秘密の通路
ブックマークありがとうございます。
あの日以来、父様が私を王都に連れて行ってくれることはなくて、私はまた王宮の中だけで暮らす毎日に戻っちゃったの。
「王宮ももう飽きちゃったよ」
“仕方ないさ”
「もうこうなったらあそこしかないよね! うん、今日は火蜥蜴に止められても行くんだから」
“おいララっち、まさかあそこってあそこに行こうとしてんのか? やめとけよ、あそこは危険だ”
「危険って火蜥蜴は行ったことがあるの?」
“あー……”
火蜥蜴がそっぽ向いて知らん顔したけど、いいモン! 今日はあそこを絶対に行ってみるんだから。
昼までアルナイル先生と勉強をした後、動きやすいドレスに着替えて準備オッケー。
“なぁ本気で行く気なのかぁ?”
「じゃあ行ったらいけない理由があるのなら教えてよ」
“そ、そりゃあよ、まさかそこから城の外に出られるなんて口が裂けても言えないだろ”
火蜥蜴がハッとして私を見た後、ギャーって声を上げたと思ったら、目玉が本当に飛び出て、お口も顎が外れちゃったよ。
「へぇ〜、お城の外に出られるんだ」
“ララっち、顔が悪い顔になってるぞ。
やめておけよ、外ってこの国の外だから魔物もいるかもしれないんだぜ”
「火蜥蜴がいるから大丈夫だよね?」
“おう、任せておきな! じゃなくてダメだダメだ”
「今日は行くってもう決めたんだもん」
周りに人がいないのを確認してから秘密の通路にコッソリ入っていったんだ。
“しょうがないなぁ、俺っちにも責任あるモンな”
ブツブツ言いながら火蜥蜴もついてきて、薄暗くて凄く長い通路を進んでいくと固く閉ざされた扉に辿り着いたんだ。
「ん〜、固くて開かないよ!」
“だからやめておくべさ”
「火蜥蜴開けて」
“やーなこったぁ”
「火蜥蜴!」
“やだったら、い、や、だ、ね」
「お願い」
そしたら火蜥蜴ったら寝たふりしようとするんだよ!
「お友達でしょ?」
“…………。
あー、もうわかった、わかったヨゥ”
渋々おじさんの姿になってドアを開けてくれたよ。
「ありがとう火蜥蜴!」
“ヤバい、絶対にヤバい。 俺っち責任重大だ”
「そんなに心配しなくたって大丈夫だよ。 ちょっとだけ外の世界を見てみるだけだからね」
扉を抜けたら王宮のお庭とは違って、綺麗に整頓されてないけどなんだかとても暖かな景色に嬉しくなって、気がついたら歌を歌いながら秘密の通路からどんどん離れていっちゃってたんだ。
「あ、綺麗な森……」
“だいぶ離れたからそろそろ戻った方がいいぜ”
「うん、そうだね……あれ? あそこに何かあるよ」
近づいてみるとそれは卵だったの。
「なんの卵だろう? 火蜥蜴わかる?」
“ん〜どれどれ”
パキッ!
その時卵にヒビが入って、割れた穴からクチバシが出てきたんだ。
「わぁ! ちょうど生まれるところだよ!
何が出てくるんだろう?」
見守っているとクチバシで殻を割りながら少しづつその姿が見えてくるよ。
「頑張れー!」
そして中からついに顔を出して、私と目と目が合ったんだ。
「鷹さんかな? 鷲さんかな? 可愛い」
ユックリと身体も卵から出てくると鉤爪のついた手が出てきて、翼と猫みたいな足と尻尾も出てきたよ?
“ララっち、こいつは鷹でも鷲でもなくてグリフィンだ!”
「グリフィン?」
“メッチャ狂暴だから親が戻ってくる前にずらかるぞ!”
そうなんだ! じゃあ早くここから離れないといけないよね。
来た道を小走りに戻ってお城に繋がる秘密の通路についてホッと一息つくと、足元にグリフィンがついてきちゃってるよ!
ピィーッ!
「ついてきたらダメだよ」
ピィーピピピッピー!
“あ〜コレあかんやつだ……”
「火蜥蜴〜」
“だめ! マジだめ! グリフィンは気難しくて懐かないから”
「懐いてるよ?」
グリフィンがしゃがんだ私の手に顔を擦り付けてきてとっても可愛い。
あ、手に乗ってきた。 あれ? あれあれ? 肩の方に上がってきたよ!
“うわぁぁぁ俺っち餌じゃない! 突くな、噛みつくな、引っ掻くなぁぁぁぁ!”
火蜥蜴がグリフィンに突かれてバランスを崩して私の肩から落っこちちゃった。 それでもって代わりにグリフィンが私の肩に乗っかって頬ずりしてきて、とっても可愛い。
“おいコラ! そこは俺っちの特等席だぞ!”
ピピィーッ!
それで結局火蜥蜴は反対側の肩に乗ることになって、私の両肩に火蜥蜴とグリフィンが乗っかることになっちゃった。
“なぁララっち、懐いたのはいいけどそいつどうするつもりだい?”
「連れて行ったらダメかな?」
“ここに来たことがバレてもいいなら、いいんじゃあーりませんか?”
「随分トゲのある言い方するんだね。 でも……
ねぇあなたも母様のところに帰らなくてもいいの?」
ピーッピ
言葉がわかるのかな? 今頷いてから鳴いた気がするよ。
「私の言ってる事わかるの?」
ピッ
また頷いてから鳴いたよ!
でも困ったな、ここに来たのわかったら絶対に怒られちゃう。
「ねぇ私あなたを連れていけないの。 だから母様のところに帰ってもらえるかな?」
ピピッ!
今絶対ヤダって言ったよね!




