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猫の女獣人の前世

 驚くヴェニデ領の兵士たちとジークフリートにフィンがまるで自分の事のように種明かしをし始めたわ。



「姫様は実は天賦の才を持っているんです。 なのでどんな武器であろうと使いこなします」


 ようやく合点がいったジークフリートが頷いて答えてきて、今のを今度はジークフリートがやってみるって言い始めて、それを聞いたヴェニデ領の兵士たちがざわめき始めるの。



「どうしたのかしら?」


「確かヴェニデ領主は凄腕の狙撃手だと聞いた事があります。 領主があの状態という事はジークフリートさんが噂の凄腕の狙撃手なのかもしれないですね。 確か『死極の担い手』って呼ばれていたと思います」


「アルバロって本当色々知ってるわね」


 私の横に来て教えてくれるアルバロは嬉しそうな顔を浮かべて、今度暇なときでいいから僕にスリングショットの扱いを教えてほしいって言ってきたわ。


 もちろんオーケーよ。



 それでもってジークフリートの弓の腕なんだけど、私と同じように見事に全部撃ち落としたわ。



「さすがね、『死極の担い手』って呼ばれているの?」


 私がアルバロから聞いた2つ名? 異名? を尋ねると、ジークフリートは苦笑いを浮かべて勝手につけられた2つ名って答えたわ。



「でもその由来は弓による超遠距離射撃によるヘッドショットでしたよね」


 アルバロが食いついてくるわ。



「超遠距離射撃?」


 アルバロが言うには王宮の外からお城の人を射抜くほどらしいわ。 って言うとジークフリートが笑いながら訂正してきたわ。



「正確には違います。 確かに超遠距離射撃はできますが、それは魔法の弓による力で、私の実力ではありません」


 なんでもジークフリートのご先祖様が私のひいお祖母様から賜ったもので、本当に必要な時以外は家宝のため使わないでいるんだそうよ。


 アルバロも納得したのかそれ以上何も言わなかったわ。





 その頃サーラはというと、ヴェニデの町をうろついて1人の人物を探していたの。 そしてその人物を見つけて声をかけたわ。



「少しよろしいでしょうか? 理由は聞かずとも分かっているはずで、もし逃げようものなら覚悟していただきますよ」


 その相手というのが猫の女獣人だったわ。 猫の女獣人は驚きと迷いの表情を見せた後、頷いてサーラの後をついていく事にしたみたい。


 一軒の酒場に入り込んで2人分の飲み物の注文だけ済ますと、早速サーラは質問に入ろうとするのだけど、間近で見る猫の女獣人に何かを感じ取った様子で、そしてまた猫の女獣人も同様にサーラの顔を首をかしげながら見つめ続けているわ。



「どこかで会った事があるかニャ?」


「ない……はずです」


 本来の目的を忘れてサーラが必死に思い出そうとしたその時、猫の女獣人の瞳を覗き込んで断罪を勝手にしてしまった、そう思ったのだけど違ったみたい。



「な、なんで突然泣き出すニャ!? 僕は泣かすような事をした覚えはないのれす! ……あ」


 気がつけばサーラの頬を一筋の涙が伝っていたわ。 慌てた猫の女獣人も思わず語尾が巣に戻ってしまったみたいだわ。


 サーラが涙を流した理由、それは瞳を覗き込んだ瞬間に断罪ではなく以前の姿、転生前の姿を見れてしまったから。



「クゥ、さん……?」


「……? 僕はクゥなんていう名前じゃないニャ……あれ?」


「いえ、済みませんでした……」


 覚えているはずがない。 もし生まれ変わっても以前の記憶が残っていたらそれこそ問題だわ。 でも猫の女獣人は最初に確かにどこかで会ったか聞いてきたわ。


 否定こそしたけど、猫の女獣人も違和感を覚えてしきりに頭を振り続けているわ。



「はあ〜いサーラ、約束のものを持ってきたわよ。 ってサーラ誰その人」


 姿を見せたのは以前王都で会ったアリエルと呼んでいた女性だわ。 なんの躊躇もなくサーラの横にひっつくように座ると猫の女獣人の事をサーラに尋ねたわ。



「え? あれ? なんだかどこかで見たことのある光景なのれす……」


 アリエルも今の猫の女獣人の言葉使いに思い当たる事があるのか、ハッともう一度まじまじと猫の女獣人を見つめ出したわ。



「これってサーラまさか!?」


「かもしれないですが、私たちが思い出させたるするのはやめま……」


 そこまで言いかけて猫の女獣人が思い出したような事を口にしたの。



「アリエルさんとサーラさん……僕は……なんとなくわかったのニャ。 2人とは前世で友達だったニャ」


「思い出した!?」


「思い出したの!?」


 驚きのあまりアリエルとサーラが叫ぶように言うけど、猫の女獣人は首を振ってくるわ。



「でもなんとなくニャ。 今の僕の記憶じゃニャイから凄く変な感じニャけど、洋服選びしに行ったり、一緒にクレープを食べたり、歌姫のコンサートを見に行ったこととかあるみたいニャ」


 つまるところ猫の女獣人はあくまでそんな経験の記憶に、サーラとアリエルがいたってことを覚えているだけだから、まぁそんな夢を見たことあるなぁって程度なんだと思うわ。


 そんなわけで、サーラも強く聞くことも出来なくなったけれど、猫の女獣人の方もさっきよりも落ち着いた表情で全てをサーラに教えてくれたわ。



「つまりマクシミリアン=ミュラーに助けられたから付き従っていて、王家の略奪を企んでいる手伝いをしているわけですね」


「そうなのですが、たぶん大丈夫ニャ。 たぶんだけどあの人はそう言いニャがらもこの国を愛してるみたいニャ。 それに僕も本気で将軍が行動するようニャらお手伝いはしないのニャ」


 うーん、お菓子に毒入れたりしていたと思うけどなぁ。

 でも冒険者殺しの時とか兎の女獣人の時とかは率先して助けに来たり、捜索したところを見るとうなずける部分もあるわね。

 今回ついてきている命令も、女王になる器がないところを見てくる事なのらしいけど、もし危ないことが迫ったらちゃんと助けるように言われているらしいわ。

 まったくいい人なんだか悪い人なんだかわからないよね。


 サーラも納得したようで、1つ2つほど注意だけしてその場を後にしたわ。 アリエルと腕組みをしながらね。



「相変わらず2人は本当に仲が良いのれす」



今回の話は、『TS修道女の受難〜始原の魔術師外伝〜』が関係しています。

読んでくれている人は懐かしい人物ですね。

今世の名前は相変わらず不明ですが……



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