪しい想像してないでしょうね? 言っておくけど、サハラさんは貴女のひいお爺さんに当たるマルスとは親友だったし、ひいお婆さんのレイチェルにも好かれているのよ!」


 わぁ! じゃあやっぱりきっと素敵なんだわ! ジーー。



「何を見ているんですか? そんな暇があるならあちらをなんとかしなさい」


 あっち? って、わあぁぁ! フィンとアルバロがへたり込んで口からなんか漏れてる気がするぅぅぅぅぅ!



「反則だぜ。 こ、これはどうあがいても勝ち目がなさすぎんだろ……」


「リア充憎い……リア充憎い……リア充憎い……」


 あ、あははは……




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